パワハラ聖女の幼馴染と絶縁したら、何もかもが上手くいくようになって最強の冒険者になった ~ついでに優しくて可愛い嫁がたくさん出来た~
《聖女パーティー》エルマ視点48:いや、一期一会じゃないわよ……。
《聖女パーティー》エルマ視点48:いや、一期一会じゃないわよ……。
「こ、こんな不公平なことがあっていいんですかぁ~!? 私ゃあ悲しいですよぉ~!?」
おーいおいおーい、と泣き喚きながら、豚が空のグラスを手に食堂のテーブルに突っ伏す。
正直、鬱陶しいことこの上ないのだが、まあ豚が嘆く気持ちも分からなくはない。
何故なら二階の一室では、今まさにイグザと女神さま方がお取り込み中だからである。
この非常時に一体何を考えているのかという感じだが、なんでもフェニックスシールだかで女神さま方を救えるらしく、しかも時短のためにテラさまとシヌスさまを同時にお相手することにしたのだとか。
言わずもがな、どちらも豚の好みである癒し系の巨乳美女だ。
そりゃまあ大本命のマグメルにもフラれている豚からしたら、一人くらいこっちに回してくれと言いたくもなるだろう。
てか、あの怖い女神もすでにイグザに抱かれ済みらしいんだけど、もしかしてあいつってあたしが思っているよりもずっと大物なんじゃないの……?
普通あんな怖い女神を抱こうなんて気にならないでしょうし……。
いや、そりゃ確かにおっぱいは大きかったけど……。
と。
「まああれじゃ。とりあえずこれでも飲め。飲んで忘れるのじゃ」
とぽとぽと隣のナザリィが豚のグラスにお酒を注ぐ。
一応幼馴染として彼を気遣っているらしい。
「うぅ、ありがとうございますぅ~……」
――ちらりっ。
「……はあ」
「おい、おぬし。今どこを見て落ち込んだ?」
だがやはり豚を癒やせるのは大きなお胸以外ないらしく、ナザリィの慎ましやかなお胸を見た豚はしょんぼりと陰鬱そうな顔をしていた。
他人事ながらまったく失礼な話である。
――ぼんっ!
あまりにも失礼すぎて、思わず胸部の防御壁が発動してしまったくらいだ。
「いや、次は自分が見られるかもと
「べ、別にそんなんじゃないし!?」
てか、〝偽乳〟って何よ!?
半眼のナザリィにあたしがそう声を張り上げて反論していると、「ところで」とこの場にいたもう一人の人物が不思議そうに小首を傾げてきた。
「どうしてわたしも呼ばれたの?」
そう、ティルナである。
どうしても何も、あたしとナザリィ、そしてティルナが同席しているのだ。
理由など一つしかあるまい。
「いや、今こやつにデカ乳を見せるのは酷かと思ってのう」
「ちょっと待って。わたし、そんな理由で呼ばれたの?」
当然、納得のいかなそうな様子のティルナだが、それはあたしも同じだった。
慎ましやかなお胸で安心させたいのなら、別にあたしたちがいる必要はないでしょうが。
あんた一人で十分事足りるわよ。
まあそれを見せた結果、がっつりため息吐かれてたんだけど。
「てか、どうせもうすぐ巨乳だらけの島に行けるんでしょ? なら別にいいじゃない」
色々あって遅れていたが、後ほど豚とナザリィはミノタウロスの島へ復興のお手伝いに行くのだ。
ならばたとえ今好みのお胸がイグザのものになっていたとしても、向こうでお手頃なのを捜せばいい――そうあたしは思っていたのだが、「な、何を仰います!?」と豚は泣きながらこう猛抗議してきたのだった。
「お胸との出会いは一期一会なのですぞ!?」
「「「……」」」
いや、知らないわよ。
だったらあたしたちのお胸にも敬意を払いなさいよ、敬意を。
(大きな)お胸との出会いを熱く語る豚を、当然あたしたち三人は氷点下の眼差しで見据えていたのだった。
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