第284話 遺跡から離れて

地図を渡した後、俺達は休むためにホテルに向かった。

「しんどい・・・」

「リョウ大丈夫か?」

「ちょっと、頑張りすぎた。」

「お兄ちゃん、大丈夫?リナ看病しようか?」

「病気じゃないから、寝たら治るよ。ダイキとヒロキ一応警戒しといて、協力はしたけど軍や政府がどう動くかわからないから。」

「安心しろ、ちゃんと用意してある。」

「ダイキが?少し不安だが、任した・・・」

リョウはリナにもたれかかったまま眠りについた。

「お兄ちゃん?」

「寝たか?」

「さて、行くか。」

「ダイキ何処に?」

「この寝かたのリョウは滅多な事じゃ起きないからな」

「だから、何処に?」

「なに、安全な所に移動するだけだ。ヒロキ、リョウを持ってついてきてくれ。」

ダイキはそう言うとホテル近くの空港に・・・

「ダイキ、まさか!」

「うるさいリョウが寝てるからな、今のうちに飛行機で移動しよう。」

「お兄ちゃんが起きたらどうするの?」

「起きたりはしないよ、それに起きても空の上だ、すぐに大人しくなるよ。」

「ダイキ、ひどい。」

「それよりさっさと引き揚げよう、何があるかわからないからな。」

「わかった、リナ、ミズホさんも着いて来てくれ。」

「むーお兄ちゃん、怒らないかな?」

「だいじょうぶ、だいじょうぶ、怒ったら空だよ~って言えば大人しくなるから。」

「むーーー!」

「それより早く行こう、ジャマが入るとめんどくさい。」

「おう。」

寝てるリョウを連れてクレタ島から脱出した。


その頃、救出部隊の元に政治家が来ていた。

「お前たち!何をやっている、早く弟をたすけないか!」

「今、全力で行っております。」

「遅いぞ!ちょっと行けばいいだけじゃないか!」

「ですが、部隊にも被害が大きく、前に進めない状況なのです。」

「そんな言い訳が聞きたいんじゃない、いつ助けれるか聞いているんだ!」

「協力者から内部の地図を1部ですが手に入れましたので少しは早くなると思います。」

「ならば、何故その協力者を中に送り込まん!」

「彼等が頑なに拒否しまして。しかも、弟様が手柄を横取りしたとかで、好意的でもございませんので、こちらとしても無理にとは言えず・・・」

「弟が横取りして何が悪い!そんなことで怒る方が間違っているだろう。さっさと連れてきて中に送り込め!」

「しかし、彼等は日本人でして、国際問題になるかと。」

「かまわん、人命救助が第1だ!」

「・・・」

後ろで部下が・・・

「お前の弟の為に何人死んでると思っているんだ!人命第1と言うなら弟を諦めろよ。」

「おい、やめろ!」

「少佐!この救助は無理です、もっと確実に行かなければ全滅してもおかしくないです。しかも、ウイルス感染も有り得るならば、話でしょ!」

「君、私の弟と君たちが同じだと言いたいのかね。」

「あんた達は違うと言いたいんだろうが同じに決まっているだろ!」

「おい、よせ!すいません。コイツ今回の任務で彼女と兄貴を失ってまして。」

「少佐!離してください!こんなヤツの弟がいなければ、みんな生きていたのに・・・」

「なんだ、それがお前たちの任務であろう。それをなんだ、死んだのは失敗したからだろう、それをあたるのは違うぞ!これだから無学のヤツは困る、どうせ死んだヤツも似たようなバカなんだろう、少佐コイツを独房にいれたまえ、私が教育してやる。」

「いえ、その必要はないかと・・・」

「私があると言っているんだ、さっさと用意しろ!あと、さっき言ってた日本人も連れてこい!文句を言うなら撃ち殺してしまえ、彼等と言うぐらいだ、複数いるんだろ?なら1人ぐらい撃ち殺せば言うこと聞くようになるだろう!」

「そんなこと、出来るはずがないじゃないですか!」

「やれば出来るだろ!それよりさっさと動けこのノロマども!」

カチャ・・・

「なんだ?」

パン!

「グッ!な、なにを・・・」

ドサッ、政治家は倒れて動かなくなる。

「こんなヤツがいるから、俺達が無駄に死ぬんだ!」

「お前、何をやったかわかってるのか!」

「わかってますよ・・・でも、こうしないと、みんなが死んでしまうんです。少佐、俺を捕まえて、適正に救助活動してください。」

「・・・わかった、立場的に褒めることは出来ないが、お前のお陰で隊のみんなの命が助かったぞ。」

「少佐!」

「誰か、彼を警察まで送ってやってくれ。」

「はっ!行こう、お前の事は忘れない。」

「少佐、お世話になりました。」

1人の逮捕と1人の政治家の死によって、救助活動は適正に行われたが、救助出来たのは2人のみで、あとは行方不明として処理される事になった。

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