(二)―10

「まだ三〇にもなっていないのに、組を回せるわけがない」

 見た目は七〇から八〇代くらいの老人に見える横尾翔悟がそう言った。

「うちのシマにも来たよ。店長に『俺に付け』と言ったそうだ」

 隣にいた五〇から六〇代のやせ形の道上大輝が言った。

「ご迷惑おかけして申し訳ない」

 二人に比べるとまだ若い、中年でガタイのいい梶田忠治が言った。

「別に梶田、お前に落とし前付けさせるつもりはないんだよ。状況が状況だけに変に勘違いする輩は出てくるからな。あの若造だってうちに入って長いんだろう。だったら落とし前は自分で付けさせなければならん」

「ただ、一つお願いがありまして。近田に付き添っている、高木という男、こいつは見逃してくれませんかね」


(続く)

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