第4話 復活

身売りの事実にショックをうけたが、

「まっいっか、現状あんま変わらんし。」

持ち前の開き直りで気を取り戻した。

「相変わらず切り替え早いな。」

「まあ、理不尽にはなれてますし。」

「君は昔から変わらないね。」

しみじみ言われた。


しばらく話していたら、勤務終了時刻が来たので部屋を後にしようとしたらタツヤ叔父さんに一緒に飯を食いに行こーと連れていかれた。


「どこ行くんですか?」

叔父さんが答えてくれたが。

「これから土門議員と夕食をとるだけだよ。」

内容について行けなかった。

「なんで俺が一緒に行くんですか?」

「まあまあ、営業としての経験アップだよ。」

「ペーペーの俺が行くとこじゃないですよ。」

「気にしたら負け、さあ、行こー!」


立派な料亭についた。

俺はタツヤ叔父さんについて行くだけだった。

「なんか、場違いな気がする。」

「リョウくんも慣れないと行けないよ、こういった場はあるからね。」

「普通ないと思う。」

タツヤ叔父さんに連れられて部屋に入ると土門議員がいた。

「これはタツヤさんよくお越しくださいました、ささ、こちらへ。」

土門議員はタツヤ叔父さんを上座に案内した

まあ、俺は無視されてはいたが。

とりあえず空いてる席に座ろうとすると周囲の人に咎められた。

「おい、お前みたいな若造が席につける訳ないだろ、さがってろ。」

「やだな、常識の無いやつは考えろよ、」

と土門議員のお付きの人に、なんか罵倒された。

「叔父さん、俺は飯食いに来たの?それとも罵倒されに来たの?後者ならさっさと切り上げて帰りたいんだけど。」

「なんだと!失礼な奴等だな、土門議員、うちの身内にこのような扱いをするとは、今後の付き合いは考えさせて貰います!」

「お、お待ちください、タツヤさん彼等に悪気はなく。」

「土門議員、私もすごく気分が悪い、少なくとも今日は失礼させてもらう、リョウくん行こうか。」

俺はタツヤ叔父さんについて料亭を後にした。


車の中で俺はタツヤ叔父さんに聞いた。

「ねえ、叔父さん、ワザとでしょ。」

「わかる?」

「俺を連れて相手にちょっかい掛けさせて、場を破壊、後日謝罪にこらせて主導権を握る予定?」

「まあね、それとうちの身内を周囲に知らしめる為かな。」

「正確には身内じゃないよね。」

「今はね、でも、すぐに息子になるし。」

「まだ、確定してないからね。」

「さあ、次こそ御飯だぞ。」

「ねえ、聞いてる?ねえ!」

タツヤ叔父さんは俺の質問を無視して高そうな店に入って食事をした。

とても美味しい鰻重でした。



仕事がろくに出来なかった1日を終え帰宅した。

家に入る時に何気なく「ただいま」と言った

まあ、一人暮らしだから、返事は無いはずだったのだが。

「おかえりなさい、お風呂にします?お食事にします?それともわたし?」

ミウがいた、しかも新妻定番セリフでのお出迎え、しかも、言った後、顔を真っ赤にしてた。

恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。

「じゃあ、風呂で、食事はタツヤ叔父さんと食べてきた。」

「むう、わたしは?」

「まだ、いいって言うか、しないよ。」

「まあ、段階だよね、よし、お風呂ですねですね、沸いてますから先に入ってください、着替えとか持っていきますから。」

リビングに行くと肉じゃが焼き魚、味噌汁があった。

「これミウが作ったの?」

「はい、料理は得意なんですよ。」

「昔は泥団子だったのに?」

「もう、いつの話してるの?ちゃんと覚えたの。」

「ちょっと、つまんでいい?」

「いいけど、ご飯食べてきたんじゃ・・・」

「美味い!」

何か特別な味付けじゃなく、自分の味覚丁度よい味付けだった。

思わず全部食べきってしまって。

食事を終えた後、

「これなら毎日食べたいかも。」

思わず本音が漏れた。

「ふふ、じゃあ毎日たべる?」

ミウにからからわれた。

「それぐらい美味しかったよ、これならいいお嫁さんになれるね。」

ミウは顔を赤くしながら、

「いつでもなるからね、リョウくん。」

俺はこの可愛い攻撃にいつまで耐えれるのだろうと何気なく考えていた。


食事の片付けも終わり、風呂も入った。

後は寝るだけなんだが、まだ部屋にミウがいる。

「なあ、ミウ帰らないの?送っていくよ。」

「だいじょうぶだよ、わたしもお風呂にはいってくるね。」

ミウは風呂に走っていった。


ミウが風呂に向かった後、俺は布団に転がっていたら気がついたら寝ていた。


「リョウくん、あれ寝てるの?むう、覚悟してるのに、もうこうしてやる。」

ミウはリョウの布団に入り腕をとり腕枕で寝る事にした。

「ふにゃぁ、リョウくんの匂いです、幸せ♪」

リョウの胸元に顔を押し付け匂いを満喫していた、するとリョウが無意識にミウを抱き締め頭を撫でていた。

「リ、リョウくん、にゃあ、ダメですよ、そういうことは意識のある時にお願いします。」

ミウは否定しつつ、逃げる事はせずむしろ抱きついていた。


うん?なんだ温かいな?しかも、柔らかい

リョウは寝起きに寝ぼけながら自分の胸元にいる物体をさわっていた。

「あん♡」

一瞬で目が覚めた!

なんだ、この状況は俺はやったのか?いや、まて取りあえず確認だ!パンツは・・・はいてある、昨日は俺はミウの風呂を待ってて・・・寝たか、よし、大丈夫のはず。

「ミウ、ミウ起きて。」

俺はミウを起こす事にした。

「あーリョウくんだ。」

ミウは寝ぼけているのか抱きついてきた。

可愛い女の子に抱きつかれ、起きてはいけない部分が目を覚ます。

「起きてお願い。」

ミウは俺の顔を見つめてきた。

「リョウくん、おはよ、うん?リョウくん朝から元気だね?」

ミウに気付かれた。

「こ、これは違うよ、朝は仕方ないものなんだよ。」

「はーい、ねぇどうする?しちゃったほうがいい?」

「こら、嫁入り前の女の子がそんなことは言っちゃだめです!」

「嫁入りするからいいもん。」

迫ってくるミウに俺は逃げるように布団を後にした。

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