第72話 翌朝

朝目が覚めると不機嫌なミウがいた。

「おはよ、ミウどうしたの?何かあった?」

「むう、何もなかったから怒ってるの!」

「何で?」

「リョウくんは何で先に寝ちゃうかな?」

「あー疲れていたんだろ?」

「せっかくの旅行だよ?旅先で開放的な気分になって~とかないの?」

「旅行の前、寝付きが悪くて~旅先だといつもより早く寝るクセが・・・」

「もう!・・・って怒っても勿体ない。今日は宮島に行くんだもん。デートを楽しまなきゃ♪リョウくん朝食に行こ?」

「よかった、機嫌直ったね。うん行こうか、お腹減ったよ~」


ミウと朝食のモーニング会場に向かうと・・・

ヒトミがいた。


「リョウ!」

ヒトミは慌てて鏡を取り出し身だしなみを確認する。

「リョウ、同じホテルだったんだね。」

「ああ、そうみたい。まあ、芸能人が泊まれる屋度といったら数は減るか。」

「それで、ミウさんと同じ部屋で泊まったんだ。」

「おう、泊まったよ。お前達が電話してる時に・・・」

「そうだよ、ヒトミさん。昨日は熱い一夜をすごしたんだからね。」

「むむ、羨ましい・・・」

「ふふん、わかったらそのままお家に帰ってくださいね。」

「あれ?リョウ、二人は帰らないの?」

二人を置いて、食べ物を集めていた俺に声がかかる、

「なに?今日の予定?今日は宮島に行くつもりだぞ。やっぱ、広島来たなら宮島だろ。」

「ふ~ん、そうなんだ。私も一緒に行っていい。」

「よくないです。お邪魔だから東京に帰ってください。」

「まあ、ミウもこう言ってるからなぁ~」

「ふぅーん、そんな事言うんだ。ねぇ昔の貴方のラブレターで歌手デビューしていいかしら?」

「て、てめぇ~あれは捨てたって言ってただろ!」

「リョウからの手紙を捨てる訳ないじゃん。」

「破棄しろ!」

「どうしよっかなぁ~」

「今回だけだぞ。それを2度使ったら許さんからな!」

「わかってる。リョウに脅しで使えるのは一回だけって昔からだもんね。」

「いいか、ちゃんと捨てろよ!」

「それは約束できません♪」

「ぐぬぅ、ミウすまない、宮島行きヒトミを連れて行く。」

「むう、ヒトミさん、リョウくんを脅迫なんて酷いですよ!」

「リョウは自分の弱みと引き換えに1度なら交換で言うこと聞いてくれるの。知らなかった?」

「ヒトミさん、見損ないました。リョウくんの事を好きな気持ちは同じだと思っていたのに!」

「あらそう?リョウも納得して受けてくれるのよ。ミウさんも使ってみたら?」

「私は脅迫したりしません、リョウくんは真摯に話したら頼みを聞いてくれます。」

「ミウさん、それは貴女が子供だからよ、リョウは子供に優しいの。」

「リョウくんはみんなに優しいです。」

「大人になってもリョウが優しいままかな?」

「ヒトミ、人をロリコン扱いはやめろよ。」

「あら?違った?」

「違うよ!」

「リョウくんら私が大人になっても変わらず優しいリョウくんだよね?」

「ミウも何信じてるの!?」

ミウからも疑いの眼差しを向けられていた。


食事も終わり、

レンタカーを借りて三人で出発する。

「リョウくんの助手席♪」

出発前に二人は席で争っていたが、俺は今回ミウと来ているということを重視してミウの好きに選ばせた。

「リョウ、ミウさんに甘くない?」

「旦那さんは妻に甘いものです♪」

「ミウさんに聞いてない!」

「まあ、ミウは付き合い長いからなぁ~」

「ふふん、ヒトミさんわかったら身を引いてほしいのですけど。」

「なに?元とはいえ彼女だよ。お互い好きだったのよ、進路で別れてしまっただけ。」

「いやいや、元でしょ?今は彼女じゃないよね?私は現在の婚約者なの。」

「親が決めた事じゃない!」

「いや、祖父が絡んでる。」

「リョウ、祖父が絡んでたからってなに?」

「逆らえない。」

「なんで!」

「ヒトミは知らないから言えるんだよ、あの爺さんには勝てない。」

「リョウくん、お爺ちゃんいい人だよ。」

「ミウにはね、俺より大事にされてるんだから。」

「ちょっと、二人で会話しないでよ。」

「あら、ヒトミさんってお爺ちゃんの事知らなかったの?」

「うるさいわね、知らなくてもいいでしょ。」

「まあ、それはいいとして、二人とも着いたよ。フェリー乗り場だ。」

俺達は目的地についた。


フェリーの時間まで土産物を見ていた。

「リョウくんは誰にお土産買うの?」

「うーん、アズちゃんとマイちゃんぐらいかな?あとダイキ。」

「アズサさんはいらないと思うなぁ~」

「最近、世話になることもあるし、お土産は買わないとね。」

「まあ、リョウくんがいいならいいと、思うよ。」

取りあえず、土産は見るだけに留め、船に乗り宮島にむかうのであった。



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