第71話 ホテルに入る

俺とミウはホテルの部屋に入った。

「いや~助かったね、ヒトミのせいでバレた時はどうしようかと思ったよ。」

「まさか、ヒトミさんがいるとは思わなかったよ。」

「ホントに驚いたよ、しかも、あの人混みでなんで気付くの?」

「うん?私もリョウくんなら気付くよ。」

「俺そんなに目立つ?」

「う~ん、違うかな?リョウくんが好きだから気付くんだよ♪」

ミウは上目遣いで俺に寄りかかってくる。

雰囲気がちょっと変わった・・・

此処にきて、部屋がツインルームな事に気付く、あれ?もしかして、ヤバイ?

俺が事態に気付いた時にはミウは瞳を閉じていた。

この体勢は・・・

ミウに引き込まれそうになった所で俺の電話が鳴る。

「あっ!電話だ、ミウとらないと。」

電話に出ると怒っているヒトミだった。


「コラ!リョウなんでスタジアムから帰ってるの!」

「ふう、危なかった。」

「何?」

「いや、何でもない、それより試合が終わったんだから帰るだろ?」

「なんで私を無視して帰ったのか聞いてるの?」

「無視?」

「スタジアムから出るのに事務所に来ると思ってたのに。電話しても出ないし、」

「電話?あー試合に集中したくてさっきまで切ってたから。それに俺のチケットはアウェイ用だからスタジアムで行けるとこは限られてるんだ。」

「うー!じゃあどうやって出たの?人混みが凄かったでしょ。」

「ふふん、浦和サポーターに守られて出たのだよ!」

「なんで自慢そうなの?それより浦和サポーターなんて聞いてないんだけど。」

「そりゃ、お前と別れてからの趣味だからな。言ってないよ。」

「なんで地元近くじゃないのよ!」

「うーん?魂がひかれたから?」

「意味わかんない。」

「まあ、気に入るものは人それぞれってヤツだよ。」

ヒトミと電話していたら、ミウの機嫌は悪くなっていった。

「ねぇ、リョウくん、昔の彼女なんておいて、一緒に寝ようよ~」

電話に声が入るようにミウが話しかけてくる。

「リョウあんた!高校生に手を出すつもり!」

「出してないし、出さないから。」

「じゃあ、なんでこんな時間に同じ所にいるのよ!」

「それは、同じホテルの同じ部屋にいるからですよ。元彼女さん。」

「なっ!」

「私とリョウくんは同じ部屋に泊まる事に何も抵抗を感じない関係なんです。わかったらお邪魔はやめてもらえます?」

「ミウさん!子供だからと言って許されてるだけですよ。大人ならリョウはちゃんと別の部屋をとるに決まってます!」

「負け惜しみですか?私とリョウくんは昔からの関係なんです。積み上げた時間が違うのですよ。」

気がつくと俺の電話はミウにとられ、ミウとヒトミの争いになっていた。


争ってるミウとヒトミをおいて、俺は先に寝ていた。

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