第82話 撮影終了

撮影後、ケンさんが俺の待機場所に来ていた。

「桐谷くん、素晴らしかったよ。凄い迫力だった。脇役というのが惜しいぐらいだ。」

物凄く絶賛されていた。

「あ、ありがとうございます。凄く楽しかったです。それにケンさんもカメラ回ると雰囲気が全然変わって凄かったですよ。さすが一流と言われる人は違うんだなと思いましたよ。」

「ははは、お世辞でも嬉しいよ。どうだいこのまま俳優になってみないか?」

「うーん、実は自分サラリーマンなんですよ。あまり映画の撮影とかに取れる時間がなくて。」

「君なら俳優一本でもやっていけるよ。ハリウッドデビューだって狙えるさ。」

「うーん、ハリウッドは英語を喋れないから無理ですね、でも、評価されて嬉しいです。また、時代劇とかなら出てみたいですね。」

「約束だからな、今度一緒にやろう。もっとセリフの多い役を用意してやる。」

「ケンさん止めて!セリフが多いのは無理だよ~」

「出来る出来る、君なら難なくこなすよ。」

ケンさんは一通り誉めると他の人の所に挨拶に向かった。


「リョウくん、よかったよ。凄い迫力。でも、やられるシーンはイヤだったな。なんかホントにやられちゃう気がして思わず止めそうになっちゃった。」

「ホントになんで一騎討ちしてるんだろう?台本なら兵士に囲まれ散る予定だったのに・・・」

「えっ?あれアドリブなの?」

「うん、急に名乗りをあげるからノリで一騎討ちしちゃった。しかもなかなかな腕前で楽しかった~。」

「それで、本気なら勝てたの?」

「もちろん、ただあのシーンで豊久が死なないと変になるから。」

「いっそ倒しちゃったらよかったのに。」

「良くないよ、話が変わっちゃう。もう一回やるのはシンドイよ。」

「大丈夫、台本をかえるから♪」

「スポンサーの力を使わない。」


「しかし、スムーズに撮影終わったね。もっとリテイク入ると思ったのにほぼ一発撮りだよ。」

「リョウくん、あんなリアルに戦うシーンを何度もは撮れないし、あれ演技じゃなくガチの戦いだったからね。」

「へぇー、まあ一発で終わってよかったよ。何回もやるとモチベーション下がってただろうし、そう考えると役者さんは凄いよね。」

「そうだ、明日は土曜だから仕事休みだよね?何か用事ある?」

「うーん、特にないかなぁ?撮影予定だったし。」

「なら、この辺回らない?」

「いいね、長野といえばなにがあったかな?」

「ふふん、お薦めも調べてあるからね。」

「じゃあ、明日はこの辺回るか~」

俺はアズサと長野観光に行くことにした。

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