(三)―6

「六階の非常ドア開きました」

 無線が聞こえた。ドアが開く音などは、頭上の排気ダクトや中から聞こえる厨房の注文を聞く声などでよく聞こえなかった。

「近田たちです。三人います。非常階段を駆け下りてきます」

 無線がさらに続けた。福山たちはいつでも飛び出せる準備をした。体の左脇のホルダーから拳銃を取り出し、装弾を確認しまた戻した。そして壁の端からわずかに顔を覗かせて、通路の向こう側を見つめた。

 非常階段から男が一人、二人と降りてきているのが見えた。

「今、三人が裏に降りてきました」

 無線と同時に三人目が地上に降りているのが見えた。

 三人は、ビルの脇ではなく、裏のビルの脇から道路の方へと進んで行った。


(続く)

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