第257話 ソロソロ、ピアノの練習

いろいろあったが・・・

「さて、タマちゃんソロソロピアノしようか。だいぶ時間がたったけどね。」

「はい。」

「誰のせいだ、誰の!」

「ダイキの浮気のせい。」

「てめぇ!」

「ねえ、リョウ。私達もピアノ聴いてていいの?」

「ミキ?退屈じゃなかったらいいよ。」

「なら、聴かしてもらおうかな?」

練習を開始する。

まずはタマさんに弾いてもらう。

教える必要がないぐらい綺麗に弾いている

「うん、凄くいいね、教える必要がないよ。逆に何処か聞きたい事ある?」

「ここのフレーズの弾き方を・・・どうしても、上手く弾けなくて。」

「ここはね、こういった感じで弾くといいよ。」

聞きたい事に答える指導に変更した。


「ねえ、ダイキ。」

「なんだ、ミキ?」

「リョウ真面目じゃない?」

「あいつも真面目な時ぐらい、たまにあるさ。」

「私が見るときはいつもふざけている気が・・・」

「まあね、ミキがいる時は俺もいるしな。」

「どういうこと?」

「お兄ちゃんね、ダイキがいるとすぐにからかって遊びだすの。」

「そういうこと、まあ俺もからかって遊ぶからお互いさまだけど。」

「だから、ダイキがジャマなの。」

「待てリナ!俺はジャマじゃないよ~」

「ジャマだよ、リナと遊んでても直ぐにダイキで遊びだすんだもん。」

「リナ、ダイキでじゃなくてダイキとじゃないのかな?」

「うん?ダイキで遊びだすんだよ。」

「俺は遊ばれてる訳じゃない。」

「だから、ダイキも遊ばれに来る時は考えて欲しいの。」

「遊ばれに来てる訳じゃないぞ。」

「リナが遊んでないときにして。」

「ねえ、聞いて?」

「ダイキも大変だね。」

「ミキからもリナに言ってくれないかな?」

「なんて言ったらいいの?ダイキとリョウはバラ的な関係と言ったらいいの?」

「やめて!リナに殺されるし、そんな関係じゃない!」

「だって、すぐ2人で遊びだすし・・・」

「あり得ないから!」

「そこ!外野うるさい!聴かないなら居間で茶でも飲んでろ!」

「すまん、リョウ!」

「ごめんなさい。」

「はぁ、タマちゃんごめんね、集中切れたよね。」

「私は別に・・・そうだ、リョウさん1曲弾いてもらえませんか?」

「へっ?」

「せっかく来たんだし、聴いてみたいです。」

「まあ、いいけど・・・何弾こうかな?じゃあ・・・」

俺は即興でタマちゃんをイメージしながら弾いてみた。

イメージは幼い恋心が大人の恋愛にかわる物語。

出だしは軽く陽気な、後半にいくほど重厚な曲調だ。

「・・・お粗末様だね。」

俺が弾き終わると・・・

パチパチ・・・

タマさんが必死で手を叩いていた。

「凄いです!こんな曲聴いた事ないですよ。」

「そりゃ今作ったから。」

「えっ?」

「タマちゃん見て作った曲だからね。」

「私を見て?」

「うん♪イメージは幼い恋心が成長して大人の恋愛に変わるって感じで作ったの。」

「ねえ、リョウ?なんでそんな曲作るかな?」

「思い付いたから?ってミキ!何で怒ってるの!」

ミキは俺のコメカミをグリグリしてくる。

「大人の恋愛にしちゃだめでしょ、私がダイキの彼女なのを焼き付けてあげる。」

「痛い痛い!」

「ほれ、記憶できたかな?」

「出来た出来た!」

俺は解放される。

「お兄ちゃん大丈夫?リナが撫でてあげる。」

「ありがとうリナ。」

「ったく、なんて曲作るのよ。しかも、いい曲だし、どうしてくれるの!」

「まあまあ、この場限りの曲だし。」

「えっ?」

「楽譜もないし、即興だからね。忘れたら終わりかな?」

するとタマさんがノートを出して、必死に書き出した。

「あれ?どうしたの!」

「話かけないでください、直ぐに楽譜にしないと!」

「リョウ、もう一回弾いてくれ。」

「ダイキ?」

「タマちゃんが書けるようにな。」

「あーあ、了解。」

俺はもう一度、演奏する。


「出来ました!」

「お疲れさま~」

「リョウさん!なんで楽譜を作らないんですか!」

「いや、作るのもあるよ。でも、思い付いたまま弾くからね、楽譜にならないのもたくさんあるんだよ。」

「だめです!リョウさんの曲は残していかないと!」

「そっかなぁ?」

「そうです!」

「でも、楽譜書くのめんどくさいし・・・」

その時、客が訪ねてきた。


「先生!両親を説得してきました!お側に置いてください!」

名古屋で会った、アキラくんが両親を連れてきていた。

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