第173話 後片付け

「おはよ、なんでみんないるの?」

「リョウ兄」

「あれ、ミズホがなんで布団の中に???」

「よかった、大丈夫なんだよね?」

「うん?なにかあった?」

「昨日の事は覚えてないの?」

「昨日・・・ミズホ友達は選ぼうな。」

「友達じゃないからね!」

ミズホとの間を割るようにミウがミズホと俺の間に入ってくる。

「リョウくん!もう大丈夫?」

「ああ、大丈夫かな?近付きたくはないけど。」

「リョウくんを男に何か渡さないから大丈夫!」

「リョウ起きたか?」

「あ、おじさん、おはようございます。」

「起きてさっそくで悪いが動物を移動さしてもらえないかな?」

「どうぶつ・・・」

「覚えてないのか?今、家の周りに犬、猿、鹿が集まっているんだ。」

俺は窓から外を見る。

すると多数の動物の目がこっちを一斉に向いた。

「ナニアレ、コワクナイ?」

「リョウ、なんとかしなさい。」

「わかったよ、でも先にゴハン・・・」

「先に動物をなんとかする!」

「あい・・・」

俺は庭にでる。

「あ、もしかしてシーちゃん?懐かしいね、修学旅行以来かな?」

俺は真っ先に顔を近付けてきた、奈良公園の鹿、シーちゃんを見つける。

俺がシーちゃんを撫でているとアントくんも近付いてきて撫でてと頭を下げる。

二人を撫でながら、

「シーちゃん他の鹿さん達奈良公園に帰してあげて、ここだと他の人の迷惑になるそうなんだ。でも、助けにきてくれてありがと、スゴく嬉しいよ。」

俺の言葉にシーちゃん以外の鹿は帰路につく。


屋根に待機してる、エテくんに声をかける

「エテくん!元気、京都から来てくれたの?ありがと、でも京屋敷を守ってよ。俺は大丈夫だから!」

エテくんは手を振り、周囲の猿は消えるようにいなくなった。

エテくんは俺のところに降りてきて、握手をしたあと、エテくんも消えるように姿が見えなくなった。

「エテくん、いつから忍者になったんだろ?」

「おじさん、庭は片付いたよ!さあゴハンにしよ。お腹すいたんだよ。」

「まだだ、塀の猫と外の壁沿いにいる犬にも帰ってもらいなさい。」

「あとで・・・」

「今、しなさい。飼い主さんも困っているんだからね。」

「はーい。」


俺は塀の猫に声をかける

「猫さん、お家のある子は早くお家に帰ってあげて、飼い主さんが待ってるよ。」

その声に半数の猫が立ち去る、

「残りのみんなももう大丈夫だから心配しないで、さあ解散して~」

これで残りの猫達は気が向いたらどっかに帰るだろ。


「さて、おそとのワンちゃんはどうしようかな~」

俺が玄関から外に出るとみんながよってきた。

「はいはい、大丈夫だから!ちょい、ちょい待ち。」

俺は犬達に押し倒され、顔をなめられていた。

「ストップ!待った!いや待ってって!」

俺は犬にしゃがれ埋まっていた。

「リョウ兄何してるの?」

「ミズホ!ヘルプ!ワンコがじゃれてきて・・・モフモフする。」

「うれしそうじゃん。でも、ほらちゃんと飼い主さんに返してあげて!」

「はーい、ラルフ!」

「ワン!」

ラルフが吠えると犬達は整列した。

俺は起き上がり、

「あー、みんな心配してくれてありがと、もう大丈夫だからお家に帰って~」

「ワン!」

犬達も各自帰路についた、


「ふぅ~、これで片付いた。さあ朝御飯♪」

「リョウ兄、ご飯の前にお風呂だよ」

「へっ?」

「動物の毛がつきすぎだよ。さあ、洗ってあげるからお風呂に行こ?」

「洗ってもらわなくても自分で洗えるよ。」

「家族だから気兼ねしないんでしょ?久しぶりに一緒に入ろ?」

「ノー女の子は恥じらいをもって!」

「今さらだよ、ラルフ捕まえて!」

逃げようとした俺にミズホはラルフをけしかける。

「ラルフ見逃して!」

二人の命令にラルフは迷い、二人を交互に見る、

「ラルフ、ここで逃がしたらリョウ兄どっかに行っちゃうよ?遊んでくれなくなってもいいのかな?」

「あっ、ミズホ汚いぞ!」

ラルフはその言葉でリョウの足にしがみつき離れなかった。

「ラルフ~うらぎったなぁ~」

「さあ、リョウ兄あきらめてお風呂に入ろ♪」

ミズホに手を握られ、捕獲された俺は風呂場に連行された。

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