第233話 決着

「おはよ、あのあとどうなった?」

俺が目を覚ましたのは翌日だった。

「リョウくんおはよ、もう動いて大丈夫なの?」

「ああ、昨日は心配かけたね。」

「そうですよ!いきなり刀を受け止めるからビックリしましたよ。」

「切腹されても困るしね。」

「いいですかリョウくん、刀を持つとケガする、知ってますか?」

「知ってるよ!」

「なら、しないでください。ホントに心配したんですから。」

アズサは俺の胸に寄りかかり泣き出した。

「アズちゃん、ゴメンよ。」

「・・・昨日みたいにアズサって呼び捨ててくれません?」

「えっ?俺呼び捨てにした?」

「はい、なんか所有された気になれました。」

「あーごめんね。」

「ちがいます、呼び捨ててください!ミウさんとかみんな呼び捨てなのになんで私だけちゃん呼びなんですか!」

「あーじゃあアズサ。」

「はい、あなた♡」

「アズサ違うよ!そこリョウでいいからね。」

「じゃあ、もう一回。」

「アズサ。」

「なんでしょう、ダーリン♡」

「何その呼び方!」

「これは私も恥ずかしかったです。今のは無しで!」

「もう遊ぶなら呼ばないよ。」

「ごめんなさい。」

「わかった?アズサ。」

「はい、リョウ。」

「うん、なんか照れるな。」

「いいんです、慣れてください。」

「まあ、それよりあれからどうなったの?」

「借金取りの組織は壊滅しましたよ。」

「へっ?」

「金銭での交渉を受け付けなかったので、物理でお話しました。」

「それって大丈夫なの?」

「世間の闇が1つ消えましたね。」

「・・・まあいいか、それであの男は?」

「一応、豚部屋で捕まっていたところを発見しましたがお会いしますか?」

「いや、いいや、シンジさんとマイちゃんには伝えてあげて。」

「わかりました。」

「それとマイちゃんなんですが・・・」

「何かあったの?」

「こちらでメイドになりたいと・・・」

「はい?」

「リョウにお世話になった分を少しでも返したいとの事で住み込みで働きたいとの事ですがどうします?」

「マイちゃん、小学生じゃん!働かしたらいけないよ。」

「そうなんですが・・・本人が凄くやる気なので・・・」

「なんか歯切れが悪いね、ちょっと会って止めてくるよ、」

俺は食堂に行くと・・・

「あっ、おはようございます、御主人様。」

メイド服を着たマイちゃんがいた。

「・・・」

「本日より御主人様の為に全身全霊をかけてお仕え致します。御用があれば何なりとお申し付けください。」

「リョウ、マイちゃん見た?」

「おはようございます、アズサさん。」

「マイちゃん、私には普通なのね?」

「私が仕えるのは御主人様だけですから。」

「いいけど、そのメイド服はどうしたの?」

「カエデさんが用意してくれました。似合いませんか?」

「似合いすぎてて困るのよ。」

「ねっ?リョウ?」

「うん、マイちゃん似合ってるよ、凄く可愛い。」


「御主人様、そんな可愛いなんて・・・よければいつでも味見なさってくださっても。」

「ストーップ!!味見って何!」

「まだ未熟な果実ですが、いつでも食べてください♡」

「アズサ!どうなってるの!」

「うーん、行きついちゃった?」

「何それ!」

「御主人様どうします、ここでなさいますか?それともお部屋で・・・♡」

「しません!というか意味わかって言ってるの!」

「はい♡私は初めてですのでゆっくり味わっていただけたら。」

「どうしよう、意味わかってそうだよ。」

「女の子は知ってるものですよ。それより毅然とした態度をとってくださいね。メイドに翻弄されるなんて当主としては恥ずかしいのですから。」

「当主じゃないけど、そうだね毅然としなきゃね。」

「では、まずお口で御奉仕致しますね♡」

「ストーップ!!どうしようアズサ、毅然と出来ない。」

「はいはい、動揺しない、マイちゃん、それぐらいにしてあげて、リョウはウブなの、それに私より先はダメよ。」

「でも、御主人様も男の方ですから、抜いて差し上げないと爆発すると。」

「だれ!だれがそんな間違った情報を!」

「カエデさんがおっしゃってました。」

「カエデ!」

「なんでしょう?」

「なんで間違った情報教えるの?」

「間違ってますか?」

「うっ!」

「溜まっても爆発しないと?」

「いや、表現がね、生々しくない?」

「乙女じゃないんですから、さあ、裸になって本能に身を任せましょ♡」

カエデは服を脱がせようとしてくる。

「カエデ、ストーップ!」

「なんでしょう?」

「落ち着け!カエデなに始めようとしてるの?」

「先輩メイドとして後輩を教育することが大事なんです。」

「教えることがちがう!」

「大丈夫です。いずれ知ることですから。」

「相手を選ばしてあげてよ!」

「私は御主人様が初めての人で、いいですよ。」

「ほら、さぁ、リョウさま、いただきますは?」

「ちがうから!なにいただきますをいい忘れてるみたいに言ってるの!しないからー!」

「御主人様、いつでもお待ちしております。」

「待たなくていいから、それよりメイドもしなくていいよ。」

「それはダメです!私は御主人様にお仕えすんです!」

「あーシンジさんはどこ?」

「おじいちゃんなら、そこに。」

「おわっ!いたの!」

「おはよリョウくん。」

「いたのなら孫の暴走を止めてくださいよ!」

「暴走?マイはいい子だからな、暴走なんてしてないよ。」

「してますよ!メイドになったり、体で奉仕しようとしたり!」

「いいじゃないか、尽くす相手を見つけたんだ。祖父としては見守るだけだよ。」

「止めて!尽くすもなにもマイちゃんはまだ小学生ですよ!」

「最近の子供は成長が早いなぁ。」

「早いなぁじゃないですよ。」

「しかしだね、私達にはどうリョウくんに恩を返せばいいかわからないのだよ、ワシも働くつもりだが、マイも自分で考えて恩を返したいのだろう。受け入れてもらえんか?」

「うー、なら学校には必ず通うこと。これは譲れませんよ。」

「わかった。それでいい、マイの事を宜しくお願いします。」

「いいですよ。あと借金取りは片付いたみたいですので家に帰っても大丈夫ですよ。」

「ありがとう、・・・リョウくんに聞いていいかはわからないが息子はどうなったのかわかるかね?」

「あー豚小屋に入れられて働かされていたみたいですね、まあ、1日2日ですのでそんなに酷い事にはなってないみたいですよ。」

「すまない、ホントに迷惑をかけた。」

「いえ、でも、シンジさんとマイちゃんが会うのは止めたりしませんが俺に引き合わすのはやめてください。あと、彼が今後どうするかは知りませんが俺は彼の援助をしませんよ。」

「わかった。ホントにありがとう。」

シンジは家に帰っていった。

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