第96話 浅草でマイに会う

動物園を出てから、俺達は浅草、浅草寺に来ていた。

「リョウ、おっきいちょうちん!」

三人で写真を撮ったりしていたら

「リョウさん!」

俺を呼ぶ声がした。

振り返るとそこにはマイちゃんがいた。

「おっ、久し振り元気そうだね。」

「はいらリョウさんもお元気そうで良かったです。今日は観光ですか?」

「うーん、知り合いを案内というか、会社の接待と言うか微妙なラインで観光してます。」

「なんですか?それは・・・」

マイちゃんがエミリーに気づく、

マイちゃんの目から光が失われ。

「リョウさん、新しい若い女ですか?」

「いやいや、マイちゃんこわいよ!新しい若い女ってなに?」

「リョウさんはすぐに女の子を捕まえる癖は治した方がいいと思います。」

「捕まえてないから!たまたま知り合いになっただけだよ。」

「リョウ!一体あなたは何人の女がいるの?」

エミリーもマイに気づき近寄ってきた。

「婚約者が一人いるだけですよ。」

「アズサおねえちゃん?」

「違うよ。」

「ミウさんだもん!」

「リョウ、宮島でいた子?」

「そうそう、エミリーも会ってたね。」

「でも、私の方が可愛いでしょ♪」

「ミウさんの方が可愛いもん!」

「二人とも喧嘩しない。」

「「リョウ(くん)は黙ってて!」」

「はい。」

二人の言い争いは終わらない。


「リョウ、その子は?」

「あっ、レオンさん。この前知り合いになったマイって女の子です。」

「何をどうしたら、女の子と知り合いになるのだか?」

「たまたまですよ。」

「おーい、マイどこだー」

遠くからトオルさんの声がする。

「あっ、トオルさん、マイちゃんはここにいますよ。」

俺は手を振り、居場所を伝える。

「やあ、リョウくんじゃないか。ってレオンさん?なんでリョウくんと一緒に?」

「トオルもリョウを知っている・・・よな。」

「はい、リョウくんとはいろいろありましたから。」

「まあまあ、トオルさん済んだ話ですし。」

「リョウはそれでいいのか!」

「マイちゃんが不幸になる方が辛いですからね。」

「リョウくんにはホントに申し訳ない。」

「それより、トオルさんもレオンさんと知り合いだったんですね。」

「そうなんだよ、新薬の開発に援助してくれる事になってね。」

「そうですか。もしかして、日本に来てるのもその関係ですか?」

「それもあるね、まあ、それ以外の契約もあったからだけどね。」

「そうですか、大変ですね。」

「リョウは新薬に援助しても問題なかったのかね?」

「ん?なんでです?問題は無いと思いますし、いいことでは?」

「いや、リョウが殺されかけたと聞いたからね。思う事があるのではと。」

「うーん、何も無いと言えば嘘かもしれないけど、今さら蒸し返してもしょうがないでしょ。それに薬に罪は無いですしね。」

「リョウ、じゃあボクがトオルを援助してもいいんだよね。」

「ええ、かまいませんよ。」

レオンは胸を撫で下ろす。

「いや~ヨシナリから事情を聞いてから心配してたんだよ。」

「ヨシナリさんが何を言ったか知りませんけど、半分はからかわれてると思いますよ。」

「そうだよな、リョウがそんなことで恨むわけがなかったよ。」

「そうですね、もし、この件で恨むなら俺を実際にケガさせた、トオルさんの奥さんぐらいですかね?まあ、会う気もないのでどうでもいいですが・・・」

「うっ!」

「トオルさん、どうしました?」

「じ、実は今、嫁も近くにいるんだ。」

「てっきり病院にでも入れたのかと思ってましたが・・・」

「入れようとはしたが、嫁に拒否されて・・・」

「なら、会わないようにしてもらえますか?さすがに会いたくもないです。」

「もちろんだ、すぐに・・・」

トオルと話しているなか、トオルの妻のマキがやってきた。

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