歳の差の花嫁

第158話 ミズホ帰宅

「ただいま！お父さん、リョウ兄は？」

「おかえり、少しは落ち着きなさい、今は客室で寝てるから静かにね。」

「うっ！それでリョウ兄は大丈夫なの？」

「見たところは大丈夫そうなんだけどね、万全ではないといったとこかな？」

「うー心配だよ～」

ミズホが心配しているところにリョウが起きてくる。

「おかえりミズホ、久し振りだね。相変わらず元気そうだ。」

「リョウ兄！」

ミズホは抱きついてくる。

「おっと、」

「リョウ兄、心配したんだよ、今年になって、ミウと婚約したとか警察ともめたとかニュースになってるし、ケガは大丈夫？」

「心配かけてごめんね、ケガはまあ大丈夫だよ、無理は出来ないけどね。」

「それ大丈夫じゃないよね？」

「まあまあ、しばらく大人しく養生するから。」

「ここに泊まるの？」

「そうだよ、お世話になります。」

「そうなんだ、お父さん！私もリョウ兄がいる間、実家にいるね。」

「くくく、一人暮らしはいいのかい？」

「いじわる言わないの！せっかくリョウ兄がいるんだよ。」

「ミズホ、気にしなくていいよ、適当にのんびりするから。」

「いいの！私がお世話してあげる！」

「そんなキャラじゃないだろ？」

「何それ、ひどくない？」

「だって、お前料理出来なかったじゃん。ミウに負けて泣いてただろ？」

「あれから何年たったと思っているの！ちゃんと料理覚えました。」

「ほんとかなぁ～」

「そんなに言うなら食べさせてあげるからね！」

「いえ、結構です。食あたりはちょっと～」

「ひどくない？もう、久し振りにあったのに！」

「ゴメン、ゴメン。でも元気そうで何よりだね。」

「うん、リョウ兄はケガばかりして・・・ダメだよ、無茶したら。」

「まあ、今後気を付けると言うことで。」

「そ・れ・で、そちらの方はどなたかな？」

「ああ、カエデか？俺の護衛をしてくれているんだよ。」

「はじめましてカエデさん、私はリョウ兄のイトコでミズホといいます。けど、護衛ね・・・ちょっと距離が近すぎない？」

「はじめまして、私は紹介のあった通りリョウさまの護衛のカエデと申します。朝起きてから翌日起きるまで２４時間リョウさまを護衛してますのでこの距離も仕方ないのですよ。」

「リョウ兄にプライベートは？」

「存在しません。」

「するよ！」

「リョウ兄のプライベートはどうでもいいとして、女性が２４時間付きっきりなのはどうかと思うけど。」

「・・・どうでもよくないです、プライベートください。」

「ミズホさん、大丈夫ですよ。私とリョウさまは契りを交わした仲なので。」

「えっ！どういうこと！」

「五年ほど前にお互い一晩中求めあったのですよ。」

「ストップ！間違ってはないけど、事実を一部ふせないで！」

「そんな、全てを語るなんて恥ずかしいじゃないですか♡」

「まって、そういう話じゃないよね！」

「ちょ、ちょっとリョウ兄！どういうことなの！」

ミズホは凄い勢いで迫って来る。

「落ち着けミズホ、じいちゃんのせいなんだよ！」

「おじいちゃんの？」

「ああ、カエデのじいちゃんとうちのじいちゃんに嵌められて、媚薬タップリ飲まされたあと・・・なぁカエデ、よく思い出したら俺、カエデに襲われた？」

「ひどい、リョウさま女性に責任をおしつけるなんで・・・」

カエデは目を押さえる。

「嘘泣きはやめろ、そんな女じゃないだろ？」

「まあ、そうなんですけどね。」

「うーーー、リョウ兄なんでそんなに仲いいのよ。」

「それは体の繋がりが・・・」

「カエデ、うるさい。でも、なんだろ意地張る相手じゃないしなぁ？あっ、守る必要がないからかな？カエデは俺より強いし。」

「リョウさま、さすがにリョウさまには勝てませんよ？」

「またまた、サンタさんを倒したんでしょ？俺には無理だったし。あれから修練サボって弱くなったし。」

「いえ、何でも有だと私に勝ち目はありません。」

「そっかなぁ～？」

「むぅーーー！二人の空気を出さないで！リョウ兄に悪い虫がついたのはわかりました！！」

「悪い虫って・・・」

「リョウ兄は治療が必要です！ 」

「治療？ケガならゆっくり治すけど。」

「ケガなんて些細な問題です！」

「いや、自分で言うのもなんだけど重傷だよ。」

「リョウさま、わかっているなら安静にしてください。」

「それはそれ。」

「そこ！話の途中ですよ！」

「はい！」

「いい、リョウ兄は心がキズついているの。」

「心が？」

「リョウ兄は家族に迫害されて他人に癒しを求めているの。その結果が女の子を落としてしまっているの！」

「いや、迫害されてないし、」

「じゃあ、リョウくんにとってお父さんとは？」

「俺を金で売った人。」

「お母さんは？」

「保険金の受け取り人、あっ、今回のケガも入ってるかな？」

「それはおいといて、お兄さんは？」

「死にかけてても見殺しにする人。」

「おじいちゃんは？」

「いつか俺を殺す人」

「おばあちゃんは？」

「優しさの中に鬼がいる。」

「・・・聞いておいてなんだけど、ホントに家族？誰か優しい人はいないの？」

「ポチは俺に優しかったよ！」

「それは犬でしょ！しかも、亡くなってるし。」

「あれ？もしかして俺って不幸なの？」

「リョウ、うちの子になりなさい。君が不憫すぎる。」

「叔父さん、俺って不憫なの！」

「リョウさま・・・大変でしたね。私にはいつでも甘えてくれていいんですよ。」

「リョウ兄、もう大丈夫だからね。私がちゃんと癒してあげるからね。」

「ミズホさん、私が癒しますので大丈夫ですよ。」

「カエデさん、他所の子は下がってくれないかな？リョウ兄に必要なのは家族の愛なの！」

「ミズホさん、家族になればいいんですよ。それに血よりも濃い物はありますよ。」

二人に同情されてるのがちょっと悲しかった。