第234話 マキの末路
リョウがまだ神戸にいた頃、
まだ、宇都宮警視監がジロウに始末される前。
離婚したマキは実家に帰っていた、
マキの実家はそれなりの名家であり、特に父親であるゼンは子供の頃からマキを存分に甘やかしてきた。
その為、離婚されて、帰ってきたマキをあたたかく迎え入れ、マキの言い分だけを信じていた。
「お父さん、諸悪の根源の桐谷リョウをどうにか出来ない?」
「うーん、しかしなぁ、源家を相手にするのはなぁ。」
「でもね、お父さん、これは源家を救う為でもあるのよ、源家に寄生しているあの男を排除したら、お父さんは英雄だよ。」
「そうかい、よし!一度話に言ってみよう!全てお父さんに任せなさい。」
ゼンは源家当主に面会を求める。
「なに?宇都宮ゼンが面会を求めている?」
ヨシナリは少し驚いていた。これからリョウを嵌めた宇都宮に報復に出る所だったが、そこの当主が面会を求めてきたのだ。
「凄いタイミングだが、会ってみよう。連れてきたまえ。」
「お久しぶりです、ヨシナリさん。」
「失礼、どこかでお会いしたことがありましたかな?」
「以前、講演会の後のパーティーで御挨拶させていただきました。」
「これは失礼した。ところで今日はどんな後用事で?」
「はい、単刀直入に申します。源家は桐谷リョウを切るべきです。」
ヨシナリのコメカミに青筋が走る。
「ほう、いきなり当家の婿を批判とはなかなか辛辣ですな。」
「彼は源家に害を与える存在です。現に今、源家は警察と敵対してしまってます。これは大きな損害です。ここは桐谷リョウを処分し、元の健全な状態に戻すのが得策と思いますがいかがでしょう?」
「なるほど、当家の事を思っての進言と言うことですか?」
「もちろんです。あの男は幼い子供を傷付け、1つの家庭を崩壊させるような最低な男です!そんな男は天下の名家たる源家に相応しくないでしょう。」
「・・・君達はホントに人を怒らせるのが上手いね。」
「えっ。」
「少なくとも君の娘はリョウくんに恩があったはずだ、それをないがしろにして、傷付け、冤罪をかけ、殺そうとした。そんな家から出てきた意見を私が聞くはずないだろ!」
「しかしですね、世間を騒がせるような男は源家に相応しくないのでは!」
「うちに相応しいかどうかはうちの人間が決める!そして、私の命令がなくとも彼の元に源家は纏まりつつある。実にうちの婿に相応しい。」
「彼は法を犯すような人間です!」
「だからなんだ。」
「えっ?」
「間違ってる事に間違っていると抵抗することが悪いことか?警察が全て正しいのか?」
「警察は正しいかと。」
「ふっ、そうだな。警察を使って冤罪を作った家の人間らしい言葉だな。」
「冤罪なんて・・・」
「宇都宮警視監、彼が冤罪を引き起こしたぞ、たしか君の兄弟だったね。」
「弟は娘の為にやっただけだ!」
「それのどこが正しいんだ?」
「家族を大事にする事のどこが悪い!」
「はぁ、頭が痛くなるな、つまり君は警察は常に正しいくて、自分の家族の為なら冤罪を作ってもいい。とそう言いたいのだね。」
「そうだ!」
「救いようがないバカだな。よし、もう話すことはない、帰れ!これより源家の力を思い知らせてくれる!」
「なっ、なぜそうなるんだ!」
「嫌なら抵抗するんだな。」
「誰かコイツを摘まみ出せ!」
ゼンは屋敷を追われる。
追い出されたはゼン家に帰る。
「マキ、源家に話は通じなかったよ。」
「えっ!私達の言葉が理解できないそんな頭の悪い人なの!」
「ああ、私達の善意の言葉が届かないとは、源家も堕ちたものだ。」
そこに経営している会社の秘書が慌てた様子でやってきた。
「社長!大変です!」
「どうした?」
「取引先全てが取引の停止を伝えて来ました。」
「・・・なに?」
「あと、材料の仕入れ先も取引しないと・・・」
「他の取引先を探せ!」
「どこも話を聞いてくれません!」
「何故なんだ!何故こんなことが起きる!」
「失礼ですが源グループと何かありましたか?」
「なに?」
「取引先の1つが源家に噛みつくような所とは商売出来ないと言ってました。」
「・・・」
「何かあったんですね!」
「私は良かれと思って進言しに行っただけだ!」
秘書は話を聞いた
「・・・社長、長い間お世話になりました。本日で退職させてもらいます。」
「なんで、君が辞める!」
「これ以上この会社にいて源家に目をつけられたくありません!娘さんを引き取ってるだけでも恐ろしいのに、なんでそんなことを源家の当主に言えるんですか!」
「悪い事に悪いと言うのが間違っているのか!」
「それなら娘さんに言ってください!一番間違っているのはそこにいる娘のマキさんです!」
「私の何処が間違っているのよ!」
「それがわからないからこんな事になるんでしょ!もう私はあなた達と関わりを持ちたくありません!退職金もいりませんから即日やめさしてください!」
「おう、出てけ!娘をバカにするような奴は会社にいらん!今すぐやめろ!」
「それでは失礼しました!」
秘書はそのまま出ていった。
「お父さん」
泣きそうな顔でマキはゼンを見つめていた。
「おー可哀想に、酷いことを言われたね。大丈夫、お父さんが守ってあげるからね。」
「うん、お父さんなら大丈夫だよね。」
「任せなさい、でも、ちょっと会社に行ってくるよ。なに、すぐ立て直せるさ。」
「行ってらっしゃい~」
ゼンは一歩踏み出した、希望のない未来に向かって・・・
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