第161話 ラルフの訓練

翌日早朝、さっそくラルフに教育を施す。

「ラルフいいかい、君は強いんだ。何者にも負けない力がある、そうだ、野生を目覚めさせるんだ。」

「ワォーン!」

「そうだ、狼の血を呼び起こすんだ!」

「ワン!」

「よし、行け!」

俺はラルフを全力で走らせる!

「戻ってこい!」

ラルフは俺の指示で戻ってくる。

「まだだ、まだ足りない。少しおとなしくしておいてくれよ。」

俺はラルフのツボを幾つかつく。

「これで血流が良くなるはずだ、もう一度、行け!」

さっきまでとは全然ちがう早さを手に入れた。

「よし、今日は此処までにしておこう。初めてだし、疲れただろ?ブラッシングしてやるからうちに帰ろ。」

「ワン!」

ラルフは家に向かい走りだしたと思ったら、ブラシを持って帰ってきた。

「家に入ってからだって、それにお風呂も入るぞ。」

風呂と聞いて尻尾が下がる、

「一緒に入ってやるから落ち込むな。」

「クゥーン」

「そんな目で見てもダメ、汗もかいてるからしっかり洗わないとな。」

「クゥーン」

「あきらめろ。」

俺はラルフを連れて家入った。


「リョウ早いね、どうした?」

「ラルフの教育をしてました。ラルフも疲れてるので今日は散歩しなくても大丈夫ですよ。」

「そうかいさっそくしてくれたんだね。」

「それでこれから風呂に入りたいと思うのですが誰か使ってました?」

「いや、今は空いてるよ。ただお湯も張ってないが・・・」

「シャワーでいいですよ。ラルフも一緒ですし。」

「お風呂嫌いのラルフがおとなしく入るのか?」

「嫌そうですけどね。」

ラルフは訴えるような瞳でアキヒロを見つめる。

「ラルフ、往生際が悪い行くぞ。」

リョウについてトボトボ歩きながら、たまに振り返り、アキヒロを見つめる。

「ラルフ」

俺に呼ばれるとそのまま前を向いてついてきた。

居間に残されたアキヒロは・・・

「なんであんなに嫌なのに従ってるのだろう?」

少し不思議に思っていた。


「ホレ、お湯で流すからなぁ~」

ラルフを洗いおえ、洗剤を流す。その際疲労回復のツボも押し身体に疲れを残さないようにする。

ツボを押されて気持ちいいのか、ラルフはされるがままになっていた。

床に転がってまったりしてるラルフを於いて俺もシャワーをあびだした。


「あれ?誰かお風呂使ってるの?」

「ワン!」

「ラルフ?あれお母さんが洗ってるのかな?」

不意に扉が開かれる。

「ん?」

俺が振り返るとそこにはミズホがいた。

「あーおはよ、風呂借りてるよ。」

「あ、あ、あ、キャー!!!」

ミズホの悲鳴にアキヒロさんとタエさんも来た。

「何事だ!ってなんでミズホが悲鳴あげてるの?」

「アラアラ、リョウくんも立派になって♪」

「タエさん、今どこ見て言った!」

「ミズホ、覗くなら悲鳴をあげるな、朝から近所迷惑だろ。」

「だって、お父さん!リョウ兄が裸なんだよ!」

恥ずかしいのか手で顔を隠しているが指の間からしっかり見てるのがわかる。

「ミズホ、見ないなら見ないでちゃんと目を閉じろよ。」

「えっ、じゃあ見ていいの?」

「いいわけあるか!というかなんでみんなジックリみてるの?普通状況分かった時点で出てかない?」

「息子の成長を確かめてるのよ、リョウくんも大きくなったね、オシメ変えてた頃なんかこんなだったのに。」

「タエさんやめて、いつと比べてるの!」

「リョウ・・・普通はな、お前も隠すと思うがなぜ堂々とさらしている?」

「おーそうだった。まあ、家族に見られたぐらいどうと言う事もないけどね。」

「まあ、そうだな。」

アキヒロさんも家族という言葉にホッコリしてるようだった。

「な、なんでみんな受け入れてるの!男の人の裸だよ、リョウ兄の裸!」

「ミズホ、興奮するなよ。見られてるの俺だし、見たくないなら立ち去れって、まだ風呂入ってるからみんな立ち去ってよ。」

「そうですよ、これからリョウさまの背中をお流ししますので少々お時間をいただけたら・・・」

「うわっ!カエデいつの間に!」

「最初からいましたよ。」

「へっ?」

「だから、ラルフを洗い始める前からコッソリうかがってました。」

「なんでコッソリしてるのさ!」

「ラルフくんをどう鍛えるのか興味がありまして。」

「風呂まで来たのは?」

「興味がありまして。」

「ストップ!その興味は捨ててくれないかな?」

「ムリです♡」

「ダメダメ!なんでリョウ兄と風呂にいるの!そんなのダメだからね!」

二人は引っ張りあいをはじめる。

「くしゅん!あのいい加減出てもらえない?ちょっと寒くなってきた。」

「あら、ごめんなさいね。二人とも遊んでないで居間に来なさい、一緒に朝食作りましょう。」

タエに言われて、カエデとミズホは出ていってくれた。

「リョウ、お前も大変だな、まあ、風邪をひかないように温かくしてから出てこいよ。」

「はーい」

アキヒロさんも出ていったので俺はシャワーを浴び直した。

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