第368話 売られそうな娘

「えーと。君は?」

「竹田アゲハと言います、どうか私の支持者になって貰えませんか?」

アゲハと名乗る少女は支持者を探しているよなので、

「俺は支持者にならないよ、他を当たってくれるかな?」

「お願いします!どうか私を買ってください!」

あまりに切実に求めて来るので話だけは聞くことにした。


「えーと、何かあるのかな?」

俺はアゲハを別室に連れていき話を聞く、もちろんアズサも一緒に来ている。

「実は、私このままじゃAVデビューする事になるんです。」

「あーあー、何か良く聞く話だけど、それなら引退したらいいんじゃないかな?」

「・・・出来ないんです。

私のプロデュースにお金がかかりすぎているとかで、その返済が終わるまでは止めれない契約になっているんです。」

アゲハはうつむきながら言う、

「なるほど、そんな契約もある・・・のかな?」

俺はアズサに聞いてみた。


「私も聞いたことはありますね、小さい事務所だと比較的良くある話だと。」

「ふむ、でも、俺が助ける理由はないよね?別に女の子をはべらす気はないし。」

「リョウ、説得力は無いわよ。ミウさんが聞いたら怒られるよ。」

アズサはジト目を俺に向ける。


「お願いします!何でもしますので、どうか!」

アゲハは深く頭を下げる、

「うーーーん・・・アゲハさん何でもする?」

「はい!」

「じゃあ、鹿の世話をお願いする。

その鹿がアゲハさんを気に入ったらその事務所から助けてあげると約束するよ。

まずは一週間住み込みで頑張ってみて。

アズサ、手配頼めるかな?

その事務所に仕事として派遣させて。」

「リョウは優しいから・・・わかったわ、手配しておくけど、アゲハさん、その鹿を傷付けたら許さないからね。」

「はい!もちろんです!」

アゲハは住み込みでアントくんの世話を始める。


芸能界デビューを狙っている子だから、動物の世話を嫌がるかと思ったら意外と献身的に世話をしており、アントくんも気に入ったようだった。


「アゲハさん、アントくんに乗ってみてもらえる?」

「乗ってもいいんですか?」

「アントくん、どう?」

俺はアントに聞くとアントは乗りやすいように座った。

「アントくん、失礼しますね。」

アゲハはアントにまたがるとアントは軽く走り出す。

「アントくん、少し早いです、もう少しゆっくり!」

アントは振り落とすこと無く楽しそうに走り回っていた。


「アズサ、アゲハさんを買い取ってもらえる?」

「そうなると思ってました。もう交渉済みですよ。」

「ありがとう、彼女とアントくんセットで動物系の番組に出してもらえるかな?」

「わかりました。」


アゲハとアントが動物系番組に出始めると人気が上がっていく。

アゲハが失敗するとアントに突っ込まれる、その鹿とのセットはお茶の間に笑いを提供していた。


「リョウさん、ありがとうございます。」

「いいよ、でも、アントくんの世話をお願いね。」

「もちろんです。アントくんのお陰で私の今があるんですから、ねっ?アントくん。

私の事をお姉ちゃんと思ってね。」

アゲハはアントを嬉しそうに撫でているが、


アントは俺に

「世話のかかる小娘の面倒は俺がみてやるから、安心しろ。」

頼もしい声を俺に聞かせてくれていた。

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