第95話 パンダ前で・・・
入口でいろいろあったがやっと園内に入る事が出来た。
ただ・・・
エミリーが腕を組んで離してくれなくなったが、
「エミリーちゃん歩きにくくない?」
「むう、エミリーって呼んで。」
「じゃあ、エミリー腕を組むのをやめようか?」
「いや♪」
「レオンさん、エミリーが言うことを聞いてくれません。ってレオンさんどうしたんですかその顔!」
レオンの顔は絶望にうちひしがれていた。
「リョウにはわからないよ、目の前で娘が女の顔をしだした瞬間に居合わせる悲劇なんて。」
「何言ってるんですか?家族サービスで来てるんでしょ、もっとエミリーに近づかないと。」
「エミリーはきっとお父さんがいない方がいいんだ。」
「落ち込まないでください!」
「お父さん、リョウに迷惑かけちゃダメじゃない。大人なんだからもっとシャキッとして。」
「エミリーも、もっと優しくしてあげて。」
「今日の私の優しさはリョウだけのものだよ♪」
「レオンさんにも分けてー!」
園内で終始そんな感じで回っていた。
そんな時、人気のパンダの前にきた。
「結構人が多くて見えないね。」
「エミリー肩車してあげるから、お父さんの所においで。」
「いや、肩車なんて恥ずかしいじゃない。」
「でも、これじゃ見えないよ。」
正面の見やすい場所は人だかりが出来ており、空いてる場所と言えば隅っこの見にくい角度ぐらいだった。
「レオンさん、エミリーあそこから見よう。」
リョウはあえてその隅っこに行く。
「リョウ、此処からじゃ見えないよ。」
「何を言ってるの?呼んだらいいだけでしょ?」
「はい?」
「おーい、こっちにこい!」
リョウはパンダを睨み呼びかける。すると・・・
パンダが二匹共ダッシュでリョウの前にきた。
「ほら、来てくれた。」
パンダはリョウの前で直立で立っていた。
しかし、二人に反応がない。
「うーん、これじゃだめか?よし、ポージングをとってみろ!こうだ!」
パンダは見よう見まねでリョウがしたボディビルダーの格好をする。
だがしかし、何かシックリこない。
「お前ら笑え、笑顔がない!」
パンダも笑おうとするが、ポージングを決め笑う姿は恐怖だった。
「うーん、なんか、違うな?仕方ないお前ら普通にしてろ、パンダらしい姿を見せろ。」
パンダはあわてて、笹を手にとり食べる姿や、タイヤで遊ぶ姿を見せてくれた。
「さあ、エミリー写真撮ろうか。」
固まったままのエミリーとレオンさんを促し一通り写真を撮ったあと、パンダに別れを告げて(解放して)その場を後にした。
「リョウ!なんでパンダが言うことを聞いてるんだ!」
「へっ?」
「おかしいからね、この動物園初めてって言ったよね。」
「うん、モチロンあいつらも初対面。時間が無かったからちょっと威圧したのは可哀想だったかな?」
「そんなことじゃないから、鹿の時もおかしいと思ったけど、リョウは明らかに変だよ。」
「やだな、これぐらい爺さんにも出来ますよ。」
「君はお爺さんが普通の人と思っているのかね?」
「えっ!うーん、普通じゃないかも・・・」
「リョウもそうなっているよ。」
「違う!俺は爺さんにはなってない。」
「お父さん、リョウを責めないでよ。リョウのお陰でいい写真撮れたんだし。」
「うーん、そうなんだけどね。」
「まあ、たいした事じゃないですよ。爺さんは中国を旅した時は虎に乗って移動してたって言ってましたから、それと比べれば。」
「君のお爺さんは異常だからね。」
俺達は動物園をあとにした。
その頃、園内は・・・
「なんでパンダがあんな行動を?」
「観光客の前でポーズ決めてたよね。」
「あの観光客はなんなんだ?」
かなり動揺が走っていた。
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