第369話 ヒロキにはめられる

「リョウ、俺の婚約の話があるんだが少し顔を貸してくれないか?」

ヒロキにそう言われ、俺は二つ返事で了解する。

「おっ、ついに年貢の納め時か♪もちろん貸すよ、何処に行けばいい?」

「・・・言ったな、言質はとったぞ。」

ヒロキは録音している。

「・・・嫌な予感がする。」

俺は冷や汗が流れるのを感じる。


「エジプトだ、そこで話をしようじゃないか。」

「何でだよ、話なら日本で充分だろ?」

「それがなぁ義理の兄にあたる人がエジプトで待っているんだよ。」

ヒロキはいやらしい笑いを浮かべている。


「義理の兄って、アベルじゃないか!」

「そうだな、そうとも言う。」

「そうとも言うじゃねえよ、そうとしか言わないだろ!」

「アベルは今、ピラミッドの調査をしててな、義弟の予定な俺が会うなら現地に行くのが筋だと思わないか?」

「1人で行けよ。」

「何を言う、ここに便利な調査人がいるんだ、連れて行かない筈がないだろ?」

「だましたなぁー!」

「お前の好きな言葉を送ろう、騙される方が悪い。」

こうして俺は半ば強引にエジプトに連れて行かれる事となる。


空港にて・・・

今回向かうのは俺とヒロキ、ダイキの三人にリナを加えた、戦闘力高めなメンバーだった。


「あれ、リョウ今回は静かだな?」

ダイキが不思議そうに見ている。

「いつまでも怖がる俺ではない!じいちゃんに聞いて対処方を得たのだ!」

「へぇーどうやるんだ?」

「瞑想する。」

「はい?」

「全ての感覚を遮断して瞑想すれば耐えれるはずだ!リナ、俺の瞑想中は俺の身体を守ってくれよ。」

「任せてお兄ちゃん、たとえダイキを蜂の巣にしてでも守りきるね。」

「リナ怖いよ!俺がリョウに何をするって言うんだ?」

「「いたずら」」

俺とリナの声がかぶる。

「俺の信用っていったい・・・」

ダイキは嘘泣きするのだった。


「お前ら遊んでないで行くぞ。」

ヒロキが出発を促す。

「ヒロキ覚えてろよ、リナ後は任せたよ。」

俺は意識を手放すのだった。


「さてと、お兄ちゃん♪」

リナは一先ずリョウをギュット抱き締める。

「いや、リナ、抱き締める必要はないよな?」

「いいの、無防備なお兄ちゃんなんて滅多にないのだから。

それより、お兄ちゃんを飛行機に乗せるね。」

リナは軽々しく俺を抱き抱えた。


「リョウのお姫様抱っこ、取り敢えず写真は撮っておこう。」

ダイキは迷わず写真を撮る。


「おまえは悪魔か、それより早く行こう、リョウが目を覚ましたらうるさいからな。」

ヒロキも飛行機に乗り出発するのだった。

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