第236話 道はない
フミエはヨシナリに土下座をして頼み込む。
「お願いです!ご再考願えませんか?」
「ダメだね、あれだけうちの婿を侮辱したんだ、覚悟の上だろ。」
「主人は何も考えていないだけなんです。どうか考え直していただけませんか?このままだと社員128人が路頭にまよってしまいます!」
「そうか、なら社員だけはうちで面倒をみよう。」
「!!ヨシナリさま、それでは私達は・・・」
「路頭に迷うがいい。」
「そんな!」
「源家の婿を手にかけようとして、ただで済むとは思っておらんだろ。始末するのは簡単だがそれでは甘過ぎるだろ?」
「それは・・・それには私達も含むと・・・」
「当該家族を支援しているのだ、当然のむくいだろ?」
「では、ヨシナリさまは私達に娘や孫を見捨てろと?」
「当たり前だ、お前達は事の認識が悪いようだな。源家の婿を手にかけようとした、それだけで万死に値する、」
「源家は女子供に情けは無いのですか!」
「都合のいい時だけ女子供を語るな!刃を向けた以上、それは敵だ。恨むなら浅はかな娘を育てた自分を恨むのだな。連れていけ!」
「せめて、ユミだけは、お願いします!お慈悲を・・・」
フミエは源家から追い出された。
「どうだった?」
ゼンは家に帰ってきたフミエに聞く。
「社員の行き先は保証してくださりました・・・」
「社員なんかはどうでもいい!私達は!」
「わたしたちは・・・破滅よ・・・」
「なに・・・」
「ヨシナリさまはかなりお怒りのようでした。」
「こうなれば、弟に頼んで・・・」
その時、テレビからニュースが・・・
『ニュースをお伝えします。今朝、宇都宮警視監が自宅マンションより飛び降り死亡が確認されました。警察の自殺との見解をしめしており・・・』
「こ、これって・・・」
「弟が自殺するわけがない!源家に殺されたんだ!警察に訴えてやる!」
「待って!あなた!」
ゼンはフミエが止めるのを聞かずに警察に訴える。
「弟が自殺なんてするわけがない!調査をしてくれ!」
「・・・宇都宮警視監は自殺です。」
「警察は真実を調べる気はないのか!」
那須警視監が部屋に入ってくる。
「ゼンさん、お久し振りです。」
「おー那須くん、よかった君に会えて、君なら弟が自殺したりしないことはわかってくれるだろ?弟は源家に殺されたんだ!」
那須は宇都宮警視監に連れられ交流があった。
那須はゼンを別室に案内して話を始める。
「ゼンさん、宇都宮警視監が不自然に死んだのはわかっています。ですが、これ以上警察はこの件を大きくしたくないのです。」
「なっ!警察は殺人を見逃すのか!」
「そういいますが、我々の力では犯人を捕まえる事は出来ませんし、長引かすと国がメチャクチャになってしまいます。弟さんを亡くした悲しみはわかりますが国の為に引いてもらえませんか?」
「そんな!警察は悪を見逃すのか!」
「悪といいますが、ここまで大事になったのは宇都宮警視監とあなたの娘マキさんのせいですよ。その二人が冤罪作って、桐谷氏を殺そうとしなければ、こんな混乱はおきなかったんです。」
「うちの娘や、弟が悪いというのか!」
「もちろん、冤罪を作るのは悪いことでしょ?」
「上の人間に逆らうのが悪いに決まっているだろ!桐谷なんぞ聞いたこともない家名と比べようがないわ!」
「はぁ、確かに家名は良くないのかもしれませんが、ある筋では有名な家名ですよ。」
「なんだ!」
「人斬りアキラ、上級国民の方なら名前ぐらい御存じでしょう」
「あの理不尽な人斬りの話か?戦後から法に従わない無法者として有名な奴だよな?」
「はい、それが桐谷氏の祖父です。」
「そこまでわかっていて、警察は何故捕まえないんだ!」
「アキラ氏は過去に政府と交渉してまして、難題な仕事受ける代わりに超法規処置にて罪に問われない事になっているのです。」
「そんなバカな話があるか!」
「彼が日本に所属しているだけで長年に渡り世界の工作員から日本は守られてきました。その為もあり、逮捕出来る存在ではないのです。そして、孫のリョウ氏もアキラ氏に負けない技量があると判断し、彼にアキラ氏の後継者になってもらうよう交渉する予定です。なので、ゼンさんがどれだけ訴えても警察は取り合うことはありません。」
「それならマスコミにリークしてやる!警察の不祥事と共にな!」
「どうぞ、我々はマスコミを押さえていませんが源、西園寺がマスコミを支配してますので取り合わないでしょう。」
「・・・」
「いいですか、私が言いたいのはゼンさんは何もせず、静かに暮らしていく事です。これは以前交流があった者の善意の言葉です。」
「君は弟に受けた恩を忘れたのか!」
「・・・私は宇都宮警視監の為に協力したことで近々解任される予定です。場合によれば罪に問われるでしょう。もちろんいい思いもさせてもらいましたから、恨むのは筋違いなのはわかってますが、それでも色々思うところはあるんです。」
「・・・」
「いいですか、くれぐれも桐谷氏と敵対するような事は控えてください。彼等は現役の警視監を暗殺するような奴等です。狙われたら命の保証は出来ませんし、警察も保護が難しいです。いいですか、命を大事になさってください。幸い敵対しなければ無害な人物みたいなので、これは私の見解ですが、あなたの孫である山中マイさんを連れてリョウ氏に謝罪に行くことを薦めます、彼女は以前に交流があったみたいですので、もしかしたら助かる可能性があるかもしれません。・・・
私が言えるのはここまでです。」
「ありがとう、しかし、ここまで言って君は大丈夫なのかね?」
「辞めるのは決まってますから・・・せめて、お世話になったお礼です。」
ゼンは警察署を後にした。
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