第7話 希望とたすけ
じゃあね。みんな。そう言い残し、自分の家の三階のベランダから飛び降りようとした時、
ピンポーン
家のチャイムが鳴った。その呼び鈴は、私を引き留めた。
ピンポーン
二回目のチャイムが鳴った。やばい、早く出なくちゃ。私は、急いで一階に降り、家のドアを勢いよく、開けた。
「すみません。今、両親ともにいなくて。」
すごい早口で、お客さんに向かって話した。
「おやおや、らんや。久しぶりだね。」
「って、あれ?おばあちゃん?どーしたの急に」
「たまたま用事で近くまで来たから、ついでに来てみたの」
私のおばあちゃんは、私の家から、車で約20分くらいの場所に住んでいて、今年で80になるのに、すっごい元気で、すっごいやさしいから、町内の人たちからもすっごい人気者なんだ。
「久しぶり!おばあちゃん!ささ、あがってあがって」
おばあちゃんを歓迎しようと、手を引っ張ったら、おばあちゃんがいきなり顔色を変えた。
「ごめん、急に引っ張ったから痛かった?」
そんな言葉も関係なく、私の右手をとり言った。
「どおしたのこの手!はやく病院に行かなきゃ。」
「いやいや、大丈夫だよ~ このくらい。」
「ほんとに大丈夫かい!?だけど、処置はしなければ!はやく、救急箱を」
そういいながら、慌てて家の中に入って行き、救急箱を取り出し私の右手に包帯を巻いてくれた。
「ありがと!おばあちゃん!大好き~」
私は、おばあちゃんに抱き付き言った。
「よしよし、それでその手は誰にやられたんだい?」
私は、おばあちゃんは信用できると踏み、これまでにあったすべての事を話した。
すると、おばあちゃんは学校に連絡すると言ったが、私が全力で止めた。これ以上面倒になっては、私も困るから。おばあちゃんは唯一、私の味方をしてくれて、私の事を抱きしめ、何度も「おばあちゃんがいるからね、大丈夫だよ」と優しく、言ってくれた。私は、泣いた。ずっと泣いていた。けど、飛び降りようとした事については、怒ってくれた。良かった、私にも生きる理由があった。
それから、おばあちゃんは両親が帰って来るまで、そばにいてくれた。母親が帰ってきた時には、「なんで、親が子の味方をしないんだ」と説教をしていた。
その後に、母親に何回も謝られた。私は、大丈夫だよと言ったものの、内心では、一回裏切られた、自分の親を信用出来なくなっていた。父親は、仕事をしていたがおばあちゃんが電話し、呼んでくれた。そもそも父親は、この騒動の事を知らかったので、凄く驚いていた。しかし、父は仕事が忙しいと言い、すぐに仕事に戻ってしまった。何故か、私のためを思って駆けつけてくれた父親も、私の味方になってくれた母親も、私は心の底から信用できずにいた。その私の気持ちを汲み取ってか、おばあちゃんが、しばらくは私の家で預かると言ってくれた。とても嬉しく、気持ちが楽になった。それからは、生きるのが苦ではなくなった。相変わらず、
学校では、存在しないかのように扱われていて、たまに苦しくなるけど、おばあちゃんがいてくれたから、それすらも乗り越えることが出来るようになった。
しかし、私の幸せはそこまで長く続かなかった。
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