第341話 横山支社長
「タツヤ社長、大阪支社長横山が来ておりますが。」
「通してくれ、」
横山は妻と別居を始めた翌日タツヤの元を訪れていた。
「タツヤ社長、この度は申し訳ありません。」
部屋に入るなり、土下座を行う。
「顔をあげたまえ、それじゃ話も出来ないだろう。」
「はい。」
横山は顔を上げる。
「事態は把握できたかね?」
「はい、妻が申し訳ありません、まさか、子会社を回って、息子の芸能活動の糧にしていたなんて・・・」
「そうだね、それに事務所に入るのにも圧力をかけたみたいだ。」
「申し訳ありません、こうなった以上、支社長の職を事態したいと思います。」
「そうかい、なら君に事例を言い渡す、熊本支部の部長に任じる、だいぶ降格とするけど受けるかい?」
「解雇でもおかしくないところをこの恩情に感謝します。」
「引き継ぎが終わり次第赴任してくれたまえ。」
「はい。」
横山は出ていこうとしたところ。
「君は優秀な人間だ、もう1度上に来れるよう頑張ってくれ。」
「ありがとうございます。新天地で生まれ変わったように頑張りたいと思います。」
横山は出ていった。
横山は別居したさいに借りたマンスリーマンションに帰ってから、マリに電話をする。
「マリか?」
「あなた!今何処にいるの!」
「俺は近々、熊本支部の部長になる。それに伴い熊本に引っ越しをする。一応まだ夫婦だ、どうする熊本に来るか、それとも離婚して大阪に残るか?」
「そんな・・・あなたが単身赴任で、熊本に行くというのは?」
「それが答えだね、それなら離婚するから判子を押してくれないか?」
「なんで、そうなるのよ、熊本に行ったらタダオちゃんの芸能人人生が終わっちゃうじゃない、今は大事な時期なのよ。」
「タダオの芸能人生か・・・俺の権力がなくてもやれるのならいいんだがな。」
「それって・・・」
「お前が俺の名前を使って子会社から仕事を取っていたのはわかった、今後そういう事は出来ない。」
「なんで、なんでそんなことを言うの、あなたはタダオちゃんが大事じゃないの!」
「可愛い一人息子だ大事に決まってる、だが、それと子会社に無理を言って何かさせるのは違う話だ。」
「タダオちゃんが有名になるのに必要な事なのよ、ねえ、これからも仕事が来るように手配しておいてくれない?」
「無理だ、俺は大阪支社長から降りたんだ、もうそんな権力はない。それにこの件は広くしれ渡っていて、今回のように子会社に圧力をかけた場合、必ず本社に連絡するようになった。」
「なんでそんなことをするのよ!」
「当たり前だろ!お前が出鱈目するからだ。」
「じゃあ、タダオちゃんはどうするの?」
「自力で頑張るしかないだろ?他の人もやってるしな。」
「そんな・・・」
「まあ、そういうことで俺は熊本に行く、お前達は残るのか?」
「熊本になんていけないわ!」
「そうか、なら財産分与で家はやるよ、その代わり慰謝料は少し減らすことになると思うが、このへんは弁護士と相談して決める。」
「待って!何も離婚までしなくても。」
「お前のせいで俺は大阪支社長を降りたんだ、これ以上お前に俺の人生を台無しにしてほしくない。それに、熊本にもついて来ないんだろ?それなら夫婦でいる意味もない、勝手に大阪で過ごせばいいさ。」
「・・・でも!」
「じゃあ、後は弁護士に話してくれ。」
「待って!一度会って話しましょう!」
そこで電話を切る。残り少ない任期で引き継ぎと対策を行い熊本に向かった・・・
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