第5話 出勤

布団を後にした俺は身支度を整えていたらミウから声がかかった。

「朝御飯できたよ~」

その声に導かれて食卓についた。

「いただきます。」

朝食は簡単なものだったが非常に美味しいかった、なんか胃袋捕まれてるような・・・

「なあ、ミウ、昨日うちに泊まったけど大丈夫なの?」

「お父さんもお母さんも知ってるから大丈夫だよ。」

「あの人達は・・・」

「理解のある親でしょ♪」

俺は頭をかかえたがそろそろ出勤時間が来たので出発することにした。

「ごめんミウ、もう仕事に行ってくるね。」

「はい、行ってらっしゃい、早く帰ってきてね♪」

ミウはそう言うと唇を付き出していた、

俺はミウの唇に指を当て。

「まだ、早いぞ、子供は背伸びしない。」

「もう、私は子供じゃないよー」

ミウの反論もそこそこに俺は職場に向かった。


職場に入ると妙な視線を感じていた。

周囲を見ると目をそらされ、また、どこからか見られてるむず痒い感じだ。

すると、同僚の女性の国見アミ(25歳)が声をかけてきた。

「あの~桐谷くん?」

「なんでしょう、えーと国見さんでしたよね。」

「うん、あってるよ、あのね桐谷くんって社長の親戚なの?」

「違うよ。」

「そうなの?昨日、石戸係長が騒いでたから今噂になってるよ、なんか叔父さんとかって言って親しげに話していたとか。」

「あー子供の時に隣に住んでたからその名残だよ。」

「えっ、じゃあ知り合いには違いないの?」

「まあね、でも、何年も会ってなかったから久しぶりって感じかな。」

「ねぇ、もしかしてミウさまも知り合い?」

「ミウさま!?なんで様付け?」

「へっ?当然じゃん、歌姫様だよ、桐谷くん聞いたことないの?」

「いや、あるけどミウに様付けで呼ぶ気はないかなぁ~」

「ミウ?まさかの呼び捨て?もしかして今も面識ある?」

「まあ、あるといえばあるかな~」

国見さんは土下座した。

「お願いします、サインをもらってきて貰えないでしょうか?」

「国見さん、土下座はやめて。」

「じゃあ、サイン貰って来てくれる。」

「うーん、約束は出来ないけど頼むぐらいはしてみるよ。」

「ホントに!やったー」

国見さんは跳び跳ねて喜んでいた。

「頼むだけだからね、無理には頼まないから。」

「はーい、ねえねえ、ミウ様の写真とかないの?」

「昔のはあるけど勝手に見せるのはねぇ、一応芸能人みたいだし。」

「じゃあ、見せていいようなのだけでいいからさぁ。」

「うーん、ちょっとまって。」

ミウにメールを送り事情を説明して見せていい写真を送ってもらった。

「はい、一応プライベート写真。」

そこには制服姿のミウが写っていた。

「はぅ、なんて神々しい、桐谷くん転送、転送して。」

「だめです、俺がミウに叱られるじゃないか。」

そう言うと俺は携帯をしまった。

「あっ!お宝が!独り占めなんてひどい・・・あれ、ねえ、もしかして桐谷くん、ミウ様とすごく仲良くない?すぐ写真送ってきてたし、普通送ってこないよね。」

「さあ、今日も1日働きますか。」

国見さんにミウとの関係を聞かれる前に仕事に移った。

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