第282話 遺跡調査の学者
その頃、リョウ達を追い返した学者達は・・・
「おい、中の調査を開始するぞ。」
「ライトを持ってこい!」
自分達が歴史的発見の中を最初に見る事に興奮していた。
そして、悲劇は起こる・・・
「ここは通路になってるのか?こっちが遺跡だから、こっちに行くぞ。」
奥へと進んで行く、ライトを照らしながら先に進むと。
カチッ。
「なんだ、今の音は?うわっ!」
落とし穴が起動し、下に落ちる、高さにして5m、幸い怪我人は出なかったが自力で上に行くことは出来ないようだった。
「仕方ない、外に連絡を。」
携帯を見るが圏外になっていた。
「なっ!外のスタッフが気付くまでここに待機か?」
ゴゴッ!
すると、落ちてきた所が閉まって行くのが見えた。
「ま、まて!閉まるな!」
学者は叫ぶが意味はなかった。
学者、研究員合わせて13名が閉じ込められた瞬間だった。
「こっちに通路があります!」
どうやら何処かに通じる道があるようだった。
「よし、先に進もう。みんな気をつけて進むぞ。」
そう言って学者が通路に入った時、落とし穴で落ちた所との壁が閉まった。
「なに!おい、お前たち大丈夫か!」
学者の後ろにはまだ三名ほど残されていたが、壁は分厚く声が届くことはなかった。
「・・・先に進もう、いいか私たちが脱出して、彼らを助けるんだ。」
学者は周りを鼓舞しながら進むが・・・
カチッ。
ヒュン!
「何の音だ!」
見ると先行していた、一人の頭に矢が刺さって死んでいた。
「ヒイィィ!!し、しんでる・・・」
「だ、だれか!助けてくれーーーー!」
学者は叫ぶが誰も来ることはなかった。
「わ、わたしは死なんぞ、この発見を世界に伝えて歴史に名を残すんだ・・・」
先に進んだ所で分岐がある・・・
「どっちが出口なんだ・・・よし、右に行こう!」
「おい、学者さんよ!」
「なんだ!」
「右に行く根拠はなんなんだ!」
「なに?」
「間違えたらさっきのヤツみたいに死ぬかもしれないんだぞ!意味も無く従えるか!」
「右の方が落ちた場所の方角だからだ。」
学者は適当に答えたが、
「あれだけの事があったのに方角なんてわかるわけないだろ!俺は左に行くぞ、みんなも自分で決めるんだな。」
そして、半数が左を選び、残りが学者に従い右に向かう。
これが運命の分かれ道であった。
上に残っていたスタッフは定時連絡が途絶えた事により、軍に救助要請を行った。すぐに軍はやって来たが、あまりの仕掛けに先に進めなかった。
そんな中、最初の落とし穴にいた三名は保護され病院に移送された。見つかった時には憔悴しきっており、高熱とうわ言をのべる危険な状態だった。
「1小隊罠により壊滅、少佐これ以上は無理です、被害が大きすぎます。」
「それを決めるのは上層部だ・・・」
「しかし、このまま進行しても我々が全滅致します!」
「この先にいる、学者は大物政治家の兄弟らしい、上層部は我々の命よりソイツの方が大事なのさ。」
「そんな・・・」
「少佐、残されたスタッフに確認していた所、この遺跡を見つけたのは日本人のトレジャーハンターのようです。」
「なに?報告だと、行方不明の学者が発見者になっていたが?」
「どうやら、手柄を横取りしたようです。その際、その日本人が『どれだけ被害が出ても知らない』と言う発言をしていた事から内部の情報を持っているのではないかと!」
「急ぎその日本人を召集したまえ。」
「はっ!」
少佐の召集にリョウ達が見つかったのは翌日の事だった。
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