第8話 独りとぜつぼう
私が、おばあちゃんの家に引き取られてから一週間の時が過ぎたある日。それは唐突に訪れた。
「おばあちゃーん!ただいまー」
この日も私は、学校が終わってから最速で家に帰った。陸上部には、まだ在籍してるけどここ最近は行ってない。顧問の先生ともあの事件以来話していない。あの
三人の先輩とも全く、関わってない。むしろ関わりたくない。そんな、ことを考えつつリビングに向かった。
「おばあちゃん!?」
リビングの光景を見た瞬間私は、思わず叫んだ。急いで椅子にぐったりと座っているおばあちゃんに近寄り、肩を揺らした。
「おばあちゃん!ねぇってば」
何回も声をかけても、反応がない。嘘でしょ。やばい。どうしよう。私があたふたしていると、
「おや、らんや。帰ってたのかい」
「うそ!?あれ、私の勘違いだったってこと?」
「どうしたんだい。そんなに慌てて」
「おばあちゃんが死んじゃったと思って~」
「なに言ってるんだい。私は、まだまだ現役だよ」
「良かったー ほんとに良かった。うわーん。ずっと居なくならないでね。」
「ずっとは難しいかもしれないねぇ~ だけど、らんの卒業は見るつもりだよ」
「うん。約束だよ」
この日、私はおばあちゃんと同じ布団で寝た。
次の日、私は元気よく家を出た。今日のお昼時間楽しみだな。私は家を出て早々にお昼のことを考えていた。お昼のことを考えながら走っていたら、もう学校についてしまった。学校では相変わらずの扱いだけど、人には慣れってものがあるからへっちゃらになってしまった。だから、一人でお昼を食べるの辛くなかった。寂しくはあるけどね。今私が楽しく生活を送れているのは、まぎれもないおばあちゃんのおかげだった。午後の授業では、おばあちゃんと夢の中で会話をしていたら、あっと言う間に終わり、放課後になった。だけど、おかしいな。授業の内容と会話の内容、全く覚えてない。なんでだろ。私がこのオーパーツ並に難しい謎を考えていたら、校内放送が流れた。
「1-2組、星宮らんさん。至急職員室まで」
まさか自分の名前が呼ばれると思ってなかった私は、びっくりした。またなにか群れ衣を着せられたかな。私はまた不安になり、自分の足を無理矢理職員室へ運ばせた。てか、よくよく考えると、名前を学校で呼ばれたの久しぶりだな。そんなネガティブ思考になりながら、職員室に入った。すると1人の先生が
「あ、きたきた。お母さんから電話が入ってて、はい、今来ましたんで代わります。」
お母さんという単語を聞いて、嫌な予感がした。なぜおばあちゃんではなく、お母さん?そんな合たって欲しくない、私の予感は的中してしまった。
「あ、もしもし らん? あのね落ち着いて聞いてほしいんだけど、実は・・・」
私は、その報告を聞いた瞬間学校を飛び出した。夏なのに、梅雨は明けたとテレビで放送されていたのに、私の頬は冷たい何かが流れていた。
「おばあちゃん、おばあちゃん」
私は何度もそう呟き、全速力で走った。
「まだ死なないんだよね?まだ現役って言ってたよね?まだ約束も結んだばかりじゃないか!それに、まだ伝えてないことだっていっぱいあるのに」
病院の入口で、お母さんが待っていた。
「お母さん!おばあちゃんはどうなの?」
私は、息切れをしながら言った。
私は、心のどこかで期待をしていたのかもしれない。この前みたいに、勘違いを期待していたかもしれない。ただ、あまりにも現実は残酷だった。お母さんはゆっくり顔を横に振った。
「嘘でしょ。」
私は泣きながらお母さんに言った。
「嘘だ!おばあちゃんは私と約束したんだ!私の卒業までは生きるって。だから、だから」
私は、言ってる途中で膝から崩れ落ちた。こんなことお母さんに言っても無駄なのに、だけど言わなかったら私の胸がはちきれそうだったから。
「言ったのに、言ったのに。なんで、なんでこんなに」
私は、病院の入口で大泣きしてしまった。雨は何時の間にか、どしゃ降りになっていた。
その後、家に帰りずっと泣いた。食事がのどを通らなかった。次の日の学校は休んだ。明日は、お通夜。親には行けと言われているが、私にはいく気力すら残っていなかった。ずっと天気は雨。私にはもう太陽が出ないのかと思っていた。だけどそんな私の人生はやっと太陽をのぞかせ始めた。
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