第370話 エジプト
エジプトについた俺はホテルで目を覚ます。
「おはよ、着いたみたいだね?」
「ああ、本当に起きないのだな。」
「もちろん、ただ、これをやると殺されてもわからないから怖いんだよ。」
「大丈夫、お兄ちゃんは私が守るから。」
「リナみたいに信じれる人がいないと駄目だな。」
俺はリナの頭を撫で、リナも嬉しそうにしていた。
「それでだ、明日、ピラミッドで調査を行う、リョウもいいな?」
「よくないよ!一応建前の婚約の話はどうなった!」
「それは順調・・・もとい、義兄がだだを捏ねてな、ピラミッドの調査が終われば協力してくれるかも知れん!」
「嘘が見えてるぞ。」
「やかましい、ここまで来たんだ、やらない選択肢は無い!」
「あーわかったよ、だけど貸しだからな!」
「おう、それでいい。代わりに働いてくれよ。」
その日は軽く打ち合わせをして、翌日ピラミッドに向かう。
「リョウ、よく来てくれた!」
アベルは嬉しそうに出迎える。
「・・・覚えてろよ。」
俺はアベルを睨む。
「ちょ、ちょっとリョウさん、やだな怖いじゃないか。」
「アベル止めとけ、リョウは機嫌が良くないからな、お前が下手に触ると危険だ。」
ヒロキがアベルを止める。
「そんなに?」
「そんなにだ、俺達は親友だから見逃されてるだけで、本来こんな真似したら暴れだしてもおかしくない。」
「ヒロキ、わかっているならやるなよ。」
俺のダメ出しにヒロキはさらっと答える。
「わかっててもお前を動かす必要があるんだ。」
「あー、もういいや、さっさとやるぞ。何処にいくんだ?」
俺の言葉に動き出す、
道中説明を受けるが今回行くのは新しく発見されたピラミッドのようだった。
そこには有るべき棺が無く、描かれている文字も新発見の物であり、考古学者が頭を抱えている最中であった。
そして、現地に着く。
「ピラミッドって聞いてたけど土の中なんだね。」
「ああ、先日の調査で見つかったばかりなんだが・・・」
「ふーん・・・これ墓じゃないから棺は無いよ。」
俺は入口にあった石板を取り敢えず読む。
「えっ?」
「なになに、遠い世界と交信する・・・ふむ、なんだろ?」
「お前には何がわかっているんだ?」
ヒロキが聞いてくるが・・・
「いや、ここが通信設備というのはわかったんだけど・・・」
「そもそも、何でここが通信設備だと?」
「ここに書いてるじゃん・・・もとい、見たらそんな感じだろ?」
俺はヒロキの顔を伺い、これが読めていない事に気付き、言い方を変える。
「・・・やはり、読めるんだな。」
「い、いやだなぁ・・・そんな感じがしただけだよ。
さあ、学者さんの邪魔しちゃ駄目だから帰ろう。
俺達の手に余るよね。うん。」
俺は立ち去ろうとする。
・・・がヒロキに肩を掴まれる。
「待とうか?なぁ、お前は何がわかったんだ?」
「怖いよヒロキ。」
「誤魔化すな、何かわかったんだろ?」
肩を掴むヒロキの握力が増す。
「いたいいたい、言うから、言うよ!」
「なら話せ!」
「信じられなくて、理解出来なくても知らないからな。」
「取り敢えず話せ。」
「ここは大規模な地脈を利用した、通信設備があったみたいなんだ、他のピラミッドとも連絡が出来たのは副産物で、本来の目的は空に向かって通信していたみたいなんだ。
それで、何でだろうと思っただけだよ。」
話を聞いていた学者が鼻で笑う。
「地脈?通信設備?お前は何を適当に話しているんだ?」
「だから、信用出来なくて理解出来ないって言っただろ?」
「そこの学者はどうでもいい、何で使われなくなったかわかるか?」
「地脈の流れが変わって使えなくなったみたい、その後何とかしようと地脈を追いかけて、別の場所に大規模なピラミッドを作ったけど通信を取り戻す事は出来なかったみたいだね。」
「そうか・・・」
ヒロキは納得したみたいだが、学者はうるさく騒ぐ。
「何をデタラメを言っているんだ・・・」
ヒロキは学者を殴り黙らせる。
「それで、動かし方は?」
「地脈が変わったんだよ、地脈を直すのは無理だよ。」
俺が否定するも・・・
「リョウ、話を変えたな、動くんだな?」
「・・・やり方はあるけど、動くかはわからない。」
「なら動かしてみようか?」
「めんどくさい・・・」
「何か言ったか?」
「あい・・・でも、真面目な話、直ぐには無理だな、色々調べて準備がいる。」
「お前でもか?わかった、じゃあ準備をして貰おうか。」
「日本から荷物取り寄せていい?」
「もちろんだ。」
俺はアズサに連絡を入れて、道具一式を送って貰うことにしたのだった。
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