第102話 リョウが倒れた翌日
リョウ逮捕の翌日、テレビ、新聞、ネットニュースは警察の誤認逮捕一色だった。
これは源グループが仕掛けた事もあったが、内容があまりに酷かった為に、各所で炎上していた。
「おい、早すぎるだろ!何とかならないのか!」
警察庁長官遠山は焦っていた。
「だめです、マスコミ各社話に応じてくれません。既に源グループが手を入れてるようです。」
「なぜなんだ、なぜここまでする・・・」
「長官、記者会見の用意をするべきでは。」
「今やって何を発表する?調査中で許される雰囲気はないぞ。」
「しかし、やらなければ悪化します。」
「仕方ない、夕方に記者会見を行う、それまで出来るだけ情報を集めろ。あと、被害者へ接触をはかってくれ、謝罪したあと、鎮静化に協力してもらう。」
「うまく行きますか?」
「そこを何とかしなければならないんだ!」
「はい!すぐ手配します。」
警察はあわただしく動いていた。
「遠山長官!被害者は意識不明だそうで対話が出来ません!」
「なに!死んだりしないだろうな?」
「わかりません、意識が戻るかも不明だそうです。」
「はぁ、どうすれば・・・」
源グループ東海支部、
「松本主任、斯波部長がお呼びです。」
「部長が?なんだろ?まあ、いい行ってくるよ。」
松本は会議室に入る
「部長、お呼びとの事ですがどうなされました?」
「来たか、松本くん、君の息子は東京で警察に勤めているのだったね。」
「はい、勤めていますが何か?」
「君の息子が若を拷問した・・・」
「えっ!な、何かの間違えでは?」
「すでに確認は出来ている。警察の上層部が若に冤罪をかけ、自白の強要の為に君の息子が若を拷問にかけた。その結果若は意識不明の重体となった。」
「そ、そんな、息子は正義感が強くそんな真似をするとは・・・」
ガン!
斯波部長は机を叩く!
「君の息子がどんな人間かなどは知らん!ただあるのは若を手にかけた極悪人ということだ!」
「そんなバカな・・・」
「ここに君を呼んだのは君の今後についてだ。」
「えっ!」
「知っての通り、東海支部は若に忠節を誓っている、その中の1人の息子が若を手にかけた。これは許される話じゃないのはわかるだろう。ただ、君は長年に渡り会社に尽くしてくれた、そこでだ君にいくつかの選択肢を提示しようと思う。」
「はい・・・」
「1つは別の支部に転属する事、2つこのまま退職する、3つは息子と親子の縁を切る。これぐらいだ。どれを選んでも苦しいとは思うが仕方ないと思ってくれ。」
「恩情感謝します。ただ1日待っていただけませんか?息子にも確認したいですし、嫁にも伝える事でしょう。」
「うむ、1日は待てるが余り時間はないぞ。」
「わかっております。今日はこれから早退させて、いただきます。」
「かまわん、早く帰ってやれ。」
松本家は四人家族であった。
夫の松本マサチカ、妻のナツコ、息子のタダシ、娘のナツミだった。
その中でタダシは上京して警察官にナツミは地元で同じ源グループ内で職場結婚していた。
マサチカが家に帰ると、ナツコとナツミが家にいた。
「ナツミ、どうして家に・・・」
「お父さんと同じ理由だよ、あと離婚してきた。」
「なぜだ!」
「お兄ちゃんがやったことを考えると離婚しなきゃ主人と子供に迷惑がかかるから・・・」
「そこまでか・・・」
「少なくとも源グループにはいられないし、子供達は私立の学校には入れなくなっちゃう。」
「そうだよな・・・」
「私は絶対お兄ちゃんは許さないから!」
「なんでこんな事に私は育て方を間違えたの・・・」
ナツコは泣き出した。
マサチカはタダシに電話をする。
「もしもし、タダシか?」
「おう、久し振りだな親父、元気か?」
「お前何をしたのかわかっているのか!」
「あー、今マスコミが騒いでるやつ?あれね、上の命令でやっただけだから、すぐに静まるから安心して。」
「静かになればいいって話じゃないだろ!」
「まあ、警察もいろいろあるみたいでさ。あーもしかして親子の所にもマスコミ行っちゃった?ゴメン、すぐに静かになるから適当に流しておいて。」
「お前のやったことでお父さんは退職になるし、妹は離婚した。それでもそんなに軽く言えるのか!」
「えっ!退職?離婚?なんでだよ!」
「お前が殺しかけた相手はな源グループでは大切なお方だ、そんな人を息子が殺そうとしたなんて恥ずかしくて情けなくて死にたくなったよ。」
「俺のやったことじゃないか!親父やナツミに関係ないだろ!なんだよ、源グループって!訴えてやる!」
「止めろ!これ以上恥を重ねる気か!」
「そうだ、なら親父も東京に来いよ。東京ならそんな事を気にする奴なんていないさ。」
「はあ、お前はバカなんだな、東京にも源グループはあるだろう。今回の事で源グループは警察だけじゃなく関係者まで商品を売らないと決めたそうだ。もちろんそれは東京も同じだろう、お前こそ生活出来るのか?」
「へっ?なんで?」
「お前は源グループの中では指名手配犯と同じ扱いだ、間違いなくお前と家族は狙われているだろう。」
「ウソだろ?家族まで?関係ないじゃないか!」
「そこまでの事をしてしまったんだよ。もし、被害者が死んでしまえば、間違いなくお前は殺されるだろう。」
「何を言ってるんだよ、俺は警察だぞ、手を出したらヤバイぐらい其処らのヤクザでも知ってるさ。」
「わからないのか、源グループは既に商品を売らない事で警察と敵対関係になってると。」
「そんな・・・じゃあどうしたら許されるんだよ!」
「許されると思っているのか!お前のせいで家族みんなが路頭に迷う事になったよ、せめて何かの間違いであればと思ったがまさか本当にやっていたなんて・・・お前は何の為に警察官になったんだ?」
「俺は・・・」
「もう、お前とはアカの他人だ二度と帰って来ることも許さないし、連絡もしてくるな・・・」
マサチカは電話を切った。
「ナツコ、ナツミ、タダシがやったことのは間違いなかった。しかも、反省もしている様子はなかったよ。二人には悪いがタダシとは親子の縁を切らせてもらった。今後連絡があっても取り合わないように。」
「わかりました。私が息子の教育に失敗したせいでみんなに迷惑を・・・」
「泣くな、ナツコ。」
「泣かないでお母さん、きっと何処かに道はあるはずだよ、私達が生きていく道が・・・」
ナツコに抱きつきながらナツミもマサチカも泣いていた。
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