気のせい

俺は、最近楽しいと思えるようになってきた。

それは楓のおかげ、かな?絶対そうだ。

今日はどうしてだろう、遅い気がするな。

しばらく待つと、

「Kuro!遅くなってごめんね?」

いつもの笑顔で、ここ座ってもいい?と目で合図をしてくる。

俺は、ゆっくり瞬きをするか、そっぽを向く。

まぁ、どっちにしても楓は座るんだけど。


「Kuro、今日はね!これ!遊んだことあるかな?」

見せながら言ってくるけど、これ遊んだことあるよ、なんて思いながら楓を見る。

「さ、遊ぼ遊ぼ!」

仕方ないな、と思いつつ少し嬉しかったり。

「あぁ!嬉しいの?可愛い顔しちゃって!」

あ〜やっぱり、前言撤回!全然嬉しくない!

そういう意味を込めて、ムスッとする。

「なぁんだ、ツンデレなの??」

ってニコニコしながら聞いてくる。

なんだよ、それ。と思っていたら

「ほれほれ〜!」

目の前で動くものにウズウズしてしまう。いきなりピタッっと動きを止めるから、飛びついた。

「あははっ!楽しい??よかったよかった!!」

動いていたものを噛みながら、楓を見るとニコニコしながら頭を撫でてくれた。

「ねぇ、Kuro,。いつも一緒に居てくれてありがとう。俺、楽しいよ!…もし、だけど…いや、やっぱりいっか!!」

表情が一瞬だけ暗くなった気がしたけど、きっと気のせいだろう。


あんなことになるなんて、この時の俺は思っても居なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る