第175話 レオンのすすめ

「レオンさん、久しぶりです。」

応接室で待っていたレオンさんに会う。

「リョウくん、久しぶりだね。ケガは大丈夫かい?」

「ええ、少し動くぐらいは何ともありませんよ。」

「しかし、此処まで大事になるとはね。」

「ホントに警察を見損ないましたよ。」

「リョウくんが此処まで出来るとは思わなかった・・・まさか警察に勝つとは。」

「みんなのおかげです。俺は重傷で何も出来てませんし。」

「みんなが助けてくれるのもリョウくんの力だよ。それで今日此処に来たのは、リョウくんソロソロ東京に帰るかね?」

「へっ?」

「事情は調べているよ、飛行機を含めた空の移動が嫌いなんだって?」

レオンさんは少し笑いながら言った。

「笑わないでくださいよ、どうしても空は嫌なんですよ。」

「ゴメン、ゴメン。それでだ神戸港まで医療設備のある船を用意したから、それに乗って帰ろう。」

「えっ?」

「ホントはリョウくんをイギリスに逃がすために用意したのだがね、まさか警察に勝つとは。」

「レオンさん、国外逃亡さしてくれる気だったんですか!」

「もちろんだとも、私が一緒にいる時にさらわれるなんて、この国は私を侮辱しているのかと思ってね、急遽護衛と逃走手段を用意したと言うわけだ。」

「レオンさん、物騒ですよ!」

「警察とやりあってた君には言われたくないな。それに用意したのに使えないとは悲しいな、エミリーもリョウをイギリスに連れて帰って守ると張りきっていたんだが・・・」

「そういえばエミリーちゃんは?」

「船で待ってるよ。連れて来ても良かったんだけど、話をするのにしにくいと思ってね。」

「そうですか、うーんどうしようかな。」

「リョウ兄、行っちゃうの?」

「いつまでも神戸にいるわけにも行かないしね、これはいい機会なのかなと。」

「不躾ですが、レオンさん船の警備はどうなってますか?」

「アズサちゃん、警備は船を貸切、私の第一騎士団が警備にあたっている。たとえアメリカ軍に攻められても負けないとだけ言っておくよ。」

「レオンさん本気ですね。リョウくん警備は万全のようです。」

「アズちゃんそんなにスゴいの?」

「ええ、これを破れるのは世界にもほとんどいないかと。」

「破れる人はいるんだ。」

「リョウさま、世界には十人の化物が現在確認されております。その化物相手ならどんな警備も意味をなさないかと、姫様はそれをおっしゃっているのです。」

「十人の化物?」

「はい、アキラさまやジロウさまも含まれております。」

「・・・つまりそのレベルって事?」

「はい、ですから安全な事は間違いないかと。」

「あとその化物の一人、リチャードが今回護衛に来ている。だから、容易くは抜かれる事はないよ。」

「へぇーどんな人なんだろう?」

「リチャードは騎士道精神を重んじる男だよ。」

「それにレオンさんの親友ですよね。」

「そうだよ、家族ぐるみの付き合いをしている。今回もエミリーのお願いで来てくれる事になったんだ。」

「じゃあ、エミリーちゃんに会ったらお礼言わないとね。」

「エミリーも喜ぶよ。」

「じゃあ、船で東京に帰るということで決まりかな?船に乗るのは俺とミウとアズちゃんかな?サエちゃんは京都に帰るんだよね?」

「はい、取りあえず一度京都に帰りますが近いうちに東京に行こうと思います。」

「りょーかい、じゃあ、ミズホということで東京に帰ってくるよ。」

「リョウ兄・・・私も行く!」

「ミズホなに行ってるの?大学はこっちでしょ?」

「大学は休学してでもリョウ兄に着いていくもん!」

「おじさん、なんとか言ってやって。」

「ミズホ、いいのかい?休学と言ってもほとんど留年と変わらないだろ?後悔はしないかい?」

「今、リョウ兄と離れたら取り返しのつかない事になっちゃいそうなんだもん!後悔はしないよ!」

「なら、お父さんが言うことはないね。リョウ、ミズホの面倒頼むよ。」

「おじさん!説得は?」

「だから、リョウに頼んでいるじゃないか?」

「はぁ、仕方ないなぁ。東京の家は狭いからな、引っ越すまでは我慢しろよ。」

「うん♪」

「ま、待ってリョウくんもしかして一緒に住むつもり?」

「変なことかな?イトコが上京してきたら、泊めるぐらいはするだろ?」

「よくないと思います。ミズホさんも女の子なんだからちゃんと別の所に住まないと。」

「わたしはリョウくんの親戚だし、一緒でも問題がないかな。」

「ダメ!リョウくんこれを機に西園寺で生活しよ?今の家はミズホさんにあげて。」

「ミウ、ちょっと冷たくない?私はリョウくんと住みたいの!」

「私はリョウくんと住ませたくないの!」

ミウとミズホはお互いに譲らない。

「二人ともリョウくんはしばらく家に帰れないよ?」

「えっ?アズちゃん、俺、家に帰れないの?」

「だって安全を考えても一人で住ませられないでしょ?源か西園寺の家になるんじゃないかな?」

「そうなのか?じゃあ、アントくんと一緒に世話に・・・」

「なっちゃだめ!リョウくんは西園寺に来るべきだと思うよ。私の婚約者なんだから!」

「安全は源の方が上ですよ。」

「「さあ、リョウくんどっちに住みたい?」」

二人に答えを迫られていた。

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