第41話 - 祭り

まめいは目を覚ました


「あれ、ここどこ」


城の裏庭で寝ていたようだ


「なんでここで寝てるんだろ」


草むらの中で起き上がると、気持ちのいい朝だ

背伸びをして、立ち上がると、家畜たちが皆 “死んでいる”


ふと思い出した、厨房で料理をしているときに、兵士がなだれ込んできた

剣で何度も何度も斬りつけられた後、外に放り投げられた


「あたしの、怪我しないスキルのせいで助かったのかな」


上を見ると厨房のあるところは20メートルはありそうな高さだ


まめいは急いで広間に戻った、人間の死体が積み上げられている


「え、なんで...みんなどこ!!」


まめいは地下のシェルターへ走った


ティル達が横たわっている


「なんで...玄人は?」

「...いたら...こんなことさせないよね...」

「玄人、どうしたん?...帰ってきて...」


「くるみ...みんな...」


まめいは破壊された城に取り残された

玄人は討たれ、子供たちも皆死んだ


まめいだけが生き残った


廃墟となった城に魔神シトリが現れる

シトリはまめいの元へ歩み寄る


「まめい~悲しいな」


まめいは涙を浮かべ、シトリを見る


「み、みんな...みん...うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


まめいは大声で泣き叫ぶ

シトリは柔らかくまめいを抱きしめる


「つらいね~」


まめいは大声で泣き叫ぶ

シトリはまめいに語り掛ける


「置いてかれちゃったね~」


まめいは大声で泣き叫ぶ

シトリはまめいに語り掛ける


「あたしも悔しい」


まめいは大声で泣き叫ぶ

シトリはまめいに語り掛ける


「ゆるせないね」


まめいは大声で泣き叫ぶ

シトリはまめいに語り掛ける


「てつだってあげる」


まめいは目の前が真っ暗になった


===== 勇者 =====


勇者は魔王の首を取り、ルクフォントデューへ持ち帰る

教皇へ魔王の首を捧げると、教皇は怯えながら話し出す


「お主、それは人の首であろう...」


勇者は魔王であることを必死に訴えた

教皇と神官たちは勇者を人殺しと呼び騒ぎ出す

勇者は牢に入れられた


教皇は各国の王に話し出す

「人間を脅かす脅威は取り除かれました」


=============


人間の国は各地でお祭り騒ぎ

何日も何日も歌って踊る


=============


まめいは目を覚ました

壊れた城でまめいは起きあがり、ひとりぼっちになった

壊れた城を後にし、何日も何日もかけてさまよい続けると、人の国へたどり着く


どの国でも、どの街でも、みんな歌って踊っている

まめいは悲しくなった


「玄人も、くるみも、みんないなくなったのに、なんでこんなにうれしそうなの...」


まめいは怒りが込み上げてくる


「みんなみんな奪ったくせに!なんでそんなに嬉しそうなん!!」


まめいは怒った

玄人を、くるみを、みんなを奪ったやつらが許せない


まめいは怒った

うれしそうにしているみんなが許せない


まめいは怒りに震え、大きな声で叫んだ


「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


街が消え、海が消え、まめいはまた一人ぼっちになった

まめいは横になった、涙が止まらなかった

まめいはまぶたを閉じて、小さくなって、シクシク泣いた













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異世界で魔物と産業革命 どーん @DoneAnger

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