第52話 レコーディング
だいぶ骨もつながりキブスも取れた頃、俺はレコーディングに向かっていた。
もちろん、修行はお休み♪久々に体を酷使しない日だった。
「ミウ、久しぶり。」
「リョウくん!」
ミウは抱きついてきた。
「おいおい、いきなり甘えるか?」
俺は止めようとするが・・・
「ちがう女の匂いがする・・・」
俺の手は止まる。
「いや、下宿先の人の匂いじゃないかな?洗濯物を一緒に洗ってもらってるし。」
「リョウくん、目を見て言ってみて。」
俺は目を見てミウに言うが、チラッと初日の夜這い未遂が頭によぎる。
「何かあったんだね?」
ミウの感が凄すぎる!
「いや、何もないよ。」
「相手は何歳?」
「相手なんかいないよ。」
「じゃあ、下宿先にいる女の子は何歳?」
「うっ!14歳です。」
「いるじゃない若いのが!いいリョウくん、
関わっちゃダメですよ。前も言ったけどリョウくんはカピバラさんなんです。そして、女の子は肉食獣なんです。油断すればパックリ食べられるちゃうんです。・・・修行なんて止めてお家に帰って来てよ。」
俺はミウの頭を撫でながら、
「寂しくさしてごめんね、でも、今は剣もなかなか楽しいんだ。せめて道場主を倒したら帰ってくるよ。」
「いつからそんな体育会系の考え方になったの!リョウくん毒されてるよ、ホントに帰っておいでよ。リョウくんは音楽家の道が合ってるよ。」
「そうかな?取りあえずやりたい事はやっておこうと思ってるけど、まあ、今日はレコーディングだね。早くいこうよ。」
俺はミウと一緒にスタジオに入る。そこにはスタッフが既にスタンバイしていた。
そして、キサクさんとタツマさんもなぜかいた。
「あれ、キサクさん、タツマさん御無沙汰してます。お元気でしたか?」
「リョウくん、元気そうで何よりだよ。ついにレコーディングするんだね。噂を聞いていてもたっても入られず来てしまったよ。」
「それはいいんですが、緊張してしまいますね。」
「気にせずやってくれたまえ。」
「じゃあ、取りあえずキーボードからやりますね。」
俺は一通り演奏した。
「うーん、すいません。もう一回お願いします。」
少しアレンジを変えたりしながら全体的に五度ほど弾き直した
部屋から出ると皆が静かだった。
「あれ?俺酷かったですか?」
結構自信が合ったのだが、やはりプロからすると良くないのだろう。やり直しかな?
そんな事を考えていると・・・
「リョウくん!なんだねデモテープと全然違うじゃないか!」
キサクさんは興奮して俺に詰めよってくる。
「少し変えてみたり、ケガも治りましたから多少の違いはあるかなぁ~」
「来て良かったよ、こんな名曲が生まれる瞬間にいなかったら、死んでも死にきれない所だった。」
キサクさんが褒めてくれたので一安心した。
「リョウくん、私も負けないように歌うからね!」
ミウも気合いが充分入ったまま、レコーディングを行った。ミウも少し気に入らないと何度もリテイクして完成させていった。
「ミウ、おつかれ。」
俺はスポーツ飲料をミウに渡す。
「リョウくんありがと♪」
ミウは上機嫌で受け取る。
お互い様いい出来だったので笑顔が溢れる。
「さて、じゃあ、ドラムの録音してくるわ。」
俺はその後、ドラム、ベースの録音を行った。
「疲れた・・・」
「リョウくん、やっぱりメンバー増やす?」
「うーん、でも、当てがないんだよね。なんかプロに依頼するのも悪いし。」
「じゃあ、今度は日にちを分けようよ。1日じゃリョウくんが大変すぎるよ。」
「まあ、しばらくは曲作らないし。」
そうこぼすとキサクさんがまた詰めよってきた!
「リョウくん!君は今なんて言った!」
「いや、しばらくは作曲はいいかなぁ~って。」
「何て事を言うんだ!君の才能は天から与えられたギフト、せめて楽譜にして発表してくれないか!」
「えーめんどくさい・・・」
キサクさんは顔を近づけて来る。
「チカイチカイ!わかったよ、わかりました。思い付いたら楽譜に書いて置きます。」
「頼むよ~君の曲を世界に出すのが僕の人生なんだから。」
「おもいよ~」
「ははは、でも、リョウくんと歌が出せるなんて思わなかったよ。発売が楽しみだね。」
「うん、まあそうだね。初回何枚作る?五百枚ぐらいにしとく?」
「なに言ってるの?買えない人が暴動起こしたらどうするの?」
「へっ?」
「私が婚約者と一緒に出す曲というだけでも話題性抜群なのに、音楽家達も絶賛してるんだよ、ミリオンは作ってもいいんじゃないかな?」
「またまた、そんなに作ったら赤字が怖いよ。」
「赤字でも大丈夫だからね。」
「タツマさんー、CD枚数五百ぐらいが妥当ですよね?」
「あー五百は多くないかい?取りあえず百からはじめて増産でいいんじゃないか?」
俺はその道のプロに意見を貰った。
「ほら、ミウ、タツマさんもああ言ってるし、百枚から始めようよ。」
「たぶん万の単位を消してるだけだよ。」
「またまた、俺の曲だよ。同人ぐらいのレベルさ。」
「ちがうのに・・・まあ、いっか、リョウくんの好きにさしてあげる。」
せっかく、音楽に乗り気だから、ミウはリョウの好きにさせる事にした。でも、どうせ増販するのはわかっていたから手配だけはしておこうと思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます