第54話 アズサとデート

ダイキの薦めでアズちゃんとデートになった。

デートプランはアズちゃんの行きたいところに行くことになっていた。

「ねえ、アズちゃん今日はどこ行くの?」

「ふふん、リョウくんが好きそうな所を選んでおいたよ。」

「どこだろう?」

何故か新幹線のホームにいた。

新幹線が着いた場所は・・・名古屋。

「アズちゃん、何で名古屋にきたの?」

「リョウくん歴史旧跡が好きでしょ?だから、今日は1日お城巡りをしましょう♪」

「おーーー!素晴らしい。・・・けどいいの?今日はアズちゃんの行きたいところで良かったのに。」

「いいの、さあ最初は名古屋城から行きましょ♪」

駅を出ると車が待っていた。

「姫お待ちしておりました。ささ、若もご一緒にお乗りください。今日はこの梶原が運転手を努めさせてもらいます。」

「ご苦労、梶原。くれぐれもリョウさんに粗相の無いように。」

「はっ!お任せあれ。」

源グループの社員(家臣)は相変わらずの忠誠心を見せてくれた。


名古屋城に着くと俺のテンションは高かった。

「アズちゃん見てみて、デッカイ石垣だよ

。清正石だって。」

「そうですね、おっきいですね。でも、リョウくんなら動かせるのでは?」

「ムリムリ、力が足りないよ。でも、写真とってー!」

俺は石を押してるポーズで写真をとった。

「リョウくん、天守についたら一緒に写真とりません?」

「いいよー天守閣をバックにとろう♪あと本丸御殿でもとろうよ♪」

「はい。」

童心に帰って楽しんでるリョウを見てアズサは幸せな気分だった。


本丸御殿と天守閣を見たあと、次は徳川美術館に行った。

ここは、尾張徳川家の宝物を展示していた。

丁度、五年に一度、公開される宝物が展示されており。リョウは感動する。

「アズちゃん見て、こんなに細かい金細工、凄いよね。」

一つ一つ感動しているリョウが可愛かった。


一通り展示を見終わった頃には昼をすぎていた。

「アズちゃん、一人盛り上がってゴメンね、お腹すいたでしょ。何処かでご飯たべよ。」

「ううん、私も楽しかったよ。昼御飯はちゃんと準備してるから大丈夫だからね。」

俺は車に乗せられ、これまた高そうな料亭についた。

「アズちゃん、ここは?」

「うちの家の行き付けの店なの。さあ、入って。」

アズちゃんに促されるまま中に入る。

「いらっしゃいませ、お嬢様。」

多くの人に出迎えられる。

「また来ましたよ。今日は大事なお客様と一緒だから美味しいもの食べさしてね。」

「かしこまりました。料理長自ら朝から下拵えをしてお待ちです。期待なさってください。」

俺とアズちゃんは個室に案内される。

出された料理は名古屋名物櫃まぶしだった。

「あれ?もっと凄いのが出てくるかと思った。」

「リョウくん、シンプルな方が好きでしょ。料理長に言っておいたの。」

俺は櫃まぶしを食べる。

さすが料理長。といいたい見事な味付けだった。

「名古屋メシ、うめぇー」

俺はテーブルマナーもおいてがっついた。

食べ終わった頃に気づく、

「いや、恥ずかしいな。思わずがっついてしまった。けど、凄く美味しかったよ♪」

「ふふ、喜んでくれたなら何より。あら、ご飯粒ついたますよ。」

アズちゃんは俺の頬の米粒をとり、口に入れた。

「あ、ありがとう。つくづく恥ずかしい所を見せてるなぁ~」

「リョウくんの知らない一面が見えて嬉しいかな♪」

「アズちゃん、からかわないでくれよ~」


食事も終え、次は何処に行くかと訪ねると犬山城に行くようだった。


「ここが犬山城かぁ~眺めは最高だね。」

俺は天守に登り横を流れる木曽川を眺めていたが・・・アズちゃんは

「また、メシッていった!リョウくんテラスが傾いてる。落ちちゃう!」

どうやら天守がお気に召さなかったらしく、俺の腕を掴んで離してくれなかった。

下に降りると、

「あー恐かったです。なんで外に向かって傾いてるの!」

「まあまあ、このお城は国宝だし、昔ながらのいい城じゃないかな。」

「むう、リョウくんが言うならいい城だと思いますけど、リフォームするべきです!」

「それしたら、台無しだからね!」


そして、俺達は岐阜城についた。

「ここが岐阜城かぁ~一度来てみたかったんだよなぁ」

俺は山の頂上の天守閣を見上げていた。

「リョウさん、ロープウェイがありますよ。これで上がりましょう。」

俺としては歩いて上がってもいいのだが、1日つれ回してるアズちゃんにそれは酷だろうと思い一緒にロープウェイで上がる。

天守閣は復元された物で味気はなかったが金華山から見る景色は見事なものだった。


夕食は木曽川に屋形船を浮かべて、食事会を行った。どうやら東海地区にいる主だった家臣(社員)が挨拶もかねて用意してくれていた。

・・・アズちゃんとしては不本意だったみたいで少しむくれていた。

それを見た家臣はどうしようとオロオロするばかり、今日1日、梶原さんに世話になったし助け船をだす。

「アズちゃん、皆さんは俺達の今日の為にいろいろしてくれたんだよ。ここは感謝するところ、むくれた顔を見せちゃダメ。皆さん、今日1日ありがとうございました。今はちょっとむくれてますがアズサも感謝しております。俺みたいな若造の礼は礼にならないかも知れませんが、ここにお礼さしてもらいます。」

そして、俺は頭を下げる。

それをみたアズちゃんは、改めて姿勢を正し、

「皆様の苦労も考えず、むくれてしまい申し訳ありません。」

頭を下げるアズちゃんに今度は家臣一同平伏し、

「姫!我等こそ姫のお気持ちも考えず押し掛けてしまい申し訳ありません!」

アズちゃんと家臣の皆さんが謝り合いになった所で俺は口を挟む。

「このまま、謝り続けてもシコリが残るでしょう。アズちゃん、みんなに盃を用意して、それにアズちゃん自身で注いであげて。」

「リョウくん?わかった。」

アズちゃんは言われるまま、用意した。

「皆さんに盃はまわりましたか?」

俺は確認する。

「では、今日お互いに不幸な行き違いがありました。しかし、雨降って地固まるの言葉があります。ここで盃をかわし、新たな絆と致しましょう。アズちゃんもいいね。」

「うん、皆様、未熟な私の我が儘で迷惑をおかけました。我等の源家は絆が大事、改めて主人が思い出させてくれました。ここに新たな主従の絆を結びましょう、意を同じくするものは盃をとってください。」

姫と崇める、アズサに注がれ感動している中、姫に新たな絆と言われ感動し、涙するものもいた。そして、全員が盃を持つ。

「我等、東海家臣団一同、改めて姫御夫妻に忠誠を誓います。」

皆が盃を飲み干す。

「あれ、なんか違わない?」

「さあ、リョウくん。私達も飲まないとまとまらないよ。」

「えっ?いや俺は忠誠の対象じゃないような?」

「いいから、皆様の忠誠受け取りました。ここに我等一同の絆が新たに結ばれました。」

アズちゃんも盃を飲み干す。

俺も流れに負け盃を飲む。

源グループの中に俺の席が出来た瞬間だった。

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