第11話 フェイの生い立ち

 一気に現実離れした話が繰り広げられ混乱している様子の私を見てとって彼は


「少し休憩しましょうか」


 といって、紅茶を一口飲んだ。私もそれに倣い一口頂く。ファンタジー映画でも見ているような他人事感が頭を支配し、混乱していた。


 このお話さえも作り話で、夢で、嘘っぱちかもしれないのに、どうしても目の前のモノを信じたがっている自分がいる。


「あなたの混乱している気持ちもわかりますよ」


 唐突にフェイさんがそう語り始める


「先にお話ししてしまいますが、私は一世代前の文明の人間なのですよ」


「……え」


「初代の地球人は偶然高次元生命体に出会うことが出来たので、図書館を建設することが叶いましたが、それ以降の文明は依然として他の惑星の知的生命体との出会いは果たしていません。


 ゆえに、他の世代は図書館の存在を知りえないわけです。しかし、それでは図書館の管理をするものがいなくなりますからね。


 文明が滅びて次世代が認識できなくなるまでを一世代と考え、世代につき一人司書を選ぶことになったのです。なのでアイは建物やシステムの管理をしてくれていますが、書架は私が管理しているわけです」


 なるほど、アイが全体の管理をしているからフェイさんが司書としての役割を果たしているのだ。


「じゃあ、フェイさんはその一世代前の最後の生き残り、ということなのですか」


「ええ。そうなりますね」


「それは、その……寂しくはないのですか」


「寂しくない、と言えば嘘にはなりますが、慣れてしまいますね。それにはアイのおかげで一人ではないですから」


 そう言うフェイさんの顔は爽やかで、何故か自分の中の澱が深まったような気がした。まるで自分は囚われているような。

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