豚人達の拠点 エイハブ山脈
征けオーク討伐隊
【大規模クエスト:魔物の大量発生に対する処置や特定の大型魔物の対処、異常気象の解決など緊急性の高い依頼。今回のオーク騒動は特定の害性魔物が大量発生したため発令された。】
「今回は前回より厳しい戦いになりそうだ。だが前回とは違いプロイツからの冒険者もいる。だから無理をする必要はない。」
ギルドマスターのルシエドが言う。
「何度も危険な道を進ませてしまって領主として申し訳ないと思っている。どうかこの街のために力を貸してくれ。」
そう言って頭を領主ジャミノフ・アガレスが下げる。
「頭を上げてください!我々もこの街を守るために戦わせてもらいます!」
冒険者の一人が答える。その言葉を聞いたジャミノフは顔を上げた。
「ありがとう、感謝するよ。」
「それでは作戦の説明に移る。まずは偵察班が先行してエイハブ山岳周辺の調査を行う。そこで拠点の位置を確認し次第、拠点に奇襲をかける。」
俺は槍を強く握りしめる。
「キュイ!!」
胸ポケットからリザンテが顔を出す。
「近くの村跡で休憩するが、拠点までの道のりは長い。全員覚悟しておいてほしい。」
ルシエドさんが言った、そしてニヤリとして剣を高く掲げる。
「それじゃあ行くぞ!!」
「「「オオオォ!!」」」
冒険者達は雄叫びを上げて出発した。
村跡に着くとそこは地獄絵図だった。
「くそ……なんなんだこれは……」
「ひどい……」
「こりゃひでぇ……」
「うぅ……」
周りにはハウンドなどの魔物の死体、そして人間の死体も多くあった。おそらくオーク達に襲われたのだろう。
「惨いな……生存者は?」
「……いません。」
「進むぞ……」
ルシエドさんが先頭を歩く。俺達はその後ろをついていく。しばらく歩いているとオーク達の叫び声が聞こえてきた。
「グルァアアッ!!」
「グゲェエエッ!?」
「ギィイッ!!」
「オラッ!!」
「ブヒィイ!!」
一体の黒い鱗を持つリザードマンがオークの首を跳ね飛ばす。そして他のオークにトドメを刺していた。
「おい……あれって……」
「リザードマンの変異種か?初めて見たぞ……」
「私も……」
「俺もだ。」
冒険者がザワつく中、リゼが前に出る。
「ねえトモヤ君。あのリザードマンもしかして?」
「クラスの誰かなのか?とりあえず話をかけてみるとしか……」
「そうだね。」
そう言って俺とリゼは駆け出した。
「おい坊主危ねぇぞ!!」
ルシエドさんが言う。
「あなた日本人?」
俺達にしか伝わらないキーワードでリゼがリザードマンに話しかけた。するとリザードマンはこちらに振り向いた。
「オマエラハ……」
「私はリゼ。こっちはトモヤ君だよ。」
「オマエラハ人間カヨ……」
「えっと……誰なんだ?」
「
「黒木?お前が……」
俺は思い出した。黒木龍司は不良みたいな見た目だったが、実はクラスで一番優しいやつだった。
「久シブリダナ…」
「ああ、そうだな。まさかこんなところで会えるとは思わなかったよ。」
俺達は再会を喜び合う。
「おい!!何をしているんだ!」
ルシエドさんの声が響く。
「おい……大丈夫なのか?リザードマン。」
周りの冒険者が聞いてくる。
「多分大丈夫だと思いますよ。」
リゼがそう言うとプロイツから来た冒険者達は……
「まあリゼがそう言うなら……」
「リゼちゃんが言うなら間違いないか……」
「リゼ様の言うことは絶対……」
「リゼたんマジ天使……」
プロイツの冒険者から変な慕われ方されてるな……てか最後のやつは明らかにおかしいがスルーしよう。
「リュウジはこんな所で何してるんだ?」
「オレハコノ山デ生マレタ。ソシタラ豚ドモガイキナリ住ミ着キ襲ッテキタンダ。」
「そうだったのか……でも無事で本当によかった。」
「ソウイウオマエ達ハドウシテココニイルンダ?」
「俺達は冒険者だ。今からこの山のオーク共を討伐しに行くところさ。」
「ソウナノカ……ナラ俺モ手伝オウ。」
「いいのか?」
「アア、構ワナイ。目的ハ同ジダ。」
こうして龍司を加えて俺達は山岳を目指して進んでいく。
――――――――――――――――――――――――――
「キュイ?」
リザンテが不思議そうな顔をする。
「どうしたんだリザンテ?」
俺はリザンテに聞く。
「キュウ、キュイ!!」
リザンテが見ているのはリュウジだった。
「ン?ナンダソノヘビ?」
「俺が見つけたタイタンの子供だよ。」
「可愛い!!タイタンの子供なんてよく見つけたね!!」
リゼが珍しそうに目を輝かせこっちに来た。
「そんなに珍しいものなのか?」
俺はリザンテを見ながら聞いた。
「うん、普通は見つけられないよ。だってメスが卵を産むのが百年に一回って言わてるし、そもそもタイタンの卵の近くには天敵が沢山いるからね。」
確かにそう考えると運が良いのかもしれない。
「キュゥ……」
「安心しろ、俺が守ってやるからな。」
「キュッ♪」
「俺ノ事ヲ仲間ダト思ッテルノカモナ。」
「ははは……」
雑談は終わりだ。遂に木々が無くなり岩肌が目立つようになった。
「ここら辺が拠点に近いな。」
ルシエドさんが言う。すると前方から冒険者が現れた。赤い旗を持っている。
「偵察班だ!!俺達も行くぞ!!」
ルシエドさんの号令で全員が走り出す。
「ここだ……。」
ここら辺で一番大きな洞穴だ。ここが住処に間違いないだろう。
「よし、入るぞ。」
ルシエドさんがそう言って入っていく。俺達も続いていく。
「臭せぇな……」
鼻が曲がるほど臭い。恐らく糞尿の匂いだろう。奥に進むにつれてそれは強くなっていく。
「ブヒィッ!?お前ら何者だブゥ!!」
「お前らお客さんだブゥ!!」
「「「キャシャアアッ!!」」」
そこにはオークだけでなくゴブリンやリザードマンなどの魔物もいた。
「気をつけろ……かなり数が多い。」
ルシエドは剣を構えながら言う。俺達も武器を構える。
「ブヒィ……人族はいつも僕達の邪魔をするお邪魔蟲だブゥ!!殺してやるブウ!!」
「このゴブリンやリザードマン、なんかおかしいぞ!?」
冒険者が言う。確かに言われてみると顔つきや体格がオークに似ている気がする。
「こいつら……オークとの混血種か……」
「ブヒィヒヒヒ!!」
「お前らもお母ちゃんの仲間入りだブゥ!!」
「ふざけんな!!」
一人の男が叫ぶ。
「そうだ!!お前らはここで死ね!!」
「ぶっ殺すぞクソ豚が!!」
男達が次々とオーク達に襲い掛かる。
「オラァッ!!」
俺も他の冒険者に負けじと斬りかかる。
「グギャアアッ!?」
「グゲェエエッ!?」
次々とオークの首が飛んでいく。
「あれソーラーはどこだブゥ?」
「魔法ヲ使ワセルトオモウカ……」
リュウジが優先的にオークソーラーを潰したのだった。
「グゲェエエッ!?」
「ヒデブッ!!」
「ブヒィイイッ!!」
オーク達はどんどん倒れていく。そして杖を持ったオークが最後の一体になった。既に致命傷を負ってボロボロだ。
「ブヒッ……ブヒッ……」
「これで終わりだ!!」
俺は槍を突き刺す。だがオークはまだ血を吐きながら、生き続けている。
「人族は馬鹿だブゥ……」
「なんだと?どういうことだ?」
「オークロード様の登場だブゥ!!」
身体を爆散させて大量の血液が魔法陣を作り出す。
最後のオークは自分を生贄にして強力な仲間を魔法陣から呼び出したのだった。
――――――――――――――――――――――――――
現在のステータス
生命力:C
魔 力:C
体 力:C
攻撃力:C
防御力:C
魔力攻:D
魔力防:D
走 力:C
現在使用可能なスキル
●身体、精神、霊魂に影響するスキル
『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。
『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。
『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。
『仮説組立(レベル1)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。
『解読』文や言語を理解するスキル。
『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。
『加速(レベル3)』身体の速度を上昇させるスキル。
『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある
●技術
『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。
『加工技術』加工の技術を高めるスキル。
『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。
『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。
●耐性
『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。
『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。
『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。
『爆音耐性(レベル2)』音のダメージを和らげて、活動しやすくする。
●魔法
『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。
『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。
『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。
『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。
●加護
『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。
『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。
『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。
現在の持ち物
銀の槍(無名):ヴィクター・アガレスが使っていた槍。
冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。
毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。
黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。
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