第269話 貸しの重さ

帰宅後、

「リョウくん、何か言うことあるよね?」

「おつかれさま?」

「そうじゃないでしょ、なんでヒトミさんを呼んだの?」

「いやね、ヨシトって売れっ子なんでしょ?それに勝てる知り合いと言えばミウかヒトミだけど、ミウは学校もあるから自然とヒトミに連絡した。」

「リョウ、そこは源グループに頼ったらいいんですよ。いくらでも紹介しますから。」

「そうだよ、テレビの仕事欲しい人はたくさんいるんだから、リョウくんが自分で手配しなくていいんだよ。」

「そうなの?」

「「そうなんです。」」

「まあ、ヒトミも引き受けてくれたし今回はヨシとしよう。」

「代償が怖いのよ。」

「みんなで無茶は言わないよ、ヒトミは常識ある・・・はず。」

「断言できてないじゃん、それにリョウくんとデートとか言ってきそうだよね。」

「それぐらいなら、無茶じゃないだろ?」

「リョウくん!認識が甘いよ。食べられちゃうんだよ、ヒトミさんは怖い肉食獣なんだから。」

「お兄ちゃん食べられるの?」

「そうだよ、リナちゃん、ヒトミさんを近づけたらいけないんだよ。」

「リナがお兄ちゃんを守る!」

「ミウ、でたらめ教えるなよ、リナが本気にするだろ?」

「リョウ、あながちデタラメでもないような・・・」

「アズサまで。それに何も言ってきてないんだから考えても無駄だよ、ヒトミなら・・・何に使うんだろう?」

「リョウくん!そんな危険な事をしてはいけません!ちゃんと確認しないと後で困るよ。」

「大丈夫だって。」

「あんがい、飛行機でアメリカに連れていかれたりして。映画に出したがってたし。」

「それは貸し1じゃ足りないね。俺を飛行機に乗せたくば貸し10は用意してもらわないと。」

「どれだけ飛行機嫌いなのよ。」


「なんだ、貸し10でいいのか?」

「・・・やだな、ヒロキくん言葉のアヤだよ。」

「武士に二言は?」

「ないです・・・」

「お前に見てもらいたい、遺跡がギリシャのクレタ島で見つかってな。」

「やだ、聞きたくない!」

「貸し10で来てくれるよな?」

「うう、ヒロキのおにー!」

「いや~まさか貸し10でいいとはな。まあ、残りが3か少し減ったか?」

「うう・・・」

「ほら、リョウくん、大変な事になるでしょ?でも、ヒロキくん、ホントに行くの?」

「もちろん、遺跡を調べてもらいたいんだ。」

「俺はパスポート持ってないよ。」

「なら作るか。」

「逃げ道は・・・?」

「ない。」

「うう・・・」

「パスポートできたら出発だな♪」

俺のギリシャ行きが決まった・・・

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