第314話 面接開始

そして、面接は始まる。

俺とアズサは試験官側に座っている。

まあ、試験官の採点は別で行われており、俺とアズサの採点は参考程度としていた。

「自分ーーー。御社に貢献できる人材でーーー!」

何人か面接を受けたがみんな似たような事を述べている。

受け答えも定型文的なものが多い。

「どうです、聞きたい事はありますか?」

他の試験官が周りに聞いてる。

だから俺は・・・


「あー縁故雇用にたいして君はどう考えてる?」

なんとなく質問してみた。

資料を見ると彼は東大卒でこれまで別の一流商社にいたようだった。

「縁故雇用ですか・・・あまりよろしくないと考えております。あくまで採用、昇進は本人の実力とするのがいいと。」

「しかし、君は同じ東大卒で既にわが社にいる人の推薦状と共にここに来ているのだが、これも縁故雇用じゃないのかね?」

「たしかに、そう言われても仕方ない所もあると思います。ただ、その推薦状を得るには東大を出ないと手に入らないものですし、東大を出ている事でも能力を認めてもらえませんか?」

「まあ、そう言われればそうか?しかし、仕事と学歴は関係無くないか?君は教育学部出身みたいだが、ここは学校じゃないんだが?」

「たしかに直接的な学問ではないでしょう。しかし、東大に入れる頭脳があり、東大時代に気付いた人脈もあります。それを評価していただきたい。」

「うん、そうだね。じゃあ君の既望通り採用、昇進は本人次第となる、他の試験官もいいね。」

「「はっ!お望みのままに。」」

「えっ?」

「ちなみに俺は田舎の高卒だし、大学受験もしたことないから、東大の難しさも授業内容とか、よくわかってないんだ。ちょっと失礼な質問をしたことを謝罪しておくよ。」

「いえ、そのような事は。」

他の面接官の反応に急に焦りだしていたが、そのまま退出となった。


「若、先程の者は如何にしましょうか?」

「源グループは縁故だらけなのに、あの発言はよろしくないよね。採用するなら縁故がいない場所にしてあげて。」

「かしこまりました。」


「リョウ、なんであんな質問したの?」

「兄貴を縁故でねじ込んでるじゃん。他の人はどう考えているか聞いてみようかと。あの人にはちょっと悪いことしたかな?」

「うちは一族で勤めている人多いからね。縁故を認めれないのは駄目かも、それに縁を持つのもその人の才能の1つだよ。」

「まあ、他を黙らせる能力があればいいんじゃないかな?」

俺とアズサが歓談している間に次の人が入って来る。

次の人は松原ムギだった・・・

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