第172話 リョウ身の安全の為に!

「それより、ミズホさんお家で鹿を飼っているの?」

「アズサさん?リョウ兄が連れてきたアントくんならいますけど。」

「見る限り20頭はいるけど、ああ、裏の山から来てるのね、ここは自然が豊かなんですね。」

「一度も来たことありませんけど。」

「・・・」

「アズサさん、現実みよ?きっとリョウくんが何かしたんだよ。」

タメ息混じりにミウが言う。

「でも、どこから・・・」

「鹿といえば奈良公園ですよね?」

サエがのんびり答える。

「ま、まさかね?」

「そうよ、どれだけ距離があると思うの。」

「でも、リョウさまですよ?」

「・・・」

「それにしても何頭いるんだろう?」

「サエさん数えてみる?」

「見分けがつかないから数えれないよ~、あれ?エテくんも来てる。」

「エテくんも?リョウくんが呼んだのかな?」

「君たちテレビをつけてみろ!うちがニュースになってる!」

アキヒロさんの言われるとおりテレビには家が写っていたが・・・

「なにこれ・・・」

家の壁沿いには隙間なく飼い犬、野良犬関係なく整列しており、塀には猫が並ぶ動物屋敷がそこにあった。

「これ絶対リョウくんがやってるよね。」

「さすが、リョウくん!といいたいけどやり過ぎだよね。」


「ミズホなんとか出来ないか?このままだと近所迷惑になってしまう。」

アキヒロさんがミズホに聞く。

「わたし?」

「リョウが安心すればなんとかなると思うがいい手はないか?」

「リョウ兄を安心させるねぇ~?う~ん、あっ!いい手がある、ちょっとまってて!」

ミズホは自室に向かった。

「リョウくんを安心させるって何をする気だろう?」

「ミウさんは何か方法ないんですか?」

「うーん、リョウくんを守るような安心感って事だよね、リョウくんは基本守ってくれるからなぁ・・・」

「そうですよね、リョウさまが守られるイメージがあまりなくて・・・」

サエがミウに聞くが答えは見つからなかった。


しばらくして、ミズホが部屋から帰ってくる。

「ミズホさん、どうするの?」

「まあ、見てて。リョウ兄の部屋に行こう。」

全員が部屋に向かう。

部屋ではリョウが寝ていた、

ミズホは起こさないように近づきベッドに腰を掛ける、そして、ボロボロになってるタオルをリョウの鼻に近付ける。

リョウは匂いを嗅ぐとタオルをギュッと握りしめる。

「リョウ兄、私とポチも一緒だから安心して。」

ミズホはリョウの頭を撫でるとリョウはミズホの腰に抱きつき離さなかった。

「あっ!」

「リョウ兄は甘えん坊だね。でもいいよ、私にならいくらでも甘えて♡」


「・・・ミズホさんそれは?」

アズサはリョウがなぜ抱きついたかの答えはタオルに有ると見ていた。

「ポチの宝物、子犬の頃から取り込んで離さなかったタオルなんだけど、形見分けに私が貰ったの。」

「つまり、リョウくんが甘えているのは・・・」

「ポチを認識してるからかな?普段は甘えたりしないし。」

「・・・ミズホさん、そのタオルを譲ってくださりは?」

「しません!私にとってもポチは命の恩人ですし。」

チラッとミウを見て、

「私だけがポチに認められてましたし。」

「うーーー、私はまだ一歳だよ、ポチとの思い出がないよ。」

「私はポチと一緒に遊んでましたから。それなりに懐いてくれていましたよ。その思い出の差がリョウくんを安心させれるかの違いじゃないかな?」

リョウはタオルとミズホの匂いを嗅いで表情が柔らかくなっていた。

「お父さん、今日はリョウ兄の横で寝るね、その方がリョウ兄も安心してくれると思うし。」

「そうか、娘が大人になる日がきたのか・・・寂しいような、嬉しいような・・・」

「おじさん!私もこの部屋で寝るから!リョウくんに変な事はさせません!」

「ミウ、二人の邪魔はヤボだよ。」

「弱ってるリョウくんにツケコムなんてもっとダメです!」

「ミウ、私はしたりしないよ。」

「信じれません!もし、リョウくんが求めてきたらどうしますか?」

「それは・・・♡」

「ダメです!ちゃんと見張りますから!」

「それなら私たちも同じ部屋にいます。ね、サエさん。」

「そうですね、みんなで同じ部屋にいましょう、何も起こらないようにみんなで見張りましょう。ただし、みんなケンカはしないようにね。リョウさまが出ていかれては行けませんから。」

「はい。」

その日は女の子みんながリョウの部屋で一夜を共にした。




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