第90話 イギリスに誘われる

夕食

「リョウくん、どうだいイギリスに来てみないか?」

レオンさんに急に誘われた。

「レオン、リョウを連れていくつもりか?」

「ヨシナリ顔が怖いよ、リョウくんに世界を見てもらうのもいい経験じゃないかい?」

「それはいいが、ちゃんも返す気はあるんだろうな?」

「さあ?それはリョウくん次第じゃないかな?」

「レオン!いい度胸だな!」


言い争いを始めた、父親二人を放置して、

嬉しそうにエミリーが聞いてくる。

「リョウ、イギリスに来るの?」

「いかないよ。」

「エミリーちゃん、リョウくんを連れて行こうと考えないで。」

「リョウ、イギリスはいいところだよ。それにヨーロッパの国々を一緒に見てまわろ?」

「行く時は私と行きますから、エミリーちゃんは気にしなくてもいいのよ。」

「アズサお姉ちゃん。私はリョウくんと旅行がしてみたいの。」

「エミリーちゃんが案内するのはまだ早いよ、せめてリョウくんのお世話をする・・・お相手出来るぐらい大きくならないと。」

アズちゃんの視線が一瞬、俺の股間にきた。

「アズちゃん、その言い方と視線はダメかな。」

アズちゃんは顔を真っ赤にしながら、

「だって、つい意識しちゃって・・・」

ヨシナリさんの視線がこっちに向く。

「リョウくん!ついにしたのか!」

「してません!それに言い方!」

「ねえねえ、リョウ、するって何をするの?」

エミリーは無邪気に聞いてくる。

「え、えーと、アズちゃんに後で聞いてくれるかな?」

「リョウくん!卑怯だよ!」

「男の口からは教えられないだろ、頼むよ。」

「頼まれたら断れないけど、教えたくないような~」

「じゃあ、レオンさんにお願いするか。」

レオンさんは必死に首を振っていた。

「ムリムリ!お願いします。娘に教えるなんて出来ないよ。」

「リョウ、あまりムゴイ事をするな。レオンが哀れだ。」

「そんなに酷くないとは思うけど、まあ、アズちゃんに任せた!」

「うう、私も嫌なんだけど。」

「ナニナニ?どんな事なの?リョウに何をするの?」

「いい、エミリーちゃんがリョウにする事じゃないからね。リョウにしていいのは私だから。」

「むー私もしたい。」

「ダメです。」

「アズちゃん、後で教えてあげて、今は食事中だしね。」

「はーい。」


「それでリョウくんはイギリスに行きたくないのか?」

「イギリスには少し興味はありますが、行きたくないです。」

「珍しいな、興味があったら突撃しそうなのに?」

「ヨシナリさん、俺をどういう目で見てるのですか?俺は飛行機がキライなだけです。」

「飛行機がキライ?」

「はい、恥ずかしながら、乗りたくないですね。」

「何かあったのかね?」

「何もないのですが、祖父が飛行機は落ちると何も出来ずに死ぬから、死にたくないのなら乗るなと、子供の時から言われてまして。そのせいか乗りたいと思えなくなりまして・・・」

「ああ、君のお爺さんは敵が多いから・・・」

「まあ、俺は乗った事もないんですけどね。」

「リョウくん、乗ってみたらたいした事はないんだよ。チャレンジしてみよう。」

「レオンさん、用事があれば乗るかも知れませんが進んで乗りたくありません。」

「イギリスに来る用事が出来たじゃないか。」

「いーやーでーすー。」

「うーん、頑固だね。」

「俺は日本で生涯をすごすのです。」

リョウはイギリス行きの誘いを断った。

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