第6話 サイン

一応頼まれたからミウにサインをねだってみた

「なあ、ミウ、会社の同僚からサインを頼まれたんだけど頼めないか?」

「うん?いいよ、色紙に書いたらいいの?」

頼んでおきながら色紙すら用意することを忘れていた俺は部屋からメモ帳をもってきた

「これにかいて~」

「ねえ、リョウくん私はいいけど、サイン色紙ぐらい用意してね、もらう人困ると思うよ」

ミウはサインしながら指摘していた

「一応、写真もいい?サインが本物って伝えたいし」

「うん、いいよ、ところで渡す相手は男の人?」

「いや、女の人」

ミウの機嫌が悪くなった

「ふーん、女の人ですか、ねえ、その人可愛い?」

「たしか美人さんかな、まあ、俺とは縁のない人だよ」

笑いながら言うリョウに浮気の心配は無さそうだと安心しつつミウは1つ考えた

「じゃあ、リョウくん写真とろ」

「そうだなサイン見せてこっち向いて」

「違う違う、こうだよ」

ミウは俺と腕を組み自撮りの状態で写真を撮ろうとする

「いやいや、サイン見えないから」

「じゃあ、リョウくん持ってて私はこの体勢しか写真とらないよ」

俺は諦めて写真をとった


翌日、仕事終わりにメモ帳を国見さんに渡す

「えっ?メモ帳はないんじゃないかな」

「ゴメンゴメン、サイン色紙用意するの忘れてて、ミウにも呆れられたよ」

「はあ、でもこれ本物?ミウ様のサイン出回らないから、どんなのかわからない」

「お前な、頼んでおいてそれはないだろ!まあ、そう言うと思ってメモ帳持ってる写真を撮ってきたけど」

俺は見せようと写真を開くが改めて見るとこれは不味いのでわないだろうかと気付いた

「見せて見せて!」

「いや、これはちょっと・・・」

「もったいぶらないでよ」

携帯を奪われ、写真を見られる

そこには俺と腕を組み笑顔で写ってるミウがいた

「えっ!もしかしてミウ様とそういった関係なの?」

「違うから、ミウがきっとふざけて撮ったんだよ」

「あれ、しかも撮った時間夜の10時?なんで二人でそんな時間にいるの?」

俺は迂闊な事に時間を気にしていなかった

「ああ、それはサイン貰いにミウの家に行ってたからだよ、部屋には俺達だけに見えるけどミウの家族が近くにいるから二人きりじゃないよ、うん」

「なんか、あやしいなぁ、ミウ様、恋愛の質問で昔から好きな人がいるって言ってたし、もしかして?」

「な、なんのことかな?さあ、サインも渡したし帰ろかな」

「ふーん、ねえ、桐谷くんの家に行ってみてもいいかな?」

「ふぇ?いやいや、だめでしょ、国見さんみたいに綺麗な人が来るとこじゃないよ」

「ミウ様はいるのに?」

「ミウも勝手にきてるだけ・・・さあ、帰らないと」

俺は逃げようとしたが肩を掴まれた

「く・わ・し・く、聞きたいな~」

国見さんからの逃走に失敗した


仕方ないので軽く説明をした

「昔からの知り合いが上京しているから珍しくて来てるんだよ」

「女の子はそれぐらいじゃ行かないよ」

「小さい時の感覚で距離感が近いだけだよ、親戚のお兄さんに甘えてる感じ?」

「ふーん、そうなのかなぁ~じゃあ、今度ミウ様のライブがあるんだぁ一緒に行かない?」

「なぜそうなる?」

「それだけ甘える親戚のお兄さんと一緒なら楽屋に行けそうじゃん」

「いつあるの?」

「なんと今週末だよ」

「チケット手に入らないだろ」

「私は持ってるけど、桐谷くんはミウ様におねだりすればいいじゃん?」

「はあ?あんまり頼みごとするのはなぁ~」

「まあまあ、私を助けると思って」

「なんだかなぁ、まあ、聞くだけ聞いてみるけど席も違うのに一緒に行く意味あるの?」

「細かい事は気にしちゃだめだよ」

「まっ、いっか」

この後、ミウに確認したら席を用意してくれることになり

週末はミウのイベントに連れていかれる事が決定した

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