第2話 転生前

とりあえず記憶にあることだけ語ろう。

俺は元々はただの高校生だったんだ。

彼女いない歴=年齢だったけどそこは多めに見て欲しい。

だってイケメンじゃなかったんだもん!

そんな俺が生前最後にしていた行動だが…。


パタン

ガタンゴトンガタンゴトン


ここは電車の中

それに乗車して俺はとあるイベントに向かっていた。

が、あまりに車内は暇なので俺はラノベを読んでいてそれが今読み終えた所だ。

先に言っておくが俺はラノベが好きだ。


(中々面白い作品だったなー。)


今が俺が読んでいたのは女性向けライトノベル。

とあるOLが転生したら乙女ゲーの悪役令嬢で死亡フラグを回避するために色々尽す話だった。

もちろん俺は男だから、普段は男性向けのラノベを買っているが、反対の女性向けってどんなのだろうという好奇心だけで店員さんに聞いて売れている作品を選んで貰って買った作品だ。

にしても買う時、パッと見た感じ転生令嬢モノのタイトルがほとんどだった気がするが世の女性は転生したらお嬢様に生まれたいのだろうか?

それは今の俺には分からんか。


「大阪〜。まもなく、大阪〜。左側のドアが開きます。扉付近のお客様はご注意ください。」


「おっと、もうそんな時間か」


お決まりの車内アナウンスが聞こえてくる。

本をカバンに閉まって、降りる準備をする。






「えーと、こっちだな。」


時刻は昼過ぎ。

俺はこれから受けるかもしれない大学のオープンキャンパスを見に行くため歩いている。

ただ、道は分からないのでスマホとにらめっこしながら歩いている。


「あとは…この道を真っすぐだな。」


歩き始めて20分ぐらい。

この辺りは開発区なのか、周りは工事の音が鳴り響いている。

道路もダンプカーやトラックが普通車に紛れて行き来しているあたり人気らしい。

なんなら今歩いている道路も現場のすぐ隣だ。安全柵で囲われているから道路に飛び出る事はないだろうけどな。


そんなこと考えていると目の前を誰かが通り過ぎた。

タッタッタッ


「ん?」


振り返ると黒髪ロングの女性が走っていた。

そして、何か上着のポケットから何か落とした。

面倒ではあるが呼び止めた方がいいだろう。


「何か落としましたよ!」


大声で呼び止めている間に落とした物を回収する。

落としたのは定期入れケース。

しかも、ICカードも入っているあたり、これが無かったら大変だろう。


「すみません!ありがとうございます!」


走っていた女性が戻ってきてので手渡しする。


(美人だな…)


大きな瞳に長いまつ毛

口紅やメイクもバッチリ決めていながら濃いという感じは思わせない。

如何にもイケてるJDという感じ。

来た方角から考えてもおそらくあのキャンパス来たのだろう。

なら、この人に道を確認して貰ったら確実だろう。


「すみません。道聞いてもいいですか?」


「あ、いいですよ。」


「ありがとうございます。実はここの…。」


スマホを女性に見せて大学を指差す。

そこに女性がスマホを覗き込むような形で見ている。


「危ない!」


「え?」


男性の叫び声が聞こえて視線をスマホから外して顔を上げた。

すると、明らかに大きなクレーン車が倒れて来ているのが見えた。









そして、

















ゴツンと鈍い音がした。

ここまでしか今の俺は覚えていない。

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令嬢の執事に憑依したけど体が言うこと効かない 自由人 @a58zyare

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