第4話 きろくと違和感

「みんなー!おはよう!!!」

私は、今日も勢いよくドアを開け挨拶をした。

「おはよ!今日も元気だね~」

大体クラスのみんなは、こんな感じで返事をしてくれる。なんて良い子達なんだろう。そして、自分の席に着きいつものように、りらちゃんと授業が始まるまで雑談をした。あっと言う間にお昼の時間になってしまった。しかしなぜだろう、また授業の記憶がない。私は、そんなくだらないことを考えてたら、りらちゃんが真面目なことを言ってきた。

「そういえば、らん今日はタイム測定の日だよね?」

「うん、そーだよー」

私は気の抜けた返事をした。

「念の為言っておくけど、あのルールだけは守りなさいよ」

「あのルール?なにそれ?」

「はぁ?あんた本当に陸上部??」

りらちゃんがいきなり大きい声を出し、立ち上がった。クラスメイトが一気にこっちを見た。その状況に気づいた、りらちゃんは顔を赤らめながらコホンと一息をつき、着席し私にさっきのルールについての説明をしてくれた。

「陸上部三年の先輩に、由里ゆり先輩、真紀まき先輩、麻里まり先輩って人達がいるでしょ?」

「あの三人は、上に立たれるのが心底嫌いらしいよ。まぁ実際に、その三人は勉強に関しても、学年トップ三位だからね。しかも、陸上の事ならなおさらで、去年のタイム測定の時、とある三年生が麻里先輩のタイムをこえちゃったの。その次の日から、その三年生はいじめの対象になったらしいよ。それからは言わずもがな、一週間で部を離れ、退学までしたらしい。だから、らん。あんたもその三人より速く走っちゃだめだよ!そもそも、あんたがあの先輩たちより速いとは思わないけど。」

私は、その話を聞いた時、冷汗が止まらなくなった。あの時を、ハブられていた時を思い出したのだ。だけど、渇いた喉から私の考えと感謝をりらちゃんに伝えた。

「ルールの事を教えてくれて、ありがとう。だけど、私は自分が真面目にやってきたのに、手を抜くなんてできない。しかも、今日のタイムで速かった四人は、リレーの選手にも選ばれるんだよ。その三人に枠を譲っちゃったら、残り一枠になっちゃうし、しかも陸上部には、陸上部のアイドルとも言われていてめっちゃ速い、暁彗星あかつきすいせい先輩もいるから、枠埋まっちゃうよ!」

私の言ったことを聞いたりらちゃんは、真面目に

「あんたには、次があるでしょ。だから、今回はあきらめなさい。私は、らんの心配をしてるんだよ?ねぇ、今回は約束して。」

「う、分かったよ。確かに、次もあるからね。約束するよ。」

私は、押しに弱い。私自身あんまり納得してないけど、親友が心配してくれてるからと自分に言い聞かせて、無理矢理納得させた。

午後の授業は、タイム測定の緊張もあり、短く感じた。部活の時間になった。私は昼休みの約束や陸上部のルールなどを考えながら、アップなどをしていた。

タイム測定が始まった。二人一組でペアを組み、百メートルを走る。体育の五十メートル走などを考えてくれれば、分かりやすいと思う。そんなことを考えてる時、遠くから声が聞こえた。例の三人の声だった。

「今回も、私たちが三枠埋めちゃうかな~」

「それなーつまんねーなー」

「二年とか頑張れよな~」

私は、その三人の会話を聞いた瞬間怒りがわいてきた。たとえ、二年に抜かされたとしても、去年の時みたいに、退学まで追い込むのだ。彗星先輩以外渋い顔をしていた。それもそうだ、今までの頑張りが無になるのだから。まぁ確かに、チャンスはここだけでないにしろ、二年生は一年生より明らかにチャンスが少ない。それを言えば、三年生のほうが少ないのだが。そうこうしているうちに、由里先輩と真紀先輩のペアが走り出した。結果は、由里先輩:13秒99 真紀先輩:13秒89だった。

私のベストのほうが速い。そう頭をよぎったが、すぐりらちゃんとの約束を思い出した。やばい集中しないと。そんなことをしていたら、彗星先輩が終わっていた。

結果は14秒00。明らかにおかしい事は一目瞭然だった。彗星先輩が、あの二人より遅いはずがない。私は、また怒りが湧いてきたが、何とか抑えた。彗星先輩のつぎは、誰も行きたがらない。あの人の後に走ると、比較されてしまうから仕方ない。

誰も行きそうにないので、私が走る準備を始めた。そこに、麻里先輩が話しかけてきた。

「一緒に走ってやるよ。抜かしてもいいんだからな。」

その顔は、にやついていた。もはや私は、何も思わなかった。特に返事などはしなかった。なんでかは分からない。けど、自分の世界に入ってたんだと思う。

麻里先輩は、舌打ちをすると準備を始めた。

二人とも準備が整ったところで、スタートの合図が鳴った。

私は、思いっきりスタートした。なぜか、私の体は軽かった。ベストで走れる。そう思ったが、親友との約束を思い出した。だけど、私は決意した。

ごめん、約束守れないや。やっぱり、私も努力したんだ。それなのに、何もできないなんて、あんまりだと思う。本当に、ごめんね。りらちゃん。

はしった。私は、ただ走った。周りの事を気にすることなく、走った。

いつの間にか、ゴールしていた。タイムは、13秒79 私のベストタイムだった。

麻里先輩は13秒97 陸上部内では私が一位だった。嬉しかった。

それからは、残りの部員が走って、部活は終わった。途中、私の事をチラチラ見ながら、内緒話をしている人などがそこそこいたが、そんなことも気にならなかった。このことを早く誰かに、伝えたい。そう思ってた。そんなことを考えてたら、麻里先輩が私に声をかけてきた。

「さっきは挑発してごめんな。ナイスランだったよ」

「ありがとうございます!」

なんだ、この人もいい人じゃないか。ただの噂だったのか。このこともはやく、り

らに伝えたいな。それからは、特に何もなく、次の日になった。

「みんなー!おはよう!!!」

私はいつも通り、勢いよくドアを開け元気よく挨拶をした。

あれ?わたしはとある違和感に気付いた。








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