第53話 アミと電話

ミウがリョウに内緒で百万枚の増産を行ってるなか、リョウもミウに内緒でいらないことをしていた。

「やっぱ初めてのCDだし、最初の百枚は何かしたいな、取りあえずナンバリングをして~そうだ、手書きでお礼も書いとこ。」

プレミア感満載であった。


その頃、ミウが婚約者と出す新曲についての問い合わせが相次いでいた。

発売日未定、予約不可、しかも、情報は何も出てこなかった。


「リョウくん、新曲はどうなっているの!」

リョウにアミから電話がくる。

「この前、レコーディングは終わったよ。」

「あれ、普通に教えてくれるの?」

「別に隠してないし。」

「じゃあ何で情報が何もないの?」

「そりゃ、新人が出す情報なんて世間に出ないだろ?」

「ミウ様が歌うだけで大ニュースなの!」

「へぇー、じゃあ、完売狙えるかな?」

「いくら生産するの?」

「百だね。」

「ミリオンかぁ~最近少ないからどうだろう?」

「違う違う、百枚。」

「はあ?!あんたバカなの?百枚なんて数だったら奪い合いになるに決まってるじゃん。なに、ファンクラブ先行とかあるの?」

「ファンクラブがないから、ミウのファンクラブとはちょっと違うからね。」

「じゃあどうすれば手に入るの?」

「どっかの同人イベントで売り出そうか考えてるけど。」

「止めなさい!リョウくんは世間を混乱させたいの?せめて枚数増やして全国一斉に発売しなさい。」

「えー売れ残ったらイヤじゃん。」

「売れ残らないから、いい数を増やしなさい!」

「でも、専門家に聞いたら五百より百からはじめて増やしたほうがいいと言われたよ。」

「その専門家がバカじゃないなら単位に万をつけ忘れてるだけ。」

「そっかなぁ~まあ、取りあえず発売日は百枚それから追加かな~」

「リョウくん、もちろん私の分はあるよね?」

「無くてもいいよ。」

「渡しなさい。」

「はいはい、まあ、用意はしとくよ。」

「やったー♪持つべきものは芸能人の友達だよね。」

「俺は一般人だよ。」

「デビューする人は一般人ではありません。」

「えー俺はサラリーマンだよ。」

「職場に来てない人の言葉とは思えないねぇ~」

「うっ!痛いところを。」

「早く治して、出てきなよ~」

「あーい。」

そして、電話を切った。




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