第9話 こうどうと気付き
二か月たってもらんが、話しかけに来なかったのは意外だったが、部活とかが忙しいのか。などと考え、休み時間をぼーっとしていた時、誰かが俺の席に地被いてくるのが分かった。
「ねぇちょっと話があるんだけど。」
「なんだ彗星か。今できない話か?」
こくり。そう頷いて、俺の顔をじっと見た。ああ、俺は気付いた。これはマジな目をしている。真面目な話だ。
「分かった。じゃあ昼休み屋上で」
そう言った途端、授業開始のチャイムが鳴った。次は四時間目。減っている腹と仲良く授業を受けていたら、あっと言う間に終わった。俺らはすぐに屋上へと向かった。原則屋上には立ち入り禁止だが、前に鍵を借りた時に、全く同じ型の鍵、いわゆる合鍵を作ったらしい。屋上好きすぎかよ。その例の鍵で屋上のドアを開け、外に出た。
「で、話って何だ?」
俺はストレートに聞いた。
「あんた、前に一緒に部活動見学をしていた星宮らんって子いるでしょ?」
「ああ、なんだらんのことか。一緒の陸上部だもんな。どうだらんと仲良くやっているか?」
「落ち着いて聞いてね。」
そのセリフを聞き、一気に空気が張り付いた。
「実は、星宮らんは三年の先輩にいじめられてるの」
「う、、嘘だよな?だって俺は何も聞いていないぞ!何も相談を受けてないし」
俺は気付いていた。だけど、心が信じてくれなくこの言葉を吐いた。
「あんたに相談しなかったのは、あんたを巻き込まないように過ごしていたからよ。だから、あんたに二か月も話しかけに来なかったのよ」
「くっそ。何でよりによってあいつなんだよ。」
俺の本音だった。あいつは小学生の時にも虐められてて、それを乗り越えたのに。なんでまたあいつの人生を壊すんだよ。しかも、俺は気付けなかった。悔しい。
「そこまで自分を責めても意味ないわ」
どうやら全部声に出ていたらしい。
「そもそもあの子がヘルプを出さなかっただけ。あなたに非はないわ。」
駄目だな俺は。女子に慰めてもらってるなんて。
「ありがとな。彗星。ところでお前は、いじめを止めようとはしたのか?」
「お礼なんてもらうほどの事してないし。いじめは止めてないわ。私は巻き込まれたくないもの。でもそうね、あんたが手伝ってと言うなら協力するわよ」
「それが一番だな。彗星まで巻き込まれたらやばかったし。そうだな、こんなこと面と向かって言うのは恥ずかしいが、助けてくれ。一緒にらんを救ってくれないか」
「ふんっ。そう言うと思った。分かった。手伝うわ。私も陸上部の制度にイライラしてたし。」
ありがとう。そう言おうと思ったが、全部終わってから言おうと思い口を閉じた。
「でも、考えとかはあるの?」
「ああ、怒らないで聞いてくれ」
「別に怒らないけど、その切り出し方は不安しかないわね」
「あいつは心が弱い。だから多分、自ら命を絶とうとする可能性が高い。自殺をするときは大体、一人ですることが多いと思うから、らんが自ら命を絶とうとした時に、俺が止める」
「なるほどね、なんで今すぐに彼女のもとに行ったりはしないの?」
「あいつは今、何かの事情があっておばあちゃんの家から学校に通っている。」
「え?ストーカーの方ですか?」
「違うわ!真面目に聞きなさい。」
「あいつは本当は電車通なんだけど、この前駅とは反対方向、多分らんのおばあちゃんの家から登校してくるのが図書室の窓から見えたんだよ」
「あ~なるほどね。あんた朝だけは早いからねぇ。てか、図書室で何してんの?」
「推理小説が最近のマイブームだな。というか、さっきから話が脱線しすぎだ。ちゃんと聞いてくれ。」
「だから推理がさえてるのか。以後気を付けます。」
彗星はそういうと、その場で正座した。それを見て俺は、話を続けた。
「小学生のころ会ってて、中学の時にも市の図書館とかでたまに会ってたんだが、あの人がいればらんは大丈夫だ。俺が断言する。だから今は、支えがあるから大丈夫だ。」
「はいっ!なら自殺なんてしないのでは?」
「確かにそうで、俺らが止めに入らないそれが一番の道だ。だけど、お年寄りだ。
こういっちゃ悪いがいつ何が起こるかわからない。もし、らんのおばあちゃんが亡くなってしまったら、それこそあいつは自ら命を絶つと思う。だから、その時に止めようということだ。」
「考えすぎな気もするけど、、」
「考えすぎて、悪いことはない。むしろ、考えてなくて予想外の事が起こり動けない方が悪くなると思うがな」
「むむむ、確かに。じゃあ取り敢えず、このまま観察ってことね。」
「ああ、そうなるな。だが、いじめられてることに変わりはない。だから、部活中にでも慰めてやってくれ。」
「無理だよ。今来てないもん」
「は?陸上部から抜けるとなれば流石の俺でも耳に入ると思うんだが」
「辞めてないよ」
ん?俺の頭はこんがらがっていた。いじめられてるなら辞めるのが普通だと思うが
「先輩がわざとらんが辞めるのを阻止したんだよ。力の見せつけのためにね」
「まじかよ。えぐすぎるぞ。なら、ラインか直接会って話してくれないか?」
「分かった。できるだけ学校にいる間も支えがある安心感を作れるよう頑張るよ。」
こうして俺らの救出作戦は始まった。
「てか、あっついんだけど。話も終わったから戻ろ」
彗星が俺の腕を無理矢理引っ張て中に入った。
確かに、さっきよりも太陽が出てきたな。
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