第73話 鹿使い
俺達は船に乗り宮島につく。
「おお、久しぶりにきたよ。小学校の修学旅行以来だ。」
「リョウも広島だったんだ。私も同じだよ。」
「ヒトミは同じ年で同じ地域なんだから同じに決まってるだろ。」
ヒトミはチラリとミウを見て。
「そうだよね、私達は同じだもんね。ジェネレーションギャップなんてないし♪」
「むう、リョウくんが修学旅行のお土産で買ってくれた鹿のキーホルダーは今も大事にもってるもん。」
「ミウまだ持ってるの?安物だったし、ダイブ古くなってるだろう。」
「なくさないように大事に部屋に飾ってるよ。リョウくんとの思い出はたくさんあるんだからね。ヒトミさん。」
「ミウさん、私はリョウと彼女だったのよ?デートもしたし。ファーストキスも私のはずよ。」
「ふふん、ファーストキスは私ですよー♪」
「子供とするのはカウントしないの。年頃のレディとするのを数えるのよ。」
「あー、二人とも?恥ずかしいから騒がないで、それよりせっかくの旅行なんだから楽しもう。」
そういう俺の周りには鹿が集まっていた。
「リョウくん?何してるの?」
「気がついたら囲まれてた。」
「リョウ、相変わらず動物に好かれやすいね。」
「はあ、仕方ないお前らも行くぞ。」
俺は神社に向かって歩きだしたら、鹿も着いて来ていた。
「リョウくん、鹿さんと写真撮りたい。」
「ん?じゃあ撮るか、海にある鳥居をバックにして。」
「リョウくんも入って二人でとろ?」
「いいけど、誰がシャッター押す?」
「そこのヒトミさんに頼んだらいいよ。」
「そうだな、ヒトミ?」
「いやよ、なんでリョウが他の女とのツーショット撮らなきゃいけないの!」
「うーん、なら仕方ない。タイマーで撮るか、ちょっとお前、角借りるぞ。そうそう、動くなよ。さあミウ撮るぞ。」
俺はミウとツーショットで撮った。
カメラを取った後、角を借りた鹿を撫でていた。
「よしよし、お前は賢いな。」
鹿は目を細め気持ち良さそうにしている。
「ねえ?リョウなんで鹿を使いこなしているの?」
「へっ?使いこなしてなんかないよ、なっ?」
俺は横にいた鹿に確認すると鹿も頷いていた。
「ほら、鹿も否定してるじゃないか?」
「なんで、鹿が返答してるのよ!」
「ヒトミは情緒不安定だな?この子達が賢くて大人しいからそう見えるだけだよ。」
「さあ、神社に行こう。」
再び歩き出すと、鹿も一緒に動きだした。
「ミウさん、リョウはいつから動物使いになったの?」
「昔から動物が集まってくるって言ってましたよ。」
「昔からかぁ~」
「幼馴染みの人の話だと、中学の修学旅行の時は奈良公園で鹿を操っておひねり貰って旅行の小遣いを稼いだって言ってました。」
「なんなのよ・・・」
「あれ?彼女だったのに知らなかったんですか?」
「知らなかったわよ、そんなに動物が集まる所に行かないし、」
「なんだ、元彼女って言っても知らないことばかりなんですね。」
「何よ!」
「何でもありませんよ、私はリョウくんの事ならいろいろ知ってますし。」
ミウは勝ち誇っていたが、その横で鹿にまたがり移動しているリョウがいた。
「リョウくん!なんで鹿に乗ってるの?おりてあげて!」
「いや~鹿が急に乗せてくれてな、その好意に甘えてるのだよ。なあ?」
リョウが乗ってる鹿は頷く、
「周りの目があるからね!」
「えー。仕方ないなぁ、アントくんまたな。」
リョウは鹿からおりた。
「なんで名前つけてるの?打ち解けるの早すぎるよ。」
「ふ~ん、リョウの事色々知ってるんだぁ。」
「ヒトミさん何ですか?今のは予想外なだけですよ。」
「付き合いが長くてもわからない人にはわからないものじゃないかな?」
「むう!」
「お前ら、喧嘩せずに神社に入るぞ。」
いつの間にか神社に着いていたようだった。
「あの~鹿の入場はお断りしているのですが?」
入口で鹿は断られていた。
「仕方ないですね、お前ら出口で待ってて。俺はここを見てから行くよ。」
「あの?何を言ってるのですか?」
受付さんは混乱している。
しかし、鹿は出口に向かって大回りを始めていた?
「一体何が起こってるのでしょうか?」
「いや~宮島の鹿は賢いですね。」
「いやいや、普段こんなことないですからね」
「ねえ、リョウくん。鹿と言葉通じてない?」
「アイツら賢いから、たぶん、わかってんじゃないかな?それより中行こ。」
俺達は神社の中に入り、記念写真を撮ったりした。
中を満喫して外に出ると、鹿がたくさんいた。
他の観光客も写真を撮ったりしていた。
鹿は俺達に気付くと取り囲むようにやって来た。
「ミウ大人気だな。」
「私じゃなくてリョウくんだよね。」
「やっぱり?アント~なんとかして。」
俺がアントに言うとアントは進路にいる鹿をどかしてくれた。
「ありがと」
俺はアントを撫でる。
「リョウ、さっきから簡単に鹿を操ってるけど。これ凄い事だからね。」
「またまた、アントが賢くて言うこと聞いてくれるから周りの鹿も従ってるだけなんだよ。なっアント。」
アントも頷く。
「それが異常なのよ!」
「まあまあ、ヒトミさん。リョウくんですから。」
「なによそれ。」
「リョウくん昔から変な事は得意なんです。どこからか覚えてくるみたいなんですよ。」
二人が話しているなか、リョウは気にせず鹿を撫でていると一人の外国人の女の子が近づいてきた。
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