第171話 ミウと合流

その頃、アキヒロ宅にはミウ、アズサ、サエの三人が訪れていた。

「アキヒロ叔父さん久し振り。」

「ミウちゃんも大きくなったな、それでなんのようだね?」

「リョウくんを迎えに来たの。」

「リョウなら親戚の私が面倒をみるから、大丈夫だよ。」

「ううん、婚約者の私が面倒みるから。」

「ははは、親父が言ってるだけだよ。リョウくんは家族に飢えているからね、私の所で療養するのが一番だと思うんだ、今頃ミズホとクルージングを楽しんでいる頃かな。」

「そんな!ミズホさんは危険なんです!叔父さんはいいの?」

「リョウが息子になるだけの話じゃないか。」

「むむむ、」

「それにミズホにはミウちゃんにない強みもあるしね。」

「・・・ポチの事ですか。」

「そうだね、ポチを知ってるかそうでないかは結構大きいよ、リョウの半身みたいなものだしね。」

「いつまでも、ポチに縛られるのはリョウくんにとっても良くないと思います。」

「それでも、ふとした時に出てくるんだよ、実際上今朝も思い出したようで元気がなくなってね・・・」

「リョウくんは大丈夫なの!」

「大丈夫だよ、今は気晴らしに遊びに出てるが、思い出した時はミズホが抱き締め落ち着かせたからね。」

「・・・それでいつ帰って来るのですか?」

「今日は帰らなかったらいいね~」

「おじさん!」

「冗談だよ、まあ、それでもいいけど。」

「ミウさん、落ち着いて。アキヒロさん、初めまして、源アズサと申します。この度はいきなりの訪問お許しを、」

「リョウの友達の訪問歓迎するよ。」

「ありがとうございます。でも、私はリョウくんの友達じゃなくて正室候補ですけどね。それより、リョウくんは重傷なんですよ、あまり出歩かれてはお身体にさわります。」

「まあ、動けなくなるまで動くのが桐谷の男だからね。無理なら自分で言うだろ?」

「私は無理してほしくないんです。それにポチさんの事で精神的にも弱っているとか・・・」

「まあ、ポチの事は仕方ない、しばらく時間がたてば普通に戻るだろう。今頃娘が気を使って・・・」


「ただいま・・・」

「リョウくん!」

ミウは俺を抱き締める、

「リョウくん、ごめんなさい。もうもめたりしないから私の所に帰ってきて。」

「あれ、ミウよく居場所がわかったね?」

「アントくんのおかげだよ。」

「あーなるほど。」

「でも、リョウくんなんで濡れてるの?」

リョウはおもいだしたように体を震わせ。

「船から逃げてきた、バラの世界があった!あそこはヤバイ!」

「リョウくん落ち着いて、それより早く洗い流そ、海水は染みるでしょ?」

「うん、痛かった・・・けどだいぶ痛みはなくなってきたかな?」

「それよくないから!早く風呂に!アズサさん、サエさん手伝って!」

「「はい!」」

俺は三人に風呂に入れられ傷口を洗われ、全身をふかれたあとベッドに転がされた。

どうやら、医者もこの後来るらしい。

「リョウくん、何が合ったか知らないけど無茶はしないでよ。」

ミウは俺の手を握り訴えかけていた。

俺は今日の疲れの為か寝たり起きたりを繰り返していた。その中でバラを思い出し再び震えたりして中々体が休まらなかったが・・・


「リョウ兄帰ってる!」

ミズホとカエデが帰ってきた。

「リョウさま、御無事ですか!」

「二人とも静かに、リョウくんは疲れて寝てるの、話は居間でしよ?」


カエデとミズホから今日1日について聞き出した。

「人助けはいつも通りのリョウくんなんだけど」

「まさか、ホ○から逃げ出してきたとは・・・」

「それで、バラなんだぁ」

「よっぽど怖かったんですね。」

「私がついていながら申し訳ない。」

「カエデ、自分を責めない。まさか男も魅了するなんてね。」

「アズサさん、その人、源の姓ですけど親戚の方ですか?」

「たぶん分家の人だと思うのだけど、私は面識はないわ。」

「その人ここに来ませんか?ミズホさんの親戚とバレてますし。警備も私の家より手薄ですし。」

「たしかに土御門の家より手薄ですけど、百地の結界もはってますし、大丈夫かと。」

「それならいいんですが。」

「絶対今のリョウ兄に近付けたらダメだよ。今度は何処に行くかわからなくなっちゃう。」

「でも、どうする?」

「いっそ、場所をうつす?」

「アズサさんの居場所を調べればすぐバレるのでは?」

「それに、悔しいけど今はミズホさんの近くのほうがいい気がするんだよ。ポチさんの名前を言ってるて普通にありえない話だし。」

「ミウも、聞き分けがよくなったね。このままリョウ兄をゆずって?」

「ミズホさん、それは無理です。でも、争ったりしませんよ。リョウくんに怒られちゃいますから。みんなでシェアするんです。その結果私が選ばれるようにするつもりですが。」

「ふーん、じゃあ私が選ばれても文句はないよね?」

「文句はありますけど、争わないようにはしますよ。」

ミズホとミウは睨みあっていた。

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