第160話 夕食
「えっーと、なんでそんなノリに?」
「娘がやっと真面目に料理する気になったんですよ。」
「やっぱり、出来なかったんじゃん。」
「お母さん!普通には出来るんだよ、ただお母さんが凄いだけ!」
「ふ~ん~」
「あー疑ってるでしょ!」
「もちろん。叔父さんはどう思います?」
「私も娘の料理を食べた事ないからなぁ~」
「・・・やっぱり、危険なのでは?」
「リョウ兄、絶対食べてもらうからね!」
「遠慮したいなぁ~」
「リョウ兄!」
「あい。」
俺は仕方なく約束させられた。
「ふぅ食べた食べた。」
色々あったが神戸牛を堪能し終わった。
俺は居間の畳の上に転がり。
「私はもう動けない、あとは任した、ガクッ!」
「はいはい、リョウ兄そんなところで寝転がらない。牛になるよ。」
「だって、お腹が重い。」
俺が転がっていると、ゴールデンレトリバーのラルフくんがやってきた。
「おや、ラルフくん、久し振りだね。」
ラルフはおもむろに俺の上に乗る。
「ぐぇ、ラルフくん重い」
ラルフは尻尾を全開で振りながら嬉しそうにしている。
「ラルフくん、ちょっとどいて。」
ラルフくんはどいてくれない。
「たすけて~」
「ラルフこっちにおいで。」
ミズホが呼ぶが・・・
ラルフはチラッと見たあと無視をした。
「ちょっと、ラルフ飼い主の言うこと聞きなさい!」
今度は見もせず、俺の顔をなめてくる。
「ラルフ!」
言うことをきかないラルフをミズホは叱るが無視をしたままだった。
「ははは、ラルフはリョウの事が好きだなぁ~ミズホ無理やりはダメだぞ。」
「叔父さん、ラルフをどけて~」
「仕方ないな、ラルフこっちに来なさい。」
ラルフはアキヒロをチラッと見るが、ミズホと同じく無視をする。
「お父さんも同じじゃない!」
「ラルフ!」
「あなた、ダメよ。怒っちゃラルフが、かわいそうだわ、ラルフは久し振りにリョウくんに会ったから嬉しいのよ。そのままにしてあげたら。」
「タエさん、ヘルプ~」
「リョウくんがんばれ♪」
「ノーーー、ラルフ、お座り、ちがう俺の上じゃなくて横に座って。」
「ワン!」
やっと俺の上からどいてくれた。
俺が起き上がると今度は真正面から飛び付いてくる。
「おーよしよし、落ち着けって、」
俺はラルフを撫で回していた。
「私が飼い主なのに・・・」
叔父さんは少しショックを受けたようだ。
「ラルフ、エサが出来たからこっち来なさい。」
タエさんの言葉に反応し、エサを食べに走っていった。
「ふぅ、ラルフも大きくなったねぇ~」
「リョウが見た時は子犬だったからね、大きくもなるよ。しかし、子犬の時にしか会ってないのによく覚えているものだね。」
「ラルフは賢いんじゃないかな?もう少し仕込めば色々出来るようになりそうだよ。」
「リョウはそんな事が出来るのかい?」
「うーん、どこまでやれるかはわかんないけどね。」
「暇な時でいいから仕付けてくれるかい?どうも甘やかしすぎて言うことを聞かない子になってしまったんだ。」
「いいですよ、暇な時にラルフを鍛えておきます。」
「はは、頼むよ。」
アキヒロは楽観的に考えていたが、リョウが鍛えるということは・・・
横に控えるカエデだけが結末を予想していた。
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