第296話 ギリシャに向かう。

「あれ、エミリー来てたの?」

「リョウ!」

エミリーは抱きついてくる。

「ちょ、ちょいまち!まだ膝がヤバいから抱きつかれるとまずい。」

「リョウくん、治ったんじゃ?」

「ミウ、流石にすぐには治らないよ。たまった血を抜いて、痛みを麻痺させてるぐらいだよ。後はしっかり固定して誤魔化して使うよ。」

「ダメだよ、そんな状態なんて!」

「仕方ないよ、見捨てれないし。」

「そんな・・・」

「リョウ、そんな身体で何処にいくの?」

「うーん、ギリシャ。友達が命懸けで行く。みたいだから、付き合ってあげるんだ。」

「リョウが付き合わなくても!」

「エミリー、俺に友達を見捨てるって選択肢はないんだよ。」

ちょっと威圧的になった。

「リ、リョウ?」

「あっ、ゴメンね、でも、この選択は変えないし変える気もないんだ。」

「リョウくん、頑固だから・・・」

「ミウもわかってるだろ?」

「うん、でも、今回は私も止めたいよ。」

「ごめんね~」


「さて、リョウ、そろそろ行くぞ。」

「ヒロキ・・・あれ?どうやって行く?」

「飛行機に決まってるだろ?」

「うっ、膝が・・・」

「うるさい、見捨てれないんだろ。悪いがきてもらうぞ。」

「電車!電車で行こ!」

「時間がかかる。さっさと行くぞ。」

「・・・うん、行く・・・かもしれない。」

「行くんだ!」

「さあ、行こうか、リョウ♪」

「ダイキ、お前まで!」

俺はヒロキとダイキに両脇を抱えられ連行されていった。


「リョウ、飛行機の準備は出来てるよ。」

「アズちゃん出来てなくてもいいんだよ。」

「見苦しいぞ、リョウ。」

「うう、二人は鬼だ!」

「はいはい、リョウ手を握っててあげるからね。」

「アズちゃん離したらダメだよ。」

「はい♡」

「あーアズサさん抜け駆けはダメですよ!」

少し遅れてミウ達が飛行機に乗ってくる。

「早い者勝ちです♪それにリョウに離さないでと言われましたし。」

「リョウくん、私もいるよ。」

「ミウ~」

「お兄ちゃん、何があってもリナが守るからね。」

ミウの手をとる前にリナが握ってきた。

「リナ~情けないお兄ちゃんでごめんね。」

「ううん、お兄ちゃんはどんな時でも一番だよ。」

「リナちゃん、横取りしないでよ!」

「早い者勝ち♪それにお兄ちゃんを守れるのはリナ。」

「うー」

「もう着いた?」

「「まだ、飛んでません!」」

ギリシャまで、嫌いな空の旅。

ずっと誰かの手を握っていた。

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