第15話 修羅場

「これはタツヤ社長、先程の話をお聞きですか?どうでしょう、彼を我家に頂けませんか?」

「ヨシナリ会長、残念ですがお断りします、彼は大事なうちの息子のようなものです。」

「息子なら外に出し、修行させるのも良いのでは?」

「実の息子なら考えますが、彼は娘婿に考えてますので渡す事はできませんね。」

「なんと、西園寺グループを継がせると。」

「それも考えておりますが、今はまだ修行をさせて彼の可能性を拡げている最中です。」

「しかし、待遇が低い、私なら彼を上手く育てて見せますよ。」

「ははは、息子の教育は親の勤め、心配なされなくともしっかり育てますよ。」

二人は笑顔だが、迫力があり決して笑っていなかった。


その時、父親同士の静かな戦いの横では、

「あなたは?」

「申し遅れました、私はりょうくんの妻のミウと申します。」

「妻?嘘を言わないでくれる、あなた15歳じゃない、結婚できる歳じゃないでしょ。」

「むう、あとちょっとでするもん。」

「なら、まだしてないと言う事でしょ、なら私が貰ってもいいわよね。」

「何言ってるのかな?りょうくんは昔から私を見てくれているの、急に出てきた人が取ろうとしないで。」

「私はリョウくんに命を救われているの、だから、私は身も心もリョウに捧げるの。」

「だ、だめだもん、そんなの認めないから!」

「あなたが認めなくても、リョウがその気になってくれればいいのよ。」

「りょうくんはその気になりません、あきらめてください。」

娘二人が言い争っていた


俺はどう納めるか考えていると、

ミユキさんと知らない女の人が入ってきた。

「「静かにしなさい!」」

場が静まり返る。

「「お母さん(様)!」」

「ミウ、リョウくんはまだあなたのものじゃありません。ちゃんと自分の魅力で引き留めなさい、ちゃんと外堀は埋めてあるのだからじっくり陥落させるのよ。」

「アズサ、いきなり求愛しても上手くいくわけないでしょ。女たるもの、いつも冷静に健気に振る舞いなさい、そして、絡めとるの。」

二人の女性はなにか怖いことを言ってた。

「あの~ミユキさん、そちらの方は?」

「ああ、リョウくん、此方の方は私の大学の同級生でアズサちゃんの母親よ。」

「これこれは、初めまして桐谷リョウと言います。」

「ええ、知ってますよ。アズサの母親のミズキと申します、その節は娘が大変お世話になりました。お礼が遅れましてすみません。」

「いえいえ、自分はたいした事をしてません。それより探されてるとは知らず勝手に帰ってしまい、すみません。」

俺は頭を下げた。

「お顔を上げてください。感謝こそすれ、謝罪される事などありません。それより、娘の事をどう思いますか?」

「アズちゃん?大きくなりましたよね。」

「そうじゃなくて、女としてです。」

「?綺麗になりましたよね、昔はボーイッシュだったのに大和撫子になってて驚きましたよ。」

「ふふ、あなたの為に努力したんですよ、嫌いだった日本舞踊や琴も覚えてねぇ~」

「あーお母様、言わないでください。」

アズサは照れながらミズキを止めていた。

「あら、うちのミウもリョウくんに声を届けたい一心で歌手になったし、炊事、洗濯、料理と奥様スキルを習得してますよ。」

ミユキさんも対抗していた。

「ミユキさんも何を煽ってるんですか!落ち着きましょう。」

俺はミユキさんを止めた

「リョウくん、私の事はお義母さんでしょ?言い間違いはダメよ!」

「ミユキ、無理強いはダメ、代わりに私が義母になるから安心してね。」

二人のにらみ合いがはじまった。


収拾がつかなくなっていた所、俺の電話が鳴る、相手は知らない番号だった。



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