《聖女パーティー》エルマ視点15:なんなのよこの力!?


「――グランドアースブレイブ!」



 ――ずががががががががっ!



「「「「「ギゲエエエエエエエエエエエエエッッ!?」」」」」



 あたしが聖剣を大地に突き立てた瞬間、岩塊が無数の鋭利な刃となって魔物たちを串刺しにする。


 手応え的には致命傷……いや、たぶん即死だろう。


 ゆえにあたしはしゃっと刀身の泥を払い、悠然と聖剣を鞘に収める。


 すると、ポルコが興奮した様子で近づいてきた。



「す、凄いです、聖女さま! それが女神さまにいただいたという新しい属性武技ですか!?」



「ええ、そのとおりです。ほかにもいくつか土属性の武技を習得させていただきました。本当に感謝の言葉もありませんね」



 そう慈愛の微笑みで返すあたしだったが――内心は言いたいことだらけで今にも爆発しそうだった。



 いや、だってそうでしょ!?


 あたしはてっきり女神さまになれると思ってたのよ!?


 それがただの属性武技ってどういうことよ!?


 話が全然違うじゃない!?


 そりゃ通常の属性武技よりもかなり強力だし、ありがたいと言えばありがたいわよ!


 でも神の力ってそういうことじゃないでしょ!?


 なんかもっとこう、ばーんって感じのやつがあると思うの!?


 むしろそれしかないわよ、神の力なんて!?


 それに極めつけはこれよ、これ!?



『スキル――《完全受胎》:任意のタイミングで必ず妊娠することが出来る』



 いや、なんなのよこのスキルは!?


 え、何!?


 あたしに妊娠しろって言うの!?


 誰の子を!?



「いやはや、さすがは聖女さまです!」



「……」



 え、まさかこの豚の子をーっ!? とあたしは堪らず卒倒しそうになる。


 じょ、じょじょ冗談じゃないわ!?


 そんなのもうたまに町のいかがわしい本屋で売ってるオークの陵辱物みたいじゃない!?


 いや、まああたしはそんないかがわしいものまったく見たこともないのだけれど!?


 と、とにかく落ち着くのよあたし……。


 そ、そりゃ確かにね、テラさまは生命を司る神さまなのだから、こういうスキルを与えられるのは当然だと思うの。


 でも今じゃない!?


 今じゃないのよ!?


 てか、これと同じ力を馬鹿イグザが与えられてるんだとしたら、あいつ一体何をしようとしてんのよ!?


 絶対聖女たちにいかがわしいことする気満々じゃない!


 最っ低!


 あーやだやだ鳥肌立ってきたわ!?



「おや、どうされました? もしかして少し肌寒いですか?」



「そ、そうですね。今夜は何か身体の温まるお食事にでもしましょうか……」



 あとこの疲弊した心も……。



「ええ、分かりました。では不肖このポルコがとっておきのお鍋を用意いたしましょう!」



 そうして、あたしたちはずずずとあったかお鍋を囲ったのであった。


 あ~染みるわ~……。

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