第103話 同盟締結

三日後、俺は病院で目が覚めた。


「よかった、リョウくんの目が覚めた」

ミウは泣いていた。

「おはよ、ミウ。泣かなくても良くない?」

「何いってるの、もう起きないのかと心配したんだよ。」

「ゴメンゴメン、でも一晩寝たぐらいで大袈裟じゃない?」

「リョウくんは三日も目が覚めなかったんですよ!」

「えっ!マジで?ってあれ頭に包帯?あれ手術した?」

「しました!危なかったんだからね。」

「うわぁ~でも、もう大丈夫だよ、さあ、退院しよう。」

「ダメです、ユックリ療養してください。」

「うー、病院嫌い。」

「ダメですよ、頭を殴られて手術したのですから。」

「仕方ないか、ミウには助けられたし。言うこと聞きます。」

「よろしい。」


そこにアズサも見舞いにきた。

「リョウくん!大丈夫?」

「あーアズちゃん大丈夫だよ。」

「うう、よかった・・・リョウくんに何かあったらどうしようかと。」

アズサは泣きながら、無事を祝ってくれた。

「オーバーだな、これぐらいなんとも無いって。」

「リョウくんは軽く考えすぎだよ、いい、何があるかわからないんだからね!」

「アズサさんもよく言ってあげて、リョウくんたら大したこと無いってばかり言うんだよ。」

「まてまて、二人がかりは止めて。それより今はどうなってるの?」

「源グループはちゃんと報復行為に出てますよ。」

「報復行為?」

「まず、警察関係への販売停止、政府に大して事実確認の要求、あとマスコミを使って世間に警察の行為を知らしめてるかな。」

「うわぁ~大事になってる。」

「あたりまえです。私のリョウくんに冤罪をかけ、命を狙ったのですよ。半端な真似はいたしません!お父さまも大激怒で報復を行う事を認めてくれました。」

「リョウくん、西園寺も動いているよ。まず、裁判所に警察を訴えたし、同じく警察関係に販売停止、後は関係者の調査を行ってるよ。」

「両グループの動きが早いな。」

「リョウ!」

そんな中、エミリーが病室に入って来るなり、俺に抱きついてきた。

「あっ、エミリーおはよ。」

「おはよじゃないよ、心配したんだよ。」

泣きじゃくるエミリーの頭を撫でていた。

「リョウくん、その子は誰?」

「うん?あっそうか、ミウは再会してなかったね、宮島であった女の子だよ。」

「宮島?あーあのアントくんと写真を撮った?」

「そうそう、アズちゃんの知り合いらしくてアント経由で再会したんだ。」

「でも、非常に仲がよくなってないですか?」

「うーん、悪いよりはよくない?」

「良くないです、リョウくんはなんで目を離すと女の子を捕まえるの?ねえ、もうお家から出ない方がいいんじゃないかな?」

「いやいや、アントくんの主だから仲良くしてくれてるだけだよ、それに今回逮捕されたのはエミリーの前だったから、凄く心配させたんだと思うよ。」

「なんで、エミリーの前で捕まるの?一緒にいたの?」

「あー仕事の関係でレオンさんに連れられて、東京を案内してたんだ。」

「リョウくん、それは私も聞いてないよ!ねえ、エミリー、リョウは私のだって知ってるよね?」

「リョウは誰にも渡さないから!」

エミリーは俺を抱き締める手に力を込める。

「エミリーそろそろ話して、」

「いや!もう離さない!」

泣いてる子には勝てず、抱きつかれたまま好きにさせる。


その横でミウとアズサは話し合いを行う。

「アズサさん、なんでリョウに女の子を近づけたんですか!」

「ミウさんこそ、なんで宮島で知り合わすんですか!デート中だったんでしょ!」

「あれはヒトミさんの邪魔とアントくんの参戦で目を離した隙に・・・」

「私の家に来た時には既に落ちてたわよ。ねえ、ミウさんこれ以上女の子を増やさない為に同盟を結びません?」

「具体的には?」

「お互いの情報共有とリョウくんの安全確保、あとはデートの邪魔をしない協定です。」

「でも、リョウは私の婚約者・・・」

「実質出来てないですよね?ミウさんが隙を作れば次はどんな女の子を連れてくるか。」

「うー、一理あるけど、」

「なら同盟もわかるでしょ。それに私がリョウくんをとっても側室を認めますよ。」

「側室って!」

「私の家はそういう習慣がまだあったりするんです。」

「ダメです、何があっても正室は私ですよ!」

「そこはお互いの頑張りで競いましょう。」

「むう、わかった。でも、負ける気はないからね。」

「それでいいんです。お互い協力しながら競いましょう。」

ここに二人の同盟が成立した。

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