第270話 サッカードイツ戦

ギリシャ行きが決まった・・・

そんなブルーな俺が今日は楽しみにしていた。

日本対ドイツ戦。

「みんな、早くいこ?」

「リョウくんまだ朝だよ?試合は夜からだからもっとユックリでも大丈夫だよ?」

「リョウ、浮かれてるね?そんなに楽しみだったの?」

「だって、ドイツのフル代表が揃ってるんだよ。親善試合だし、てっきり控えとか多めかなと思ったけど。」

「リナが頼んだの。監督さんと選手に全員来てって。」

「リナはありがとうー」

「お兄ちゃん、このままドイツ代表に会いにいこ?」

「えっ?会えるの?」

「ちゃんと約束したから大丈夫、ホテルに行けばいいの。」

「行く行く!」

「はしゃいじゃって、お兄ちゃん子供みたい♪」

「子供でもいいや、さあリナ、行こう!」

「うん♪」

「ちょっと、リョウまだ準備が・・・」

「後でスタジアムで合流しよう!」

俺とリナはそのままみんなを置いてホテルに向かった。

「もう、リョウたら。」

「リョウくん、浮かれてたね。」

「そんなに見たかったのかな?」

「私達も準備して、向かいましょう。」

「そうだね。」



リョウはドイツ代表が泊まるホテルに来ていた。

「リナ実際来てみたけど大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。」

「あー、クロー来たよ。」

そこにはドイツ代表FWクローがいた。

「うわっ、本物だよ!」

「ようこそお越しくださいました、リナさんこちらに。」

「クローこれが私のお兄ちゃんだよ♪」

「はじめまして、リナさんにお世話になった、クローと言います。お見知りおきを。」

クローから握手を求められる。

ちなみに言葉はリナに訳してもらってる。

「はじめまして、お会いできて光栄です。」

俺は震える手で握手した。

「さあ、みんなが待ってますよ。リナさん、お兄さま、こちらにお越しください。」

俺達はクローの案内で大広間に向かう。

そこにはドイツ代表が揃っていた。

「おーリナさんだ、お久しぶりです!」

「ようこそお越しくださいました。」

「リナー!」

みんながリナを歓迎していた。

「リナ?お前何かやったの?」

「前に護衛してあげたら、仲良くなったの。」

「リナさん、あれは護衛のレベルを越えてますよ。お兄さま私達は中東に行った時に殺されかけた所を助けて頂いたんですよ。それ以来何度か守っていただいて、今では全員リナさんを慕っているのです。」

「おー、リナ守ってあげたのかい?」

「うん、仕事だったし、でも、サッカーも教えてくれるし、みんないい人だよ。」

「そのおかげで今俺も会えてるし、リナは偉いね♪」

俺はリナの頭を撫でる。

「お兄ちゃんが褒めてくれた~♪」

「ははは、仲が良さそうだな、私が監督のクラップだ、今日は良く来てくれた。リナの依頼通り最高の試合を見せてあげよう。」

「手加減したら、リナ怒るからね。」

「おお、怖いな。そんな奴はこの場にいないよ。ただ、日本代表が不憫でならないかな?せめて向こうも全力で来てくれたらいいのだが。」

クラップは笑いながら全力で試合をする事を言ってくれた。

それからリナを連れて皆さんに挨拶に向かった。

みんながリナを歓迎していて、その兄の俺にたいしてもフレンドリーに接してくれた。


「リョウ!これをあげよう。」

監督から渡された物は、40の番号とRYOと書かれたユニフォームがあった。

「これは・・・」

「今日の為に用意した正式なユニフォームだ、背番号も今回の試合登録したからリョウは俺達の仲間だ。」

「うそ!マジで!」

「ドイツを応援してくれていると聞いてな、サプライズだよ。」

「あ、ありがとうございます。」

俺は思わず涙が出るぐらい嬉しかった。

「ははは、喜んでもらえて何よりだよ。」

「クラップ、偉い。お兄ちゃんが喜んでる。私も嬉しいよ♪」

「リナさんにも喜んでもらえてよかったよ。そうだ、リョウ、今日の試合ベンチに入るかい?」

「えっ?」

「監督いいんですか?」

「親善試合だし、いいだろ?リョウは日本代表になったことはないんだよね?」

「無いです、というか国際試合に縁なんてないぐらいの下のレベルですから。」

「なら来るといい、こんな機会は二度とないかも知れないしな。」

「私もベンチに入れる?」

「もちろん、リョウの通訳としてスタッフ登録しておくよ。」

「なら、いい。お兄ちゃんどうする?」

「よ、喜んで、ベンチで見させてください。」

「よし、なら決まりだな。みんなリナとリョウがベンチに入るからな、くれぐれも恥ずかしいプレーはするなよ。」

「プレッシャーだなぁ~♪」

「ははは、ミスが出来ないな。」

「そうだ、リナさん、活躍した選手にサインもらえません?」

「わたしの?」

「そうです。リョウさんに選んでもらったMVPを祝福してください。」

「いいよ。お兄ちゃんもしっかり試合を見てあげてね。」

「やった!」

「待てよ!FWが優位すぎるだろ!」

「ちゃんと公平に見るようにしますよ。それにいいプレーが見れるならリナにサインを追加で頼むぐらいしますし。」

「お兄ちゃんの頼みは断らないよ。」

「よし、見てろ、今日が俺のベストプレーだ。」

「ユリアン、まだ若いのに今日をベストにするなよ。今日はノンビリしておけ。何ならベンチで寝てていいぞ。」

「やだよ!」

和気あいあいとした空気のまま、俺はドイツ代表と同じバスでスタジアム入りした。

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